1 加入電話契約者以外の者がいわゆるダイヤルQ2事業における有料情報サービスを利用した場合には,加入電話契約者は,情報料債務を自ら負担することを承諾しているなど特段の事情がない限り,情報提供者に対する情報料の支払義務を負わない。 2 加入電話契約者甲以外の者が利用したいわゆるダイヤルQ2事業における有料情報サービスに係る情報料について,甲がその支払義務を負わず,甲の第1種電気通信事業者乙に対してした支払が法律上の原因を欠くという判示の事情の下においては,乙が受領した情報料相当額の金員を情報提供者に対して引き渡したとしても,乙は,これによって直ちに甲から支払を受けたことにより得た利得を喪失したものとはいえない。
1 加入電話契約者以外の者がいわゆるダイヤルQ2事業における有料情報サービスを利用した場合における加入電話契約者の情報料支払義務の有無 2 加入電話契約者以外の者が利用したいわゆるダイヤルQ2事業における有料情報サービスに係る情報料について加入電話契約者が第1種電気通信事業者に対してした支払が法律上の原因を欠く場合に同事業者がこれによって得た利得を喪失したものとはいえないとされた事例
平成9年法律第98号による改正前の日本電信電話株式会社法(昭和59年法律第85号)1条2項,民法第3編第2章契約,民法703条
判旨
加入電話契約者以外の者が無断でダイヤルQ2サービスを利用した場合、契約者が情報料債務を負担すると認める特段の事情がない限り、契約者の情報料支払は非債弁済となり、回収代行者たるNTTに対し不当利得返還請求ができる。
問題の所在(論点)
1. 加入電話契約者は、第三者(長男)による無断利用分の情報料債務を負うか。 2. 債務がないことを知りつつ支払った場合、第三者弁済として有効になるか。 3. 回収した金員を情報提供者に引き渡したNTTに「利得の現存」が認められるか。
規範
1. 有料情報提供契約の当事者でない加入電話契約者は、利用者の情報料債務を自ら負担することを承諾する等の特段の事情がない限り、情報料債務を負わない。 2. 非債弁済を受けた者が利得を第三者に引き渡しても、当該第三者に対して不当利得返還請求権を有する場合には、特段の事情がない限り、利得の現存(民法703条)は否定されない。
事件番号: 平成16(受)458 / 裁判年月日: 平成16年10月26日 / 結論: 棄却
甲が,乙と共に相続した預金債権のうちの乙の法定相続分に当たる部分について何らの受領権限もないのに受領権限があるものとして金融機関から払戻しを受けていながら,その払戻しに係る金員について乙が提起した不当利得返還請求訴訟において,一転して,上記払戻しは民法478条の弁済として有効であるとはいえず,乙が上記金融機関に対して乙…
重要事実
上告人の長男が、上告人に無断で自宅の加入電話からダイヤルQ2サービスを利用した。NTT(被上告人)は、情報提供者に代わって情報料を回収する約款に基づき、電話料金と合算して上告人に請求した。上告人は長男の利用を知りつつ支払ったが、後に不当利得として返還を求めた。NTTは既に手数料を控除した残額を情報提供者に送金済みであった。
あてはめ
1. NTTの約款は回収手続を定めたに過ぎず、契約者以外の利用について契約者が当然に債務を負担する根拠とはならない。本件では無断利用であり、特段の事情もないため上告人は債務を負わない。 2. 上告人は請求額に情報料が含まれることは認識していたが、自己の債務でないことまで認識して長男のために弁済する意思があったとはいえず、第三者弁済(474条)や非債弁済(705条)の抗弁は成立しない。 3. NTTが情報提供者に送金しても、本来回収義務のない金員である以上、NTTは情報提供者に対し不当利得返還請求権を有する。よって、この債権の価値に相当する利益がNTTに現存しているといえる。
結論
上告人の請求を認め、NTTは受領した情報料相当額(41万円)を不当利得として返還すべきである。
実務上の射程
契約上の当事者でない者が債務を負担しない原則を確認するとともに、不当利得における「利得の現存」について、損失者への返還前に第三者へ利得を転送しても、当該第三者への返還請求権があれば現存が肯定されるという判断枠組みとして重要である。
事件番号: 平成16(受)2134 / 裁判年月日: 平成17年7月11日 / 結論: その他
甲銀行に対し預金債権を有していた丁の死亡により,乙,丙及び戊が当該預金債権を相続したのに,甲銀行が当該預金債権の全額を乙及び丙に払い戻したこと,乙及び丙は,戊の法定相続分相当額の預金については,これを受領する権限がなかったにもかかわらず,払戻しを受けたものであり,この払戻しが債権の準占有者に対する弁済に当たるということ…
事件番号: 平成18(受)276 / 裁判年月日: 平成19年7月13日 / 結論: 破棄差戻
利息制限法1条1項所定の制限を超える利息を受領した貸金業者が,その預金口座への払込みを受けた際に貸金業の規制等に関する法律18条1項に規定する書面を債務者に交付していなかったために同法43条1項の適用を受けられない場合において,当該貸金業者が,事前に債務者に約定の各回の返済期日及び返済金額等を記載した償還表を交付してい…
事件番号: 平成26(受)1817 / 裁判年月日: 平成27年6月1日 / 結論: 破棄差戻
債務者が異議をとどめないで指名債権譲渡の承諾をした場合において,譲渡人に対抗することができた事由の存在を譲受人が知らなかったとしても,このことについて譲受人に過失があるときには,債務者は,当該事由をもって譲受人に対抗することができる。
事件番号: 平成23(受)516 / 裁判年月日: 平成23年9月30日 / 結論: 破棄差戻
貸金業者Yとその完全子会社である貸金業者Aの顧客Xとが,金銭消費貸借取引に係る基本契約を締結し,この際,Xが,Aとの継続的な金銭消費貸借取引における約定利息を前提とする残債務相当額をYから借り入れ,これをAに弁済してAとの取引を終了させた場合において,次の(1)〜(3)など判示の事情の下では,XとYとは,上記基本契約の…