一 給油業者がした消防法一一条一項の規定に基づく給油取扱所変更許可申請につき、その元売業者らに対し許可書の写しが交付された場合において、それが同人らの懇請に応じ当該年度の給油取扱所の変更の枠を確保させることを目的として主務官庁に対する関係であたかも許可処分があつたかのような状況を作出するためにされたものにすぎず、申請人に対する許可処分そのものは隣接住民の同意書の提出をまつて許可書の原本を交付することによつて行うこととされ、右元売業者らもこれを了承していたなど判示の事実関係があるときは、申請人に薄する許可処分の外部的意思表示がされたものとみることはできず、右許可処分は、行政処分として有効に成立したものとはいえない。 二 (省略)
一 消防法一一条一項の規定に基づく給油取扱所変更許可処分が行政処分として有効に成立していないとされた事例 二 消防法一一条一項の規定に基づく給油取扱所変更許可処分を前提とする灯油等専用一般取扱所設置許可申請に係る行政庁の不作為の違法確認の訴えが右変更許可処分の不存在を理由として却下された事例 三 消防法一一条一項の規定に基づく給油取扱所変更許可処分につき隣接住民の同意書を提出する義務の不存在確認の訴えが右変更許可処分の不存在を理由として却下された事例
消防法11条1項,行政事件訴訟法3条4項
判旨
行政処分が有効に成立するためには、意思決定の内容が何らかの形式で外部に表示されることを要し、相手方の受領を要する処分については、相手方に告知され又は到達すること(了知しうべき状態におかれること)が必要である。第三者に許可書の写しを交付したにすぎず、相手方本人に対し原本の交付を拒んでいるような状況では、処分の外部的意思表示があったとは認められず、処分は未だ成立していない。
問題の所在(論点)
行政処分(変更許可処分)が有効に成立し、効力を生じるための要件は何か。また、本人以外の第三者に許可書の写しを交付したにとどまる場合に「外部的意思表示」があったといえるか。
規範
行政処分が有効に成立するためには、単に庁内部で意思決定がなされ、または書面が作成されるだけでは足りず、その意思決定が何らかの形式で「外部に表示」されることが必要である。さらに、名宛人の受領を要する行政処分においては、処分が相手方に告知され、または相手方に到達すること、すなわち「相手方の了知しうべき状態におかれること」によって、はじめて相手方に対する効力が生じる。
事件番号: 昭和43(行ツ)3 / 裁判年月日: 昭和47年11月16日 / 結論: 棄却
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律四五条一項に基づく措置要求を不問に付する旨の公正取引委員会の決定は、抗告訴訟の対象となる行政処分にあたらない。
重要事実
給油取扱所の変更許可を申請した被上告人に対し、上告人(市)は許可書の原本と写しを作成した。しかし、上告人は隣接住民の同意書提出を条件として原本の交付を拒み、被上告人の代理権を有しない元売会社に対し、通産省への枠確保という便宜目的で「許可書の写し」を交付したにすぎなかった。その後、被上告人は許可処分の存在確認や、不作為の違法確認等を求めて提訴した。
あてはめ
本件における許可書の写しの交付は、通産省に対する関係で便宜上許可があったかのような状況を作出する目的になされたものにすぎない。上告人は、隣接住民の同意書が提出されるまで原本を交付しない方針を維持しており、元売会社側もそれを了承していた。そうであれば、写しの交付をもって被上告人に対する許可処分の外部的意思表示がされたとは評価できず、告知・到達も認められない。したがって、本件変更許可処分は行政処分として未だ成立していないと解される。
結論
本件変更許可処分は存在せず、その効力も有しない。また、処分の存在を前提とする不作為の違法確認請求や義務不存在確認請求は、訴えの利益を欠き不適法である。
実務上の射程
行政処分の成立時期(成立要件)に関するリーディングケースである。答案では、処分の存否が争点となる場面や、不作為の違法確認訴訟において「申請に対する何らかの処分」がなされたか否かを論じる際に、本規範を用いる。外部的表示・到達の有無が処分の存否の分水嶺となる点を強調すべきである。
事件番号: 昭和41(行ツ)94 / 裁判年月日: 昭和43年12月19日 / 結論: 棄却
小作地が農地法第六条の所有制限を受けるにかかわらず、農業委員会がこれにつき同法第八条所定の手続を開始しなかつたとしても、それだけでは、右小作地の小作人から、右農業委員会に対し、右第八条による公示および通知をなすべき義務あることの確認を求める訴を提起することはできない。
事件番号: 平成28(行ヒ)394 / 裁判年月日: 平成28年12月20日 / 結論: 棄却
1 公有水面の埋立てが公有水面埋立法4条1項1号の要件に適合するとした県知事の判断には,当該埋立てがアメリカ合衆国軍隊の使用する飛行場の代替施設を設置するために実施されるものであって,県知事が,当該代替施設の面積や埋立面積が当該飛行場の施設面積と比較して相当程度縮小されることに加え,滑走路延長線上を海域とすることにより…
事件番号: 平成12(行ヒ)246 / 裁判年月日: 平成16年4月23日 / 結論: 棄却
1 道路が権原なく占有された場合には,道路管理者は,占有者に対し,占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を取得する。 2 道路占用許可を受けることなく都道にはみ出して設置されたたばこ等の自動販売機が約3万6000台もあったこと,その1台ごとに債務者を特定して債権額を算定するには多くの労力と多額の費用を要する…