債権の管理又は回収の委託を受けた弁護士が,その手段として本案訴訟の提起や保全命令の申立てをするために当該債権を譲り受ける行為は,他人間の法的紛争に介入し,司法機関を利用して不当な利益を追求することを目的として行われたなど,公序良俗に反するような事情があれば格別,仮にこれが弁護士法28条に違反するものであったとしても,直ちにその私法上の効力が否定されるものではない。 (補足意見がある。)
債権の管理又は回収の委託を受けた弁護士が,その手段として本案訴訟の提起や保全命令の申立てをするために当該債権を譲り受ける行為の私法上の効力
弁護士法28条,民法90条
判旨
弁護士が債権回収の手段として訴訟提起等のために債権を譲り受ける行為は、公序良俗に反する等の特段の事情がない限り、仮に弁護士法28条に違反するとしても直ちに私法上の効力は否定されない。
問題の所在(論点)
弁護士が訴訟提起等の便宜のために債権を譲り受ける行為が、弁護士法28条に抵触する場合に、その債権譲渡の私法上の効力が否定されるか。
規範
債権の管理・回収の委託を受けた弁護士が、その手段として訴訟提起や保全命令の申立てをするために当該債権を譲り受ける行為は、他人間の法的紛争に介入し司法機関を利用して不当な利益を追求することを目的とするなど、公序良俗に反する事情がない限り、仮に弁護士法28条(係争権利の譲受禁止)に違反するものであっても、直ちにその私法上の効力が否定されるものではない。
重要事実
外国法人である譲渡人は、相手方に対する経費負担金請求権(本件債権)を有していた。弁護士である抗告人は、譲渡人から本件債権の回収を依頼されたが、譲渡人が日本国内に拠点を持たず訴訟追行上の困難があるため、本案訴訟提起や保全申立て等の便宜を図る目的で本件債権を譲り受け、自ら仮差押命令を申し立てた。
事件番号: 令和6(許)1 / 裁判年月日: 令和6年10月23日 / 結論: 破棄差戻
文化功労者年金法に基づく年金の支給を受ける権利に対しては強制執行をすることができる。
あてはめ
抗告人は弁護士であり、本件債権の譲受けは、管理・回収の手段として本案訴訟や保全申立てを行うことを目的としたものである。このような事情は、他人間の法的紛争に介入して不当な利益を追求したといった公序良俗に反する事態には当たらない。したがって、仮に本件譲渡が弁護士法28条に抵触する可能性があるとしても、直ちに無効とはいえず、被保全権利の存在は否定されない。
結論
本件債権譲渡の私法上の効力は認められる。したがって、被保全権利の疎明がないとして申立てを却下した原決定には法令違反があり、破棄・差し戻しを免れない。
実務上の射程
弁護士法28条違反の私法上の効力に関するリーディングケース。取締規定としての性格を強調し、公序良俗違反(民法90条)に至らない限り私法上の効力を維持する。ただし、補足意見が示す通り、弁護士職務基本規程17条違反として懲戒対象となり得る点には注意を要する。
事件番号: 平成29(許)10 / 裁判年月日: 平成29年12月19日 / 結論: 棄却
賃借人Yが契約当事者を実質的に変更したときは賃貸人Xは契約を解除し違約金を請求することができる旨の定めのある建物の賃貸借契約において,Yが吸収分割の後は責任を負わないものとする吸収分割により契約当事者の地位をAに承継させた場合に,次の(1)~(3)など判示の事情の下においては,Yが,上記賃貸借契約を解除したXに対し,上…
事件番号: 平成27(許)15 / 裁判年月日: 平成28年3月18日 / 結論: 棄却
建物の区分所有等に関する法律59条1項に規定する競売を請求する権利を被保全権利として,民事保全法53条又は55条に規定する方法により仮処分の執行を行う処分禁止の仮処分を申し立てることはできない。
事件番号: 昭和28(ク)79 / 裁判年月日: 昭和29年6月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法25条1項は国に対し健康で文化的な最低限度の生活を営ませる義務を課すにとどまり、個々の国民に具体的・現実的な権利を付与するものではない。また、憲法21条の表現の自由は、私法関係等に基づく義務により制限を受け得る。 第1 事案の概要:会社側の整理基準に基づき、欠勤・遅参・早退が多い者(基準6該当…
事件番号: 平成20(許)36 / 裁判年月日: 平成21年1月27日 / 結論: 破棄自判
特許権又は専用実施権の侵害差止めを求める仮処分事件は,特許法105条の4第1項柱書き本文に規定する「特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟」に該当し,上記仮処分事件においても,同項に基づく秘密保持命令の申立てをすることが許される。