特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、当該権利の侵害が令和2年総務省令第82号の施行前にされたものであったとしても、プロバイダ責任制限法(令和3年法律第27号による改正前のもの)4条1項に基づき、当該権利の侵害に係る発信者情報として、上記施行後に発信者の電話番号の開示を請求することができる。
令和2年総務省令第82号の施行前に特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者がプロバイダ責任制限法(令和3年法律第27号による改正前のもの)4条1項に基づき上記施行後に発信者の電話番号の開示を請求することの可否
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)(令和3年法律第27号による改正前のもの)4条1項、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第四条第一項の発信者情報を定める省令(平成14年総務省令第57号。令和4年総務省令第39号による廃止前のもの)3号、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第四条第一項の発信者情報を定める省令の一部を改正する省令(令和2年総務省令第82号)
判旨
改正省令の施行前にされた権利侵害に係る情報流通であっても、施行後に発信者情報開示請求を行う場合には、改正後省令に基づく電話番号の開示請求が認められる。
問題の所在(論点)
旧プロバイダ責任制限法4条1項及び総務省令の改正(令和2年)より前に発生した権利侵害について、改正後の省令に基づき「電話番号」の開示を請求できるか。改正省令の適用範囲が問題となる。
規範
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づく開示請求については、特段の経過措置がない限り、請求時点における省令の規定が適用される。同項が発信者情報を省令に委任した趣旨は、技術進歩や社会環境の変化に機動的に対応することにあるため、改正省令の施行後にされた請求であれば、権利侵害(情報の流通)が施行前であっても改正後の規定に基づき電話番号の開示を求めることができる。
事件番号: 令和5(受)1583 / 裁判年月日: 令和6年12月23日 / 結論: その他
1 プロバイダ責任制限法(令和3年法律第27号による改正後のもの)5条2項の規定は、権利の侵害を生じさせた特定電気通信及び当該特定電気通信に係る侵害関連通信が令和3年法律第27号の施行前にされたものである場合にも適用される。 2 インターネットを利用した情報ネットワーク上のアカウントにおいて他人の権利を侵害する投稿がさ…
重要事実
平成30年11月、インターネット掲示板に上告人の名誉感情を侵害する投稿がなされた。上告人は令和元年6月に発信者情報開示請求訴訟を提起したが、訴訟係属中の令和2年8月に省令が改正され、発信者情報として「電話番号」が追加された。上告人は改正後の同年9月、電話番号の開示を求める請求を追加する訴えの変更を行ったが、原審は省令の遡及適用を否定して請求を棄却した。
あてはめ
本件法4条1項は施行以来改正されておらず、同項の委任を受けた改正省令においても、施行前の権利侵害について改正前省令を適用する旨の経過措置は置かれていない。また、同条の趣旨は社会情勢の変化に応じた機動的な対応にあり、開示対象を施行後の流通分に限定する合理的理由は認められない。本件では、改正省令施行後の令和2年9月に電話番号の開示請求がなされている以上、投稿が施行前であっても改正後省令3号が適用されるべきである。
結論
上告人は、改正省令施行前の投稿による権利侵害であっても、施行後にされた請求であれば、発信者の電話番号の開示を請求することができる。
実務上の射程
法改正(現行プロ責法5条等)に伴う経過措置の解釈指針となる。実務上、省令改正によって開示対象項目が追加された際、改正前の投稿に対しても新規定に基づき開示請求が可能であることを明示した重要な判断である。答案上は、実体法上の権利の性質ではなく、手続的規定としての性質を重視するロジックとして活用できる。
事件番号: 平成30(受)1412 / 裁判年月日: 令和2年7月21日 / 結論: 棄却
1 著作権法19条1項の「著作物の公衆への提供若しくは提示」は,同法21条から27条までに規定する権利に係る著作物の利用によることを要しない。 2 インターネット上の情報ネットワークにおいてされた他人の著作物である写真の画像の掲載を含む投稿により,上記画像が,著作者名の表示の付された部分が切除された形で上記投稿に係るウ…
事件番号: 平成21(受)609 / 裁判年月日: 平成22年4月13日 / 結論: その他
1 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づく発信者情報の開示請求に応じなかった特定電気通信役務提供者は,当該開示請求が同項各号所定の要件のいずれにも該当することを認識し,又は上記要件のいずれにも該当することが一見明白であり,その旨認識することができなかったことにつき重大…
事件番号: 令和5(行ヒ)335 / 裁判年月日: 令和7年6月3日 / 結論: その他
表形式の複数の行政文書の「備考」欄に記録された情報について、当該各行政文書の「備考」欄には複数の小項目が設けられているものがあることがうかがわれるなど判示の事情の下においては、原審としては、国に対し、文書ごとに、「備考」欄に小項目が設けられているか否か、小項目が設けられている場合に、それでもなお当該「備考」欄について一…