逮捕に関する裁判は、刑訴法四二九条一項各号所定の準抗告の対象となる裁判に含まれない。
逮捕に関する裁判と刑訴法四二九条一項所定の準抗告 逮捕に関する裁判と刑訴法四二九条一項所定の準抗告
刑訴法199条,刑訴法429条1項
判旨
逮捕に関する裁判及びこれに基づく処分は、刑事訴訟法429条1項各号所定の準抗告の対象となる裁判に含まれない。
問題の所在(論点)
逮捕に関する裁判及びこれに基づく処分が、刑事訴訟法429条1項各号に規定された、裁判官の裁判に対する準抗告の対象に含まれるか。
規範
刑事訴訟法429条1項各号に掲げられた裁判官の裁判に対し、準抗告による不服申立てを認める対象は、同項所定の事項に限定される。逮捕状の発付等の逮捕に関する裁判は、同項2号の「勾留」に関する裁判には含まれないと解すべきである。
重要事実
本件は、逮捕に関する裁判及びこれに基づく処分に対し、刑事訴訟法429条1項に基づき準抗告が申し立てられた事案である。原審(準抗告棄却決定)に対し、不服を申し立てる側が最高裁判所に特別抗告を行った。
あてはめ
事件番号: 昭和48(し)64 / 裁判年月日: 昭和48年8月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官による逮捕状の発付は、裁判所による裁判ではなく裁判官による「裁判外の処分」に当たるが、これに対する準抗告(刑訴法429条1項)等の不服申立の道は法上存しない。 第1 事案の概要:申立人は、賍物収受被疑事件において簡易裁判所裁判官が発付した逮捕状に対し、準抗告を申し立てた。これを受けた原審(地…
刑事訴訟法429条1項2号は「勾留」に関する裁判を準抗告の対象として列挙しているが、逮捕はこれに含まれない。したがって、逮捕に関する裁判やそれに基づく処分に対して同条に基づく準抗告を申し立てることは法的に許容されない。本件の準抗告棄却決定に対する特別抗告は、前提となる準抗告自体が認められない対象に対するものであるため、不適法となる。
結論
逮捕に関する裁判等は準抗告の対象に含まれないため、これに対する不服申立ては不適法として棄却される。
実務上の射程
実務上、逮捕状の発付や逮捕の適否を争う手段として準抗告(429条1項)は利用できないことを明示した判例である。勾留段階以前の身分拘束に対する不服申立ての可否を検討する際の基礎知識となる。論文試験では、不服申立ての適格を論じる際に「429条1項各号に限定的に列挙されている」根拠として引用する。
事件番号: 令和6(し)462 / 裁判年月日: 令和6年7月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】逮捕に関する裁判は刑訴法429条1項の準抗告の対象外であることから、これに対する特別抗告も認められず不適法である。 第1 事案の概要:本件は、裁判官が発した逮捕状発付の裁判に対し、申立人が特別抗告を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):裁判官のした逮捕状発付の裁判に対して、特別抗告を申…
事件番号: 平成6(し)2 / 裁判年月日: 平成6年1月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留状謄本の交付請求を却下した裁判官の裁判に対し、刑事訴訟法429条1項各号の裁判に該当しないことを理由として、準抗告を申し立てることは不適法である。 第1 事案の概要:被告人又は被疑者側が、裁判官に対して勾留状謄本の交付を請求した。これに対し、裁判官は当該交付請求を却下する裁判を行った。不服とし…
事件番号: 昭和27(し)86 / 裁判年月日: 昭和28年7月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法427条に基づき、地方裁判所が抗告裁判所としてした決定に対しては、重ねて抗告(再抗告)をすることは認められない。 第1 事案の概要:申立人は、東京地方裁判所が抗告裁判所として下した決定に対し、不服を申し立てた。申立人はこの申立を東京地方裁判所宛に「再抗告」として提出した。しかし、当該申立…
事件番号: 平成17(し)406 / 裁判年月日: 平成17年10月24日 / 結論: 棄却
公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した起訴前の勾留理由開示の期日調書の謄写について裁判官が刑訴法40条1項に準じて行った不許可処分に対しては,同法429条1項2号による準抗告を申し立てることはできず,同法309条2項により異議を申し立てることができる。