私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律四五条一項に基づく措置要求を不問に付する旨の公正取引委員会の決定は、抗告訴訟の対象となる行政処分にあたらない。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律四五条一項に基づく措置要求を不問に付する旨の公正取引委員会の決定と抗告訴訟
行政事件訴訟法3条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律45条1項
判旨
独占禁止法45条1項に基づく報告は公正取引委員会の職権発動を促す端緒に過ぎず、報告者に適当な措置を求める具体的請求権を付与するものではない。したがって、同報告に対する不問に付する決定は抗告訴訟の対象となる行政処分に該当せず、また不作為の違法確認の訴えも認められない。
問題の所在(論点)
独占禁止法45条1項に基づく報告および措置要求に対し、公正取引委員会に応答義務や適当な措置をとるべき義務があるか。また、同条項に基づく報告が、行政処分性や法令に基づく申請権を基礎づけるか。
規範
行政庁の行為が取消訴訟の対象となる行政処分(行訴法3条2項)に該当するためには、公権力の行使により直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められていることを要する。また、不作為の違法確認の訴えが適法となるためには、法令に基づく「申請」(行訴法3条5項、当時の解釈)をした者であることを要するが、その判断にあたっては、根拠法規が個人の具体的権利・利益の救済を目的としているか、単なる職権発動の端緒を規定しているに過ぎないかにより決すべきである。
重要事実
上告人は、独占禁止法違反の行為による被害を受けたとして、同法45条1項に基づき公正取引委員会に対し事実を報告し、適当な措置をとるよう求めた。しかし、公正取引委員会がこれを不問に付したため、上告人は、当該不問決定の取消し(不存在確認)および、異議申立てに対する不作為の違法確認を求めて出訴した。
あてはめ
独占禁止法45条1項の文言および、一般消費者の利益確保という同法の公益的目的(1条)を考慮すると、同規定は公正取引委員会の審査手続開始の職権発動を促す端緒に関する規定に留まる。報告者は審判手続への関与も当然には認められておらず(59条)、具体的な措置請求権を持つとは解されない。また、同法25条等の損害賠償制度は、公益保護を主眼とする同法違反状態の是正を補完する附随的制度であり、被害者の個人的利益の救済は民法上の不法行為法等により別途図られ得る。したがって、45条1項に基づく報告は「申請」にはあたらず、これに対する不問決定も被害者の具体的権利を侵害する「処分」には該当しない。
結論
独占禁止法45条1項に基づく報告は、公正取引委員会の応答義務や措置義務を発生させるものではなく、不問決定の取消訴訟および不作為の違法確認の訴えはいずれも不適法である。
実務上の射程
行政庁に対する「申告」や「報告」の権利が、単なる職権発動の端緒に過ぎないのか、それとも具体的応答を求める「申請権」を含むのかを判断する際のリーディングケースである。特に、行政法の処分性や原告適格、不作為の違法確認における『申請』の解釈において、根拠法の目的が『公益』か『個人の利益』かを区別する議論の枠組みとして重要である。
事件番号: 昭和41(行ツ)94 / 裁判年月日: 昭和43年12月19日 / 結論: 棄却
小作地が農地法第六条の所有制限を受けるにかかわらず、農業委員会がこれにつき同法第八条所定の手続を開始しなかつたとしても、それだけでは、右小作地の小作人から、右農業委員会に対し、右第八条による公示および通知をなすべき義務あることの確認を求める訴を提起することはできない。
事件番号: 平成12(行ヒ)246 / 裁判年月日: 平成16年4月23日 / 結論: 棄却
1 道路が権原なく占有された場合には,道路管理者は,占有者に対し,占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を取得する。 2 道路占用許可を受けることなく都道にはみ出して設置されたたばこ等の自動販売機が約3万6000台もあったこと,その1台ごとに債務者を特定して債権額を算定するには多くの労力と多額の費用を要する…
事件番号: 昭和44(行ツ)10 / 裁判年月日: 昭和45年10月16日 / 結論: 破棄自判
朝鮮民主主義人民共和国創建二〇周年祝賀行事に参加することを目的とする再入国許可申請に対してされた不許可処分の取消を求める訴は、参加を予定した右行事のすべてが終了した後約一か月を経過した時点においては、すでに判決を求める法律上の利益を喪失したものというべきである。
事件番号: 令和5(行ヒ)430 / 裁判年月日: 令和6年12月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】SACO見舞金の支給は、申請者との合意(契約)を前提とするものであり、支給手続が完了せず合意が成立していない以上、受給権や法律上保護される利益の侵害は認められず、国家賠償法1条1項の責任は負わない。 第1 事案の概要:米兵による強盗傷害事件の被害者遺族である原告らは、加害者に対する損害賠償請求訴訟…