朝鮮民主主義人民共和国創建二〇周年祝賀行事に参加することを目的とする再入国許可申請に対してされた不許可処分の取消を求める訴は、参加を予定した右行事のすべてが終了した後約一か月を経過した時点においては、すでに判決を求める法律上の利益を喪失したものというべきである。
再入国許可申請に対する不許可処分の取消を求める訴の利益が失われたものとされた事例
行政事件訴訟法9条,出入国管理令26条1項,出入国管理令施行規則24条,出入国管理令施行規則別記25号様式
判旨
再入国許可申請に対する不許可処分の取消訴訟において、申請に係る旅行目的が特定の行事への参加にある場合、当該行事の終了後相当期間が経過し、もはやその目的を達することが不可能な時点では、訴えの利益が失われる。
問題の所在(論点)
特定の時期・行事への参加を目的とした再入国許可申請に対する不許可処分の取消訴訟において、当該行事が終了した場合に、処分の取消しを求める訴えの利益が認められるか。
規範
取消訴訟の提起には「法律上の利益」(行政事件訴訟法9条)が必要であり、処分を取り消すことによって回復すべき利益が消滅した場合には、訴えの利益を欠くものとして却下される。特に特定の時期や行事と結びついた処分の取消しを求める場合、その時期の経過により目的達成が客観的に不可能となったか否かによって判断すべきである。
重要事実
朝鮮民主主義人民共和国の建国20周年(昭和43年9月9日)の祝賀行事に参加するため、在日朝鮮人である被上告人らが再入国許可を申請したが、不許可処分を受けた。被上告人らは、同年8月22日から10月23日までの日程で、平壌等での祝賀大会や芸術祝典に参加する予定であった。原審の口頭弁論終結時(同年11月27日)には、予定されていたすべての祝賀行事が終了してから約1か月が経過していた。
事件番号: 昭和41(行ツ)94 / 裁判年月日: 昭和43年12月19日 / 結論: 棄却
小作地が農地法第六条の所有制限を受けるにかかわらず、農業委員会がこれにつき同法第八条所定の手続を開始しなかつたとしても、それだけでは、右小作地の小作人から、右農業委員会に対し、右第八条による公示および通知をなすべき義務あることの確認を求める訴を提起することはできない。
あてはめ
被上告人らの旅行目的は、申請書の記載によれば「共和国創建20周年の各種祝賀行事への参加」に限定されている。参加を予定していた祝典は同年10月28日までに終了しており、原審の口頭弁論終結時である同年11月27日の時点では、これらすべての行事が終了してから約1か月が経過している。したがって、当該目的で祖国を訪問する意義はもはや失われており、処分を取り消したとしても被上告人らが申請に係る当初の目的を達することはできない。また、本件不許可処分は特定の旅行目的・日程に対してなされたものであり、将来の別の日程による再入国申請を妨げるものでもないから、なお取消しを求める必要性も認められない。
結論
被上告人らの本訴請求は、原審の口頭弁論終結時において、すでに判決を求める法律上の利益を喪失しており、訴えは却下されるべきである。
実務上の射程
時の経過により訴えの利益が消滅する「狭義の訴えの利益」に関する典型的事例。答案では、原告が主張する具体的な権利・利益が、事後的(口頭弁論終結時まで)に、いかなる理由で実効性を失ったかを論証する際の参考となる。特に特定のイベント参加のような、時の経過と目的達成が密接に関わる事案に射程が及ぶ。
事件番号: 平成12(行ヒ)246 / 裁判年月日: 平成16年4月23日 / 結論: 棄却
1 道路が権原なく占有された場合には,道路管理者は,占有者に対し,占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を取得する。 2 道路占用許可を受けることなく都道にはみ出して設置されたたばこ等の自動販売機が約3万6000台もあったこと,その1台ごとに債務者を特定して債権額を算定するには多くの労力と多額の費用を要する…
事件番号: 昭和43(行ツ)3 / 裁判年月日: 昭和47年11月16日 / 結論: 棄却
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律四五条一項に基づく措置要求を不問に付する旨の公正取引委員会の決定は、抗告訴訟の対象となる行政処分にあたらない。