公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した起訴前の勾留理由開示の期日調書の謄写について裁判官が刑訴法40条1項に準じて行った不許可処分に対しては,同法429条1項2号による準抗告を申し立てることはできず,同法309条2項により異議を申し立てることができる。
公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した起訴前の勾留理由開示の期日調書の謄写を許可しなかった裁判官の処分に対する不服申立て
刑訴法40条1項,刑訴法280条1項,3項,刑訴法309条2項,刑訴法429条1項2号,刑訴規則86条
判旨
公訴提起後第1回公判期日前に行われた勾留理由開示の期日調書の謄写不許可処分は、刑訴法429条1項2号の「勾留に関する裁判」には当たらず、準抗告の対象とはならない。
問題の所在(論点)
勾留理由開示手続における期日調書の謄写不許可処分が、刑訴法429条1項2号の「勾留に関する裁判」に該当し、準抗告による不服申立てが可能か。
規範
刑訴法429条1項2号にいう「勾留に関する裁判」とは、勾留の可否や期間延長等の身体拘束そのものに関する裁判を指す。一方、訴訟に関する書類の閲覧・謄写に関する処分は、同法40条1項に準じて行われる訴訟進行上の処分であり、身体拘束の当否を直接判断するものではないため、同号の「勾留に関する裁判」には含まれない。
重要事実
申立人は、公訴提起後第1回公判期日前に、起訴前に行われた勾留理由開示の期日調書の謄写申請を行った。しかし、担当裁判官がこの謄写を不許可としたため、申立人はこれを違法として刑訴法429条1項2号に基づき準抗告を申し立てた。
事件番号: 平成5(し)64 / 裁判年月日: 平成5年7月19日 / 結論: 棄却
勾留理由開示の手続においてされる裁判官の行為は、刑訴法四二九条一項二号にいう勾留に関する裁判には当たらず、これに対する準抗告の申立ては、不適法である
あてはめ
本件の謄写不許可処分は、勾留理由開示を担当した裁判官が刑訴法40条1項に準じて行った「訴訟に関する書類の謄写に関する処分」にすぎない。これは勾留という身体拘束の当否や態様を決定する判断ではないため、刑訴法429条1項2号に掲げる「勾留に関する裁判」としての性質を欠く。したがって、当該処分に対しては準抗告を申し立てることはできず、同法309条2項による異議申立てによってのみ争い得るものである。
結論
本件謄写不許可処分は刑訴法429条1項2号の「勾留に関する裁判」に当たらないため、準抗告の申立ては不適法であり、これを棄却すべきである。
実務上の射程
裁判官による書類謄写の不許可等、訴訟指揮的側面を持つ処分全般について、準抗告(429条)と異議申立て(309条2項)の峻別を問う問題で活用できる。特に勾留に関連する書面であっても、身体拘束そのものの判断でなければ準抗告の対象外となる点に注意が必要である。
事件番号: 平成6(し)2 / 裁判年月日: 平成6年1月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留状謄本の交付請求を却下した裁判官の裁判に対し、刑事訴訟法429条1項各号の裁判に該当しないことを理由として、準抗告を申し立てることは不適法である。 第1 事案の概要:被告人又は被疑者側が、裁判官に対して勾留状謄本の交付を請求した。これに対し、裁判官は当該交付請求を却下する裁判を行った。不服とし…
事件番号: 平成27(し)428 / 裁判年月日: 平成27年10月27日 / 結論: 棄却
刑事確定訴訟記録法4条1項ただし書,刑訴法53条1項ただし書にいう「検察庁の事務に支障のあるとき」には,保管記録を請求者に閲覧させることによって,その保管記録に係る事件と関連する他の事件の捜査や公判に不当な影響を及ぼすおそれがある場合が含まれる。
事件番号: 昭和46(し)44 / 裁判年月日: 昭和46年6月14日 / 結論: 棄却
裁判官が勾留理由開示の請求を却下した裁判に不服がある者は、刑訴法四二九条一項二号により、その取消または変更を請求することができる。
事件番号: 平成13(し)299 / 裁判年月日: 平成14年6月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事確定訴訟記録法に基づき検察官が行う記録の閲覧等に関する処分は、同法8条1項にいう「閲覧に関する処分」に該当しないため、刑事訴訟法430条1項による準抗告の対象とならない。 第1 事案の概要:本件において、申立人は検察官に対し刑事確定訴訟記録の閲覧を求めたが、検察官はこれに対し何らかの拒否または…