文化功労者年金法に基づく年金の支給を受ける権利に対しては強制執行をすることができる。
文化功労者年金法に基づく年金の支給を受ける権利に対する強制執行の可否
文化功労者年金法1条、文化功労者年金法3条1項、文化功労者年金法3条2項、民事執行法143条、民事執行法152条
判旨
文化功労者年金法に基づく年金の支給を受ける権利は、法律に差し押さえを禁ずる規定がなく、その性質も受領自体が表彰の目的達成に不可欠とはいえないため、強制執行の対象となる。
問題の所在(論点)
文化功労者年金法に基づく年金の支給を受ける権利が、法律上の規定、またはその性質上、強制執行(仮差押え)の対象となるか。特に、本人が受領しなければ顕彰の目的が達せられない性質の権利といえるか。
規範
特定の給付を受ける権利について、法律に強制執行を禁止する明文の規定がない場合、その権利が性質上強制執行に適さない(民事執行法193条1項等参照)といえるためには、給付の目的が受給者本人による現実の受領がなければ達成できないものであることを要する。
重要事実
債権者である抗告人が、文化功労者である相手方を債務者とし、相手方の国に対する文化功労者年金法に基づく年金支給受給権(本件年金)を対象として仮差押命令の申立てを行った事案。原審は、本件年金が制度の目的上、本人が現実に受領しなければ意味をなさない性質を有するとして、強制執行を認めず申立てを却下した。
事件番号: 令和5(許)9 / 裁判年月日: 令和5年10月6日 / 結論: 破棄差戻
1筆の土地の一部分についての所有権移転登記請求権を有する債権者が当該登記請求権を被保全権利として当該土地の全部について処分禁止の仮処分命令の申立てをした場合に、当該債権者において当該一部分について分筆の登記の申請をすることができない又は著しく困難であるなどの特段の事情が認められるときは、当該仮処分命令は、当該土地の全部…
あてはめ
まず、文化功労者年金法その他の法令に、当該年金受給権に対する強制執行を禁止する規定は存在しない。次に、同法の目的は、顕著な功績のある者を顕彰することにあるが(同法1条)、国が文化功労者を決定し年金受給権を認めること自体によって表彰の目的は達せられる。したがって、受給者が現実に年金を受領しなければ目的が達せられないとはいえず、性質上の不差押債権には当たらない。評価として、本件年金は功績等を世間に知らせ表彰することに主眼があり、受領権の移転を拒むべき強い一身専属性は認められない。
結論
本件年金の支給を受ける権利に対しては強制執行をすることができる。よって、本件仮差押命令の申立てを却下した原決定は法令違反があり、取り消されるべきである。
実務上の射程
文化功労者年金という公的な金銭給付権であっても、明文の差押禁止規定がない限り、原則として強制執行が可能であることを明示した。性質上の不差押債権の範囲を厳格に解する実務指針となり、公的給付であっても『顕彰(表彰)』目的のみでは差押えを免れないことを示す。
事件番号: 平成27(許)15 / 裁判年月日: 平成28年3月18日 / 結論: 棄却
建物の区分所有等に関する法律59条1項に規定する競売を請求する権利を被保全権利として,民事保全法53条又は55条に規定する方法により仮処分の執行を行う処分禁止の仮処分を申し立てることはできない。
事件番号: 昭和23(ク)25 / 裁判年月日: 昭和23年9月22日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所への抗告は、訴訟法が特に最高裁の権限と定める場合や、憲法上の判断の不当を理由とする場合に限られ、それ以外は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対して最高裁判所への抗告を申し立てた。しかし、当該抗告申立書の内容を精査したところ、原決定においてなされた憲法上の判断の…
事件番号: 令和4(許)6 / 裁判年月日: 令和4年8月16日 / 結論: 棄却
刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律98条の定める作業報奨金の支給を受ける権利に対して強制執行をすることはできない。
事件番号: 平成20(許)49 / 裁判年月日: 平成21年8月12日 / 結論: 破棄差戻
債権の管理又は回収の委託を受けた弁護士が,その手段として本案訴訟の提起や保全命令の申立てをするために当該債権を譲り受ける行為は,他人間の法的紛争に介入し,司法機関を利用して不当な利益を追求することを目的として行われたなど,公序良俗に反するような事情があれば格別,仮にこれが弁護士法28条に違反するものであったとしても,直…