逮捕状の発付に対する準抗告を棄却した決定に関し特別抗告が不適法とされた事例
判旨
裁判官による逮捕状の発付は、裁判所による裁判ではなく裁判官による「裁判外の処分」に当たるが、これに対する準抗告(刑訴法429条1項)等の不服申立の道は法上存しない。
問題の所在(論点)
裁判官による逮捕状の発付という処分に対し、刑事訴訟法429条1項の準抗告等の不服申立てを行うことができるか、その可否が問題となる。
規範
刑事訴訟法上、裁判官が被疑者に対して逮捕状の発付をした場合、これに対して準抗告(同法429条1項)や抗告、その他の不服を申し立てる規定は存在せず、法的に不適法な申立てとなる。
重要事実
申立人は、賍物収受被疑事件において簡易裁判所裁判官が発付した逮捕状に対し、準抗告を申し立てた。これを受けた原審(地方裁判所)は、右申立てを不適法として棄却したため、申立人がさらに最高裁判所へ特別抗告(または抗告)の申立てを行った事案である。
あてはめ
刑事訴訟法429条1項各号は、準抗告の対象となる裁判官の裁判を限定的に列挙している(勾留、保釈、押収等)。逮捕状の発付はこれらに含まれておらず、また裁判所がした決定でもないため抗告の対象にもならない。本件申立人は、逮捕状の発付を不服として準抗告等を申し立てているが、法的な根拠を欠くものであり、手続上不適法と言わざるを得ない。したがって、事実誤認や法令違反を主張する以前に、申立て自体が認められない。
結論
裁判官の逮捕状発付に対する準抗告の申立ては不適法であり、これを棄却した原決定は正当である。
事件番号: 昭和48(し)31 / 裁判年月日: 昭和48年5月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法上、裁判官の忌避申立却下決定に対する準抗告棄却決定については不服申立の規定が存在しないため、これに対する即時抗告は不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、裁判官忌避申立却下決定に対する準抗告を申し立てたが棄却された。これに対し、さらに即時抗告を申し立てたところ、原審が不適法として棄却…
実務上の射程
逮捕状の発付に対しては準抗告(429条)も抗告(419条)もできないという結論を端的に示す際に用いる。実務上の救済策としては、逮捕後の勾留段階における勾留請求却下を求めるか、勾留決定に対する準抗告で争うほかないことを示唆する論証として活用される。
事件番号: 令和6(し)462 / 裁判年月日: 令和6年7月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】逮捕に関する裁判は刑訴法429条1項の準抗告の対象外であることから、これに対する特別抗告も認められず不適法である。 第1 事案の概要:本件は、裁判官が発した逮捕状発付の裁判に対し、申立人が特別抗告を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):裁判官のした逮捕状発付の裁判に対して、特別抗告を申…
事件番号: 平成5(し)64 / 裁判年月日: 平成5年7月19日 / 結論: 棄却
勾留理由開示の手続においてされる裁判官の行為は、刑訴法四二九条一項二号にいう勾留に関する裁判には当たらず、これに対する準抗告の申立ては、不適法である
事件番号: 昭和57(し)101 / 裁判年月日: 昭和57年8月27日 / 結論: 棄却
逮捕に関する裁判は、刑訴法四二九条一項各号所定の準抗告の対象となる裁判に含まれない。
事件番号: 昭和58(し)21 / 裁判年月日: 昭和58年3月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条、37条1項違反及び判例違反を主張する特別抗告について、原決定の判示に沿わない主張や単なる法令違反の主張は、刑訴法433条所定の抗告理由に当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対し憲法32条、37条1項違反および判例違反を理由に特別抗告を申し立てた。しかし、その主張は原決定の…