弁護士法23条の2第2項に基づく照会をした弁護士会が,その相手方に対し,当該照会に対する報告をする義務があることの確認を求める訴えは,確認の利益を欠くものとして不適法である。
弁護士法23条の2第2項に基づく照会に対する報告をする義務があることの確認を求める訴えの適否
弁護士法23条の2,民訴法134条
判旨
弁護士会が照会の相手方に対して報告義務があることの確認を求める訴えは、報告義務が私法上の権利に基づくものではなく、判決が紛争の解決に資さないため、確認の利益を欠き不適法である。
問題の所在(論点)
弁護士法23条の2第2項に基づく照会を受けた者が、その報告義務を負うことの確認を求める訴えにおいて、確認の利益(民事訴訟法134条参照)が認められるか。
規範
確認の利益が認められるためには、確認判決を求める法律上の利益が必要である。弁護士法23条の2第2項に基づく照会(23条照会)制度は、弁護士会に報告を求める私法上の権利を付与したものではなく、報告拒絶が不法行為を構成することもない。また、拒絶に対する制裁規定もないため、報告義務の確認判決が確定しても相手方の任意履行を期待するほかない。したがって、当該判決の効力は法律上の紛争の解決に資するものとはいえず、確認の利益は認められない。
重要事実
被上告人(弁護士会)は、郵便事業株式会社(上告人が吸収合併)に対し、弁護士法23条の2第2項に基づき情報の照会(本件照会)を行った。被上告人は、上告人に対して本件照会についての報告義務があることの確認を求めて提訴した。原審は、認容判決があれば上告人の任意履行が期待でき、第三者からの損害賠償請求も免れ得る等として紛争収束の可能性が高いと判断し、確認の利益を認めて一部を認容したため、上告人が上告した。
あてはめ
まず、23条照会は公共的制度であり、弁護士会に私法上の権利を付与するものではない。本件においても、上告人に報告義務があることが確認されたとしても、判決自体に強制力や制裁を伴う法的な裏付けはなく、弁護士会は上告人の「任意の履行」を期待できるに過ぎない。原審が挙げた「任意履行の期待」や「第三者に対する違法性阻却の抗弁」といった事情は、いずれも判決の効力そのものではなく事実上の影響にすぎない。したがって、確認判決を得ることが本件報告義務をめぐる法律上の紛争を抜本的に解決する手段として有効適切であるとは認められない。
結論
23条照会をした弁護士会が、その相手方に対し、当該照会に対する報告をする義務があることの確認を求める訴えは、確認の利益を欠き不適法である。
実務上の射程
23条照会の報告義務が公法上の義務にとどまり、私法上の請求権や不法行為の保護利益にならないことを前提に、その権利保護の形式として確認の訴えが封じられたものである。実務上、照会拒絶に対しては、報告義務確認ではなく、別の手段(特段の事情がある場合の不法行為構成の検討等)を考慮する必要があるが、本判決により確認の訴えによる解決は明確に否定された。
事件番号: 平成30(受)1961 / 裁判年月日: 令和2年12月22日 / 結論: その他
1 有価証券届出書の金融商品取引法193条の2第1項に規定する財務計算に関する書類に係る部分のうちに重要な事項について虚偽の記載があり,又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けている場合に,当該有価証券の募集に係る発行者又は売出しに係る所有者と元引受契約を締結した金融商品取引…