1 プロバイダ責任制限法(令和3年法律第27号による改正後のもの)5条2項の規定は、権利の侵害を生じさせた特定電気通信及び当該特定電気通信に係る侵害関連通信が令和3年法律第27号の施行前にされたものである場合にも適用される。 2 インターネットを利用した情報ネットワーク上のアカウントにおいて他人の権利を侵害する投稿がされた後、上記投稿をした者によって上記アカウントにログインするための8回の通信が同一の経由プロバイダの提供するインターネット接続サービスを利用してされた場合において、⑴上記投稿と上記各通信との関連性の程度を示す事情は両者の時間的近接性以外にうかがわれないこと、⑵上記各通信の中では上記投稿の21日後にされた1回の通信が上記投稿と最も時間的に近接すること、⑶上記アカウントにおいては、上記投稿がされてから上記各通信がされるまでの間に、上記経由プロバイダの提供するインターネット接続サービスを利用した2回のログインのための通信がされているものの、上記経由プロバイダは、自らが保有する通信記録の中からこれらの2回の通信に対応するものを特定できなかったことという判示の事情の下では、上記1回の通信は、上記投稿との関係で、プロバイダ責任制限法施行規則5条柱書きにいう「侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」に当たる。 3 インターネットを利用した情報ネットワーク上のアカウントにおいて他人の権利を侵害する投稿がされた後、上記投稿をした者によって上記アカウントにログインするための8回の通信が同一の経由プロバイダの提供するインターネット接続サービスを利用してされた場合において、⑴上記投稿と上記各通信との関連性の程度を示す事情は両者の時間的近接性以外にうかがわれないこと、⑵上記経由プロバイダは、上記各通信の中で上記投稿と最も時間的に近接するものに係る発信者情報を保有しており、これに加えて、あえてその余の7回の通信に係る情報の開示を求める必要性を基礎付ける事情はうかがわれないことという判示の事情の下では、上記7回の通信は、上記投稿との関係で、プロバイダ責任制限法施行規則5条柱書きにいう「侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」に当たるとはいえない。
1 プロバイダ責任制限法(令和3年法律第27号による改正後のもの)5条2項の規定は、権利の侵害を生じさせた特定電気通信及び当該特定電気通信に係る侵害関連通信が令和3年法律第27号の施行前にされたものである場合にも適用されるか 2 インターネットを利用した情報ネットワーク上のアカウントにおいて他人の権利を侵害する投稿がされた後、上記投稿をした者によって上記アカウントにログインするための通信がされた場合において、上記通信が、上記投稿との関係で、プロバイダ責任制限法施行規則5条柱書きにいう「侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」に当たるとされた事例 3 インターネットを利用した情報ネットワーク上のアカウントにおいて他人の権利を侵害する投稿がされた後、上記投稿をした者によって上記アカウントにログインするための通信がされた場合において、上記通信が、上記投稿との関係で、プロバイダ責任制限法施行規則5条柱書きにいう「侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」に当たるとはいえないとされた事例
(1~3につき)特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)(令和3年法律第27号による改正後のもの)5条 (1につき)特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)(令和3年法律第27号による改正前のもの)4条1項、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律(令和3年法律第27号)附則2条 (2、3につき)特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律施行規則(プロバイダ責任制限法施行規則)5条
判旨
令和3年改正プロバイダ責任制限法におけるログイン通信等の開示請求に関し、特定の投稿との時間的近接性以外に関連性を示す事情がない場合、原則として最も時間的に近接するログイン通信のみが「相当の関連性」を有するものとして開示対象となる。他のログイン通信については、あえてその開示を求める必要性を基礎付ける特段の事情がない限り、開示請求は認められない。
事件番号: 令和3(受)2050 / 裁判年月日: 令和5年1月30日 / 結論: 破棄自判
