小作地が農地法第六条の所有制限を受けるにかかわらず、農業委員会がこれにつき同法第八条所定の手続を開始しなかつたとしても、それだけでは、右小作地の小作人から、右農業委員会に対し、右第八条による公示および通知をなすべき義務あることの確認を求める訴を提起することはできない。
農地法第六条の所有制限を受ける小作地の小作人から農業委員会に対し同法第八条所定の手続を開始する義務あることの確認を求める訴の許否
民訴法226条,行政事件訴訟法7条,農地法8条
判旨
農地法に基づき、農業委員会が小作地の公示等の手続を行わないことは、小作人の権利利益を侵害するものとはいえず、当該手続の義務確認を求める訴えの利益は認められない。
問題の所在(論点)
農地法6条の所有制限に抵触する土地の小作人は、農業委員会に対し、同法8条所定の公示等の手続をなすべき義務の確認を求める訴えの利益(または原告適格)を有するか。同法が小作人に対して所有権取得に関する法律上の利益を保障しているかが問題となる。
規範
行政庁が一定の公法上の手続を開始すべき義務を負う場合であっても、当該手続が特定の個人の利益を保護することを目的とせず、単に公益的観点から行われるものであるときは、当該個人は手続の実施を要求する法律上の地位を有さず、訴えの利益(原告適格)を欠く。
重要事実
農地法6条の所有制限を受ける小作地の小作人である上告人が、農業委員会(被上告人)に対し、同法8条に基づく公示および通知(強制買収等の端緒となる手続)を行う義務があることの確認を求めて提訴した事案。上告人は、公示がなされることで任意譲渡の譲受期待権や、国による強制買収後の売渡を受ける期待権が生じると主張した。
事件番号: 昭和44(行ツ)10 / 裁判年月日: 昭和45年10月16日 / 結論: 破棄自判
朝鮮民主主義人民共和国創建二〇周年祝賀行事に参加することを目的とする再入国許可申請に対してされた不許可処分の取消を求める訴は、参加を予定した右行事のすべてが終了した後約一か月を経過した時点においては、すでに判決を求める法律上の利益を喪失したものというべきである。
あてはめ
農地法による所有制限の解消手段(任意譲渡や強制買収)は、小作人の意向にかかわらず施行されるべき手続である。同法3条2項1号や36条1項1号は、処分がなされる際の小作人の優先的地位を定めたに過ぎない。これら規定は、小作人に対し、自己のために譲渡や買収等の処分発動を要求する権利までを認めたものではない。したがって、農業委員会が手続を開始しないこと自体は、小作人の法律上の権利利益を侵すものとは認められない。
結論
上告人の請求について訴えの利益(原告適格)を認めず、訴えを却下した原判決の結論は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
行政事件訴訟法制定前の判例であるが、義務付け訴訟における「法律上の利益」や原告適格の判断において、当該規定が個人の具体的利益を保護する趣旨か、単なる反射的利益に過ぎないかを区別する際の古典的な指針となる。
事件番号: 昭和43(行ツ)3 / 裁判年月日: 昭和47年11月16日 / 結論: 棄却
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律四五条一項に基づく措置要求を不問に付する旨の公正取引委員会の決定は、抗告訴訟の対象となる行政処分にあたらない。
事件番号: 平成12(行ヒ)246 / 裁判年月日: 平成16年4月23日 / 結論: 棄却
1 道路が権原なく占有された場合には,道路管理者は,占有者に対し,占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を取得する。 2 道路占用許可を受けることなく都道にはみ出して設置されたたばこ等の自動販売機が約3万6000台もあったこと,その1台ごとに債務者を特定して債権額を算定するには多くの労力と多額の費用を要する…