凶悪重大犯罪等に係る出所情報ファイルを犯罪捜査に有効活用すること等を要請する警察庁から県警察本部長あての通達文書に記録された情報のうち,同ファイルの記録対象者を限定する入所罪名及び出所事由の種別に係る情報は,これが公にされた場合,行刑施設の出所者において自己が同ファイルの記録対象とされるか否かについて確実な判別をすることを可能とするものであり,同ファイルの活用方法に係る情報は,同ファイルを活用した捜査方法を明かす結果を招くものであるなど判示の事情の下においては,これらの情報は,新潟県情報公開条例(平成13年新潟県条例第57号)7条4号所定の非公開情報である「公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜査(中略)その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」に当たる。
凶悪重大犯罪等に係る出所情報ファイルの有効活用等を要請する警察庁から県警察本部長あての通達文書に記録された情報のうち,同ファイルの記録対象者を限定する入所罪名及び出所事由の種別並びに同ファイルの活用方法に係る情報が,新潟県情報公開条例(平成13年新潟県条例第57号)7条4号所定の非公開情報に当たるとされた事例
新潟県情報公開条例(平成13年新潟県条例第57号)7条4号
判旨
行政文書公開請求において、特定の出所情報の活用手法等が「公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ」があるとして非公開とされた事案につき、実施機関の判断が合理性を持つものとして許容される限度内にある場合には、非公開情報に該当すると判断された。
問題の所在(論点)
情報公開条例上の非公開事由(公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ)の該否につき、実施機関の予測的判断に合理的な理由があるといえるか。
規範
「犯罪の予防、鎮圧又は捜査…その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」の該当性は、実施機関が公にすることによる支障発生の蓋然性を予測的に判断し、その判断が合理性を持つものとして許容される限度内にあるか否かによって判断される。
事件番号: 平成16(行ヒ)117 / 裁判年月日: 平成18年7月13日 / 結論: その他
府が個人から取得した事業用地の取得価格,府の土地開発公社が個人から取得し又は個人に譲渡した事業用地の代替地の取得価格及び譲渡価格並びに上記公社の土地評価審査会が上記代替地の評価額を答申した際の評価答申額等に関する情報は,(1)府における事業用地の取得価格は,地価公示法(平成11年法律第160号による改正前のもの)6条の…
重要事実
新潟県警察本部長に対し、殺人や強盗等の凶悪犯罪等の出所情報を法務省から得て捜査に活用する旨の通達(本件文書)の公開請求がなされた。本部長は、対象となる「入所罪名」「出所事由の種別」「出所情報ファイルの有効活用(活用手法)」の各情報を、犯罪捜査に支障を及ぼすおそれがあるとして非公開決定(本件決定)とした。これに対し、原審は対象罪種が報道済であること等を理由に、支障のおそれを認めた判断は合理性を欠くとし、不公開部分の取消しを命じたため上告された。
あてはめ
まず、入所罪名や出所事由が公開されれば、出所者は自身が警察の活用対象であるかを単なる推測を超えて確実に判別可能となる。次に、活用手法の公開は、一定限度で捜査方法を明かす結果を招く。これらを知った犯罪企図者が、より周到な計画や注意深い実行、あるいは捜査の裏をかく対抗策を講じる可能性は否定できない。そうすると、情報を公にすることで捜査等に支障を及ぼすおそれがあるとした本部長の判断は、合理的なものとして許容される限度を超えたものとはいえず、相当の理由がある。
結論
本件情報は非公開情報に該当し、本件決定のうち不公開とした部分は適法である。原判決を破棄し、被上告人の請求を棄却する。
実務上の射程
行政情報公開における警察情報の機密性に関するリーディングケースである。裁判所は実施機関の「予測的判断」に一定の裁量(合理的な判断として許容される限度)を認めており、答案上は具体的な支障の機序(情報の公開→対象者の認識・警戒→捜査実効性の低下)を論理的に繋げて裁量の範囲内であることを論証する際に活用する。
事件番号: 平成18(行ヒ)50 / 裁判年月日: 平成19年4月17日 / 結論: その他
愛知県の食糧費支出に関する予算執行書等の文書中に愛知県公文書公開条例(昭和61年愛知県条例第2号。平成12年愛知県条例第19号による全部改正前のもの)所定の非公開情報に当たらない公務員の懇談会出席に関する情報とこれに当たる公務員以外の者の懇談会出席に関する情報とが記録され,両情報に共通する記載部分がある場合において,上…
事件番号: 平成13(行ヒ)348 / 裁判年月日: 平成17年7月14日 / 結論: その他
北九州市の局長の交際費の支出に関する情報で交際の相手方が識別されるものは,交際の相手方及びその内容が不特定の者に知られ得る状態でされる交際に関するものなどを除き,旧北九州市情報公開条例(平成元年北九州市条例第22号。平成13年北九州市条例第42号による全部改正前のもの)6条7号所定の非公開情報に該当する。(反対意見があ…
事件番号: 平成10(行ツ)167 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: 棄却
1 千葉県の職員の旅行命令票に記録された職員の給料表の種類並びに職務の級及び号給に関する情報は,千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 2 千葉県の職員の旅行命令票に千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号の非公開情報に当たる情報とこれに当た…
事件番号: 平成10(行ヒ)54 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: その他
1 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)の代表者に準ずる地位にある者以外の従業員の職務の遂行に関する情報は,その者の権限に基づく当該法人等のための契約の締結等に関する情報を除き,大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 2 法人その他の団体(国及び地方公…