逃亡犯罪人引渡法に基づく仮拘禁許可状の発付に対する不服申立ての許否
逃亡犯罪人引渡法5条2項、逃亡犯罪人引渡法25条、刑訴法433条、裁判所法7条、裁判所法8条、憲法34条
判旨
逃亡犯罪人引渡法に基づく仮拘禁許可状の発付は、裁判官による特別の行為であり刑事訴訟法上の裁判に該当せず、同法に不服申立ての規定がない以上、特別抗告をすることは許されない。
問題の所在(論点)
逃亡犯罪人引渡法に基づく仮拘禁許可状の発付に対し、刑事訴訟法を準用して特別抗告を申し立てることが許されるか。また、これを認めないことが憲法34条(抑留・拘禁の理由開示等)に違反しないか。
規範
逃亡犯罪人引渡法に基づく裁判官の行為は、刑事訴訟法上の「決定又は命令」には該当せず、かつ同法において不服申立てを認める規定が置かれていない場合、当該行為に対して刑事訴訟法を準用して不服を申し立てることはできない。このような不服申立ての制限は、処分の性質に照らし憲法34条に違反しない。
重要事実
東京高等裁判所の裁判官が、逃亡犯罪人引渡法に基づき仮拘禁許可状を発付した(本件発付)。これに対し、被拘禁者側が刑事訴訟法433条の準用による特別抗告を申し立てた事案である。
あてはめ
本件発付は逃亡犯罪人引渡法に基づく裁判官の特別の行為であり、刑事訴訟法上の決定または命令ではない。また、同法には不服申立ての規定が存在しない。さらに、過去の大法廷判例の趣旨に照らせば、行政的・司法補佐的な性質を有する本件発付について不服申立てを認めないとしても、憲法34条が保障する適正手続に反するものとはいえない。したがって、本件特別抗告の申立ては法的に根拠がなく不適法である。
事件番号: 令和1(し)699 / 裁判年月日: 令和元年11月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】逃亡犯罪人引渡法10条1項3号に基づく東京高等裁判所の決定に対し、刑事訴訟法433条1項の特別抗告を申し立てることは許されない。 第1 事案の概要:東京高等裁判所は、逃亡犯罪人引渡法10条1項3号に基づき、逃亡犯罪人を引き渡すことができる場合に該当する旨の決定(本件決定)を行った。これに対し、申立…
結論
本件発付に対する不服申立ては許されず、特別抗告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟法外の特別法に基づく裁判官の処分につき、不服申立ての可否を判断する際の基準となる。実務上は、逃亡犯罪人引渡手続における裁判官の関与が刑事訴訟上の裁判とは峻別されることを確認する際に用いる。
事件番号: 平成6(し)111 / 裁判年月日: 平成6年7月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】逃亡犯罪人引渡法10条1項に基づく東京高等裁判所の決定は、刑訴法上の決定ではなく同法に基づき行われる特別の決定であり、不服申立てを認める規定も存在しないため、刑訴法433条1項の特別抗告をすることは許されない。 第1 事案の概要:東京高等裁判所が逃亡犯罪人引渡法10条1項3号に基づき、逃亡犯罪人の…
事件番号: 令和6(し)462 / 裁判年月日: 令和6年7月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】逮捕に関する裁判は刑訴法429条1項の準抗告の対象外であることから、これに対する特別抗告も認められず不適法である。 第1 事案の概要:本件は、裁判官が発した逮捕状発付の裁判に対し、申立人が特別抗告を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):裁判官のした逮捕状発付の裁判に対して、特別抗告を申…
事件番号: 昭和48(し)64 / 裁判年月日: 昭和48年8月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官による逮捕状の発付は、裁判所による裁判ではなく裁判官による「裁判外の処分」に当たるが、これに対する準抗告(刑訴法429条1項)等の不服申立の道は法上存しない。 第1 事案の概要:申立人は、賍物収受被疑事件において簡易裁判所裁判官が発付した逮捕状に対し、準抗告を申し立てた。これを受けた原審(地…
事件番号: 昭和26(し)33 / 裁判年月日: 昭和27年2月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】検察官による移監措置に対する不服申し立てについて、憲法違反を主張する場合であっても、その実質が単なる措置への非難に留まるものは刑事訴訟法405条の事由に該当せず、特別抗告は棄却される。 第1 事案の概要:抗告人は、検察官が行った自らに対する移監措置について、憲法違反を主張して特別抗告を申し立てた。…