勾留状謄本交付請求却下の裁判に対する準抗告の申立てが不適法であることを理由として特別抗告を不適法とした事例
刑訴法429条1項,刑訴法433条,刑訴規則74条
判旨
勾留状謄本の交付請求を却下した裁判官の裁判に対し、刑事訴訟法429条1項各号の裁判に該当しないことを理由として、準抗告を申し立てることは不適法である。
問題の所在(論点)
勾留状謄本の交付請求を却下した裁判官の裁判に対し、刑事訴訟法429条1項に基づき準抗告を申し立てることができるか。
規範
刑事訴訟法429条1項は、準抗告の対象となる裁判官の裁判を限定的に列記している。同項各号に掲げられた「勾留に関する裁判」(2号)等の類型に該当しない裁判については、同条に基づく不服申立てを行うことはできない。
重要事実
被告人又は被疑者側が、裁判官に対して勾留状謄本の交付を請求した。これに対し、裁判官は当該交付請求を却下する裁判を行った。不服とした請求者側は、この却下裁判が憲法31条、34条及び刑訴規則74条に違反するとして準抗告を申し立てたが、原決定によって不適法として棄却されたため、特別抗告に至った。
あてはめ
刑事訴訟法429条1項2号が規定する「勾留に関する裁判」とは、勾留の成否や効力そのものを判断する裁判を指す。これに対し、勾留状謄本の交付請求を却下する裁判は、勾留の執行状況や手続的権利の行使に関する付随的判断に留まり、同条項に限定列挙された裁判のいずれにも該当しない。したがって、法律上の根拠を欠く準抗告の申立ては不適法といえる。
事件番号: 平成17(し)406 / 裁判年月日: 平成17年10月24日 / 結論: 棄却
公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した起訴前の勾留理由開示の期日調書の謄写について裁判官が刑訴法40条1項に準じて行った不許可処分に対しては,同法429条1項2号による準抗告を申し立てることはできず,同法309条2項により異議を申し立てることができる。
結論
勾留状謄本交付請求の却下裁判に対する準抗告の申立ては不適法であり、これを棄却した原決定は正当である。
実務上の射程
裁判官の裁判に対する不服申立て(準抗告)の対象は限定列挙であるという原則を確認したものである。勾留理由開示(刑訴法82条以下)などの実体的権利とは異なり、謄本交付等の事務手続的側面を持つ裁判については、別途抗告等が認められる規定がない限り争えないことを示唆している。答案上は、刑訴法429条の対象性の検討において引用すべき判例である。
事件番号: 平成5(し)64 / 裁判年月日: 平成5年7月19日 / 結論: 棄却
勾留理由開示の手続においてされる裁判官の行為は、刑訴法四二九条一項二号にいう勾留に関する裁判には当たらず、これに対する準抗告の申立ては、不適法である
事件番号: 昭和59(し)115 / 裁判年月日: 昭和59年11月20日 / 結論: その他
起訴前の勾留の裁判に対する準抗告申立の利益は、起訴後は失われる。
事件番号: 平成7(し)40 / 裁判年月日: 平成7年4月12日 / 結論: 棄却
一 勾留に関する処分を行う裁判官は職権により被疑者又は被告人の勾留場所を変更する旨の移監命令を発することができる。 二 裁判官に移監命令の職権発動を促す趣旨でされた勾留取消し請求を却下した裁判に対する不服申立ては許されない。
事件番号: 平成9(し)179 / 裁判年月日: 平成9年10月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留取消し請求を却下する裁判は、刑事訴訟規則6条にいう「訴訟手続」には含まれない。 第1 事案の概要:勾留取消しの請求に対し、裁判所がこれを却下する裁判を行った事案において、当該却下の裁判が刑事訴訟規則6条に規定される「訴訟手続」に該当するか否かが争点となり、特別抗告がなされた。 第2 問題の所在…