大学の人間生活学部人間生活学科生活福祉コースにおいて、介護福祉士等の資格及びその実務経験を有する教員により、介護実習、レクリエーション現場実習といった授業等が実施されていたなど判示の事情の下においては、上記コースの講師の職は、大学の教員等の任期に関する法律4条1項1号所定の教育研究組織の職に当たる。
大学の講師の職が大学の教員等の任期に関する法律4条1項1号所定の教育研究組織の職に当たるとされた事例
大学の教員等の任期に関する法律4条1項1号、大学の教員等の任期に関する法律5条1項、大学の教員等の任期に関する法律7条1項、労働契約法18条1項
判旨
大学の教員等の任期に関する法律4条1項1号にいう「教育研究組織の職」の意義は、各大学等の実情を踏まえた判断を尊重する趣旨に鑑み、殊更厳格に解すべきではない。最新の実務経験や知見を不断に採り入れることが望ましい実習等の授業を担当する職は、多様な人材の確保が特に求められる職として同号に該当する。
問題の所在(論点)
労働契約法18条1項の特例(無期転換期間の10年への延長)を定める任期法7条1項の適用前提として、本件講師職が同法4条1項1号の「多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職」に該当するか。
規範
大学教員等の任期制の採用やその運用は、大学等の多様な人材受入れを図る趣旨から、各大学等の実情を踏まえた判断を尊重すべきである。したがって、任期法4条1項1号所定の「教育研究組織の職」の意義について、殊更に厳格に解するのは相当ではない。最新の実務経験や知見を不断に採り入れることが望ましい教育研究の特性がある場合には、同号の「多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職」に当たると解される。
重要事実
学校法人であるYは、大学の生活福祉コースにおいて介護福祉士等の資格と実務経験を有する専任教員を募集し、Xと任期3年の労働契約を締結した。Xは講師(本件講師職)として介護実習や演習等を担当し、1回の契約更新を経て通算5年を超えて勤務した。Xは労働契約法18条1項に基づき無期転換を申し込んだが、Yは本件講師職が任期法4条1項1号の職に該当し、無期転換申込権発生までの期間は同法7条1項により10年であると主張して争った。
あてはめ
Xが担当していた介護実習やレクリエーション現場実習等は、実務経験を活かした実践的な教育研究である。このような教育研究においては、教員の流動性を高めることで最新の実務経験や知見を不断に採り入れることが望ましいという特性がある。この特性に鑑みれば、本件講師職は多様な知識・経験を有する人材の確保が特に求められる職といえる。原審は、定期的な入替えの合理的理由や研究的側面の乏しさを理由に該当性を否定したが、任期法の趣旨に照らせば厳格に過ぎ、妥当ではない。
結論
本件講師職は任期法4条1項1号所定の職に該当する。したがって、無期転換期間は10年となり、5年経過時点での無期労働契約の成立を認めた原判決は破棄を免れない。
実務上の射程
大学教員の無期転換期間に関する紛争において、大学側の裁量を広く認める判断枠組みを示した。実務上は、担当科目の内容(実務との密接性)から「最新の知見を採り入れる必要性」を論証することで、特例の適用範囲を柔軟に主張することが可能となる。
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