沖縄防衛局長がSACO見舞金の支払手続をとらなかったことについて、国が国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負わないとされた事例
判旨
SACO見舞金の支給は、申請者との合意(契約)を前提とするものであり、支給手続が完了せず合意が成立していない以上、受給権や法律上保護される利益の侵害は認められず、国家賠償法1条1項の責任は負わない。
問題の所在(論点)
SACO見舞金の支給手続において、国側が受諾書の提出を条件として支払を行わなかったことが、国家賠償法1条1項の適用上、違法な不作為といえるか。具体的には、合意が成立していない段階で受給権等の法的利益が認められるかが問題となる。
規範
国家賠償法1条1項の違法性が認められるためには、公務員が職務上の法的義務に違反して、他人の権利又は法律上保護される利益を侵害したことを要する。給付行政上の措置が、法令ではなく閣議決定や通知等の行政上の仕組みに基づく場合、当該給付を受ける権利は、原則として申請者と国との間の合意(契約)の成立によって発生する。
重要事実
米兵による強盗傷害事件の被害者遺族である原告らは、加害者に対する損害賠償請求訴訟で勝訴確定後、日米地位協定18条6項に基づく合衆国政府からの慰謝料を受領した。その後、確定判決額との差額を補填する「SACO見舞金」の支給を申請したが、沖縄防衛局長は遅延損害金等を除外した額の提示にとどめ、かつ「今後いかなる申立てもしない」旨の受諾書の提出を求めた。原告らが受諾書を提出しなかったため、支給手続が進められなかった。
あてはめ
SACO見舞金制度は、日米地位協定の目的実現のため行政上の仕組み(閣議決定・局長通知等)として運用されており、受給には受諾書の提出を含む個別合意を要する。本件では、原告らは受諾書を提出しておらず、被告(国)との間で支給に関する合意が成立していない。したがって、原告らにSACO見舞金を受給する具体的な法的権利が発生したとはいえず、支払手続をとらなかったことが原告らの権利又は法律上保護される利益を侵害したとは認められない。
事件番号: 平成12(行ヒ)246 / 裁判年月日: 平成16年4月23日 / 結論: 棄却
1 道路が権原なく占有された場合には,道路管理者は,占有者に対し,占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を取得する。 2 道路占用許可を受けることなく都道にはみ出して設置されたたばこ等の自動販売機が約3万6000台もあったこと,その1台ごとに債務者を特定して債権額を算定するには多くの労力と多額の費用を要する…
結論
被告(国)は、沖縄防衛局長がSACO見舞金の支払手続をとらなかったことにつき、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負わない。
実務上の射程
閣議決定や通知に基づく「見舞金」等の行政上の給付について、合意成立前における受給権の発生を否定した事例。行政側の提示条件(本件では受諾書)を拒絶している段階では、公権力の行使による権利侵害を構成しにくいことを示唆しており、不作為の違法を争う際の限界を画するものである。
事件番号: 昭和43(行ツ)3 / 裁判年月日: 昭和47年11月16日 / 結論: 棄却
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律四五条一項に基づく措置要求を不問に付する旨の公正取引委員会の決定は、抗告訴訟の対象となる行政処分にあたらない。
事件番号: 昭和41(行ツ)94 / 裁判年月日: 昭和43年12月19日 / 結論: 棄却
小作地が農地法第六条の所有制限を受けるにかかわらず、農業委員会がこれにつき同法第八条所定の手続を開始しなかつたとしても、それだけでは、右小作地の小作人から、右農業委員会に対し、右第八条による公示および通知をなすべき義務あることの確認を求める訴を提起することはできない。