1 公職選挙法251条の規定により遡って大阪市の議会の議員の職を失った当選人は、同市に対し、当該当選人を唯一の所属議員とする会派の行った大阪市会政務活動費の交付に関する条例(平成13年大阪市条例第25号)5条所定の政務活動に関し、不当利得返還請求権を有することはない。 2 公職選挙法251条の規定により遡って大阪市の議会の議員の職を失った当選人は、同市に対し、上記議会の議員として行った活動に関し、不当利得返還請求権を有することはない。 (2につき補足意見及び反対意見がある。)
1 公職選挙法251条の規定により遡って大阪市の議会の議員の職を失った当選人は同市に対し当該当選人を唯一の所属議員とする会派の行った大阪市会政務活動費の交付に関する条例(平成13年大阪市条例第25号)5条所定の政務活動に関し不当利得返還請求権を有するか 2 公職選挙法251条の規定により遡って大阪市の議会の議員の職を失った当選人は同市に対し上記議会の議員として行った活動に関し不当利得返還請求権を有するか
(1、2につき)公職選挙法251条、民法703条 (1につき)地方自治法100条14項、大阪市会政務活動費の交付に関する条例(平成13年大阪市条例第25号)2条、大阪市会政務活動費の交付に関する条例(平成13年大阪市条例第25号)5条、大阪市会政務活動費の交付に関する条例(平成13年大阪市条例第25号)別表第1 (2につき)地方自治法203条1項、地方自治法203条3項、大阪市会議員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例(昭和31年大阪市条例第32号)2条、大阪市会議員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例(昭和31年大阪市条例第32号)5条1項、大阪市会議員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例(昭和31年大阪市条例第32号)5条2項
判旨
公職選挙法251条の規定により当選が無効とされ、遡って市会議員の職を失った者が議員として活動を行っていたとしても、その活動は地方公共団体との関係で価値を有しないため、当該活動に基づく不当利得返還請求権を地方公共団体に対して取得することはない。
問題の所在(論点)
公職選挙法251条により当選が無効となり遡って失職した者が、失職前に行った議員活動等について、地方公共団体に対し不当利得返還請求権(民法703条)を取得するか。すなわち、当該活動が地方公共団体にとって「利益」と評価できるか。
規範
1. 公職選挙法251条は、選挙の公明・適正を害した当選人の当選の効力を遡って失わせるものである。2. 同条により遡って失職した者が行った活動は、正当に選挙された議員による活動ではなく、地方公共団体との関係で価値を有しないと評価すべきである。3. また、政務活動費についても、議員の活動に資する助成として交付されるものであり、活動の対価ではない。したがって、失職した者が行った活動に基づき、地方公共団体に対し不当利得返還請求権(民法703条)を取得することはない。
重要事実
被上告人は市会議員選挙で当選したが、後に選挙犯罪による有罪判決が確定し、公職選挙法251条により当選が無効となった。上告人(大阪市)は、失職前に被上告人に支給した議員報酬等および政務活動費について、不当利得(民法703条)として返還を求めた。これに対し、被上告人は、自身が失職前に行った議員活動や調査研究等は上告人の利益になったと主張し、これに基づく不当利得返還請求権を自働債権として相殺の抗弁を主張した。
あてはめ
1. 議員報酬等について:被上告人は自ら選挙の公明を害して失職した者であり、その活動は正当な議員によるものとはいえない。そのため、外形上の活動があっても、上告人(市)との関係で価値を有しないと評価せざるを得ない。2. 政務活動費について:これは調査研究等の助成として交付されるもので、対価性がない。したがって、唯一の所属議員である被上告人が活動を行っても、上告人が利益を受けたとは評価できない。3. 以上より、被上告人には上告人に対する不当利得返還請求権が発生しないため、相殺の抗弁は成立しない。
結論
被上告人は、市会議員として行った活動に関し、上告人に対し不当利得返還請求権を有することはない。したがって、被上告人による相殺の抗弁は認められない。
実務上の射程
当選無効(遡及的失職)に伴う報酬返還請求訴訟における、議員側からの「労務提供による利得」の主張を明確に否定した射程の広い判例。不当利得における「利得」の有無を判断する際、公職選挙法の趣旨に照らした価値判断を導入している点が重要である。答案上では、議員報酬の対価性や選挙の公正という目的から「利益」の存否を論じる際の規範として活用できる。
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