特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、当該権利の侵害が令和2年総務省令第82号の施行前にされたものであったとしても、プロバイダ責任制限法(令和3年法律第27号による改正前のもの)4条1項に基づき、当該権利の侵害に係る発信者情報として、上記施行後に発信者の電話番号の開示を請求することができ…
問題の所在(論点)
改正後プロバイダ責任制限法5条2項の「侵害関連通信」の要件である、ログイン通信と侵害情報送信との「相当の関連性」(施行規則5条柱書き)の判断基準およびその範囲。
規範
1. 令和3年改正プロバイダ責任制限法5条2項は、改正法施行前の通信についても適用される。 2. 施行規則5条柱書きの「侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」とは、個々のログイン通信と侵害情報送信との関連性の程度と、当該情報の開示を求める必要性とを勘案して判断すべきである。 3. 時間的近接性以外に関連性を基礎付ける事情がない場合、少なくとも侵害情報送信と「最も時間的に近接する」ログイン通信は相当の関連性を有するが、それ以外のログイン通信は、あえてその開示を求める必要性を基礎付ける事情があるときに限り、相当の関連性が認められる。
重要事実
インスタグラム上の投稿により人格的利益を侵害された被害者が、経由プロバイダに対し、投稿者のログイン時の通信情報(計8回分)の開示を求めた。SNS運営者は投稿時の通信ログを保存しておらず、ログイン時のログのみを保有していた。投稿①〜④と本件ログイン各回の間には、被告(プロバイダ)が記録を特定できなかった「介在ログイン」が存在した。原審は改正前法を適用し全情報の開示を認めたため、プロバイダ側が上告した。
あてはめ
本件投稿①〜④との関係では、21日後の「本件ログイン②」が最も時間的に近接している。投稿と当該ログインの間には「介在ログイン」があるが、その記録は特定不能であり、発信者特定のために「本件ログイン②」の開示を求める必要性があるため、相当の関連性が認められる。一方で、それ以外のログイン(①、③〜⑧)は、②に比して時間的近接性が低く、②の情報の開示により特定が可能である以上、あえて他の情報の開示を求める必要性を基礎付ける事情はなく、相当の関連性は認められない。また、日時不明の投稿⑤との関係では、いずれのログインが最も近接するか不明であり、関連性は認められない。
結論
最も時間的に近接し、かつ特定のために必要性が認められる「本件ログイン②」に係る情報のみ開示を認め、その余の請求を棄却する。
実務上の射程
ログイン型投稿における発信者情報開示請求において、複数のログイン通信のうちどこまでが開示対象となるかの限界を示した重要判例である。答案上は、まず「最も近接するもの」を特定し、それ以外の通信については「他により特定が可能か」という必要性の観点から絞り込みを行う枠組みとして活用すべきである。
事件番号: 平成21(受)609 / 裁判年月日: 平成22年4月13日 / 結論: その他
1 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づく発信者情報の開示請求に応じなかった特定電気通信役務提供者は,当該開示請求が同項各号所定の要件のいずれにも該当することを認識し,又は上記要件のいずれにも該当することが一見明白であり,その旨認識することができなかったことにつき重大…
事件番号: 平成30(受)1412 / 裁判年月日: 令和2年7月21日 / 結論: 棄却
1 著作権法19条1項の「著作物の公衆への提供若しくは提示」は,同法21条から27条までに規定する権利に係る著作物の利用によることを要しない。 2 インターネット上の情報ネットワークにおいてされた他人の著作物である写真の画像の掲載を含む投稿により,上記画像が,著作者名の表示の付された部分が切除された形で上記投稿に係るウ…
事件番号: 平成21(受)1049 / 裁判年月日: 平成22年4月8日 / 結論: 棄却
最終的に不特定の者に受信されることを目的として特定電気通信設備の記録媒体に情報を記録するためにする発信者とコンテンツプロバイダとの間の通信を媒介する経由プロバイダは,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律2条3号にいう「特定電気通信役務提供者」に該当する。
事件番号: 平成13(行ヒ)18 / 裁判年月日: 平成16年2月13日 / 結論: その他
1 京都市交通局の開催した飲食を伴う協議に地下鉄建設事業地域の地元住民の団体に所属する者及び地権者の団体に所属する者が出席したことに関する情報は,同協議が上記各団体に地下鉄建設工事の内容の説明等を行うことなどを目的としていたという事実関係の下においては,京都市公文書の公開に関する条例(平成3年京都市条例第12号)8条1…