最終的に不特定の者に受信されることを目的として特定電気通信設備の記録媒体に情報を記録するためにする発信者とコンテンツプロバイダとの間の通信を媒介する経由プロバイダは,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律2条3号にいう「特定電気通信役務提供者」に該当する。
いわゆる経由プロバイダは,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律2条3号にいう「特定電気通信役務提供者」に該当するか
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律2条3号,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項
判旨
プロバイダ責任制限法4条1項に基づく発信者情報開示請求の対象となる「特定電気通信」とは、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信をいい、インターネット上のウェブサーバに情報を蓄積し、不特定の者からの要求に応じて送信される通信(コンテンツプロバイダによる送信)のみならず、その前段階である発信者からウェブサーバへの送信もこれに含まれる。
問題の所在(論点)
プロバイダ責任制限法4条1項に基づく開示請求の要件である「特定電気通信」について、発信者からコンテンツプロバイダ(CP)のウェブサーバへ情報を送信する行為が、同法2条1号にいう「不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信」に該当するか。
規範
1. 「特定電気通信」とは、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信を指す(同法2条1号)。 2. インターネット上の情報の流通が、発信者からCPサーバへの送信(アップロード)と、CPサーバから不特定多数の閲覧者への送信(ダウンロード)の二段階を経て行われる場合、その全体を一連の過程として捉えるべきである。 3. したがって、不特定の閲覧者による受信を目的として行われる限り、その前段階である発信者からCPサーバへの送信も「特定電気通信」に含まれると解するのが相当である。
事件番号: 平成21(受)609 / 裁判年月日: 平成22年4月13日 / 結論: その他
1 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づく発信者情報の開示請求に応じなかった特定電気通信役務提供者は,当該開示請求が同項各号所定の要件のいずれにも該当することを認識し,又は上記要件のいずれにも該当することが一見明白であり,その旨認識することができなかったことにつき重大…
重要事実
1. 発信者が、インターネット上のウェブサーバ(掲示板等)に権利侵害情報を掲載するため、経由プロバイダの通信サービスを利用して情報を送信した。 2. 経由プロバイダは、自らの通信設備は不特定の者による受信を目的としたものではなく、発信者からCPサーバという「特定の相手方」への送信に過ぎない(特定電気通信に該当しない)と主張した。 3. 発信者情報の開示を求める者が、経由プロバイダに対し、発信者の氏名等の開示を求めた。
あてはめ
1. 本件における発信者の行為は、掲示板等のウェブサーバに情報を蓄積させ、これを不特定の者が閲覧(受信)可能な状態に置くことを目的として行われている。 2. このような送信行為は、最終的に不特定の者によって受信されることを直接の目的とする一連の情報の流通過程の不可欠な一部を構成する。 3. よって、発信者から経由プロバイダ(アクセスプロバイダ)を介して行われた当該送信は、不特定の者による受信を目的とした電気通信であるといえる。
結論
発信者からCPサーバへの送信は「特定電気通信」に該当するため、その他の要件(権利侵害の明白性等)を充たす限り、経由プロバイダに対する発信者情報開示請求は認められる。
実務上の射程
本判決は、実務上、経由プロバイダが「自らは特定電気通信を行っていない(単なる通信の媒介者に過ぎない)」として開示を拒む論理を否定したものであり、現在の発信者情報開示請求訴訟における基本的な枠組みを確定させた重要な意義を持つ。
事件番号: 平成30(受)1412 / 裁判年月日: 令和2年7月21日 / 結論: 棄却
1 著作権法19条1項の「著作物の公衆への提供若しくは提示」は,同法21条から27条までに規定する権利に係る著作物の利用によることを要しない。 2 インターネット上の情報ネットワークにおいてされた他人の著作物である写真の画像の掲載を含む投稿により,上記画像が,著作者名の表示の付された部分が切除された形で上記投稿に係るウ…
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1 プロバイダ責任制限法(令和3年法律第27号による改正後のもの)5条2項の規定は、権利の侵害を生じさせた特定電気通信及び当該特定電気通信に係る侵害関連通信が令和3年法律第27号の施行前にされたものである場合にも適用される。 2 インターネットを利用した情報ネットワーク上のアカウントにおいて他人の権利を侵害する投稿がさ…
事件番号: 平成11(受)766 / 裁判年月日: 平成13年3月27日 / 結論: その他
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