1 公有水面の埋立てが公有水面埋立法4条1項1号の要件に適合するとした県知事の判断には,当該埋立てがアメリカ合衆国軍隊の使用する飛行場の代替施設を設置するために実施されるものであって,県知事が,当該代替施設の面積や埋立面積が当該飛行場の施設面積と比較して相当程度縮小されることに加え,滑走路延長線上を海域とすることにより航空機が住宅地の上空を飛行することが回避されること並びに当該代替施設が既に同国軍隊に提供されている施設及び区域の一部を利用して設置されること等に照らし,同号の要件に適合すると判断したものであり,当該判断が事実の基礎を欠くものであることや,その内容が社会通念に照らし明らかに妥当性を欠くとの事情は認められないという事情の下では,違法又は不当があるとはいえない。 2 公有水面の埋立てが公有水面埋立法4条1項2号の要件に適合するとした県知事の判断には,同号の要件に適合するか否かに関して県が定めた審査基準に特段不合理な点があることはうかがわれないこと,関係市町村長等からの回答内容を踏まえた上で行われた当該判断の過程及び内容に特段不合理な点があることはうかがわれないことなど判示の事情の下では,違法又は不当があるとはいえない。 3 内閣総理大臣又は各省大臣は,その所管する法律又はこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認める場合には,当然に地方自治法245条の7第1項に基づいて是正の指示をすることができる。 4 国土交通大臣が,県に対し,公有水面の埋立ての承認の取消しが違法であるとして,地方自治法245条の7第1項に基づいて当該承認の取消しを取り消すよう是正の指示をしたにもかかわらず,県知事が当該承認の取消しを取り消さなかったことについて,当該是正の指示に係る措置の内容が当該承認の取消しを取り消すという県知事の意思表示を求めるものであること,当該是正の指示がされた日の約4か月前に国土交通大臣が提起した同法245条の8第3項所定の訴訟において当該承認の取消しの適否が問題とされていたことなど判示の事情の下では,当該是正の指示がされた日の1週間後の日の経過により,同法251条の7第1項にいう相当の期間が経過したものと認められる。
1 公有水面の埋立てが公有水面埋立法4条1項1号の要件に適合するとした県知事の判断に違法又は不当があるとはいえないとされた事例 2 公有水面の埋立てが公有水面埋立法4条1項2号の要件に適合するとした県知事の判断に違法又は不当があるとはいえないとされた事例 3 内閣総理大臣又は各省大臣が地方自治法245条の7第1項の是正の指示をすることができる場合 4 国土交通大臣が県に対し公有水面の埋立ての承認の取消しが違法であるとしてこれを取り消すよう是正の指示をしたにもかかわらず,県知事が当該承認の取消しを取り消さなかったことについて,地方自治法251条の7第1項にいう相当の期間が経過したとされた事例
(1~4につき)公有水面埋立法4条1項,公有水面埋立法42条1項,公有水面埋立法42条3項 (3,4につき)地方自治法2条9項1号,地方自治法245条の7第1項,公有水面埋立法51条1号,国土交通省設置法(平成27年法律第66号による改正前のもの)4条57号,国土交通省設置法4条1項57号 (4につき)地方自治法245条の8第3項,地方自治法251条の7第1項
判旨
公有水面埋立承認の職権取消しの適否は、処分時点の事情に照らし承認に違法等があるか否かで判断され、裁量権の逸脱濫用がない限り適法な承認を後発的に取り消すことは許されない。
問題の所在(論点)
法定受託事務に係る知事の職権取消処分が「法令の規定に違反」しているか。具体的には、本件承認に職権取消を正当化する「違法等」の瑕疵が認められるか。
規範
行政庁が権利付与的処分を職権で取り消す場合、その適否は当該処分時点の事情に照らし、処分に違法又は不当(以下「違法等」)が認められるか否かで判断される。公有水面埋立法4条1項各号は知事の裁量を前提とした最小限の要件である。1号要件(国土利用上の適正・合理性)の判断は、諸般の事情を総合考慮した結果が事実の基礎を欠くか社会通念上著しく妥当性を欠かない限り、瑕疵はない。2号要件(環境保全・災害防止)の判断は、専門技術的知見に基づく判断に不合理な点がない限り、違法等とはならない。
重要事実
沖縄県知事(前知事)は、米軍普天間飛行場の代替施設建設のため、公有水面埋立承認(本件承認)を行った。その後、後任の知事(上告人)が、本件承認には1号・2号要件に適合しない瑕疵があるとして、本件承認を職権で取り消した。これに対し、国土交通大臣(被上告人)が地方自治法245条の7第1項に基づき是正の指示をしたが、知事が従わなかったため、不作為の違法確認を求めて提訴した。
あてはめ
1号要件について、前知事は騒音被害や危険性除去の喫緊性を前提に、施設面積の縮小や住宅地上空の飛行回避等を考慮して適正・合理性を認めており、事実の基礎を欠く等の事情はない。2号要件についても、環境影響評価書や専門的知見に基づき、工法や保全措置を検討した過程に不合理な点は認められない。したがって、本件承認に違法等は認められず、これを瑕疵があるとして取り消した上告人の処分は、公有水面埋立法の適用を誤った違法なものである。
結論
本件承認に違法等はないため、上告人による職権取消しは違法であり、是正の指示に従わない不作為も違法である。
実務上の射程
行政処分の職権取消しに関する一般的審査枠組みを示すとともに、公有水面埋立法4条1項の要件審査における知事の裁量を広く認めた。法定受託事務の是正の指示に関する要件(地方自治法245条の7第1項)の解釈としても重要である。
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1 沖縄県漁業調整規則(昭和47年沖縄県規則第143号。令和2年沖縄県規則第53号による改正前のもの)41条1項に基づく水産動植物の採捕に係る許可に関する県知事の判断は,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たると認められる場合には,地方自治法245条の7第1項所定の法令の規定に違反していると認められるものに該当する。 2…