刑事確定訴訟記録法4条1項ただし書,刑訴法53条1項ただし書にいう「検察庁の事務に支障のあるとき」には,保管記録を請求者に閲覧させることによって,その保管記録に係る事件と関連する他の事件の捜査や公判に不当な影響を及ぼすおそれがある場合が含まれる。
刑事確定訴訟記録法4条1項ただし書,刑訴法53条1項ただし書にいう「検察庁の事務に支障のあるとき」と関連する他の事件の捜査や公判に不当な影響を及ぼすおそれがある場合
刑事確定訴訟記録法4条1項ただし書,刑訴法53条1項ただし書
判旨
刑事確定訴訟記録法4条1項但書および刑訴法53条1項但書にいう「検察庁の事務に支障のあるとき」には、保管記録の閲覧により、当該事件と関連する他の事件の捜査や公判に不当な影響を及ぼすおそれがある場合が含まれる。
問題の所在(論点)
刑事確定訴訟記録の閲覧制限事由である「検察庁の事務に支障のあるとき」(刑事確定訴訟記録法4条1項但書、刑訴法53条1項但書)の意義、および同制限規定の憲法21条・82条適合性。
規範
1. 憲法21条、82条は、刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求することまでを認めたものではない。 2. 刑事確定訴訟記録法4条1項但書、刑訴法53条1項但書所定の閲覧制限事由である「検察庁の事務に支障のあるとき」とは、保管記録を閲覧させることで、当該記録に係る事件と関連する他の事件の捜査や公判に不当な影響を及ぼすおそれがある場合を包含する。
重要事実
1. 申出人は、検察官に対し刑事確定訴訟記録の閲覧を申し出たが、検察官はこれを不許可とした。 2. 当該不許可処分に対し、申出人は準抗告を申し立てたが棄却されたため、特別抗告を提起した。 3. 本件記録の閲覧が、関連する他事件の捜査または公判にどのような具体的な影響を及ぼすかについての詳細な事実は判決文からは不明。
事件番号: 平成27(し)401 / 裁判年月日: 平成27年12月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】刑事確定訴訟記録法4条2項5号の閲覧制限事由の該否は、当該情報を公開することで関係人の名誉や生活の平穏を著しく害するおそれがあるか、及び裁判の公正を担保するために公開が必要な範囲を総合的に判断して決定すべきである。 第1 事案の概要:閲覧請求人は、放射性物質に汚染された木材チップの廃棄事件(廃棄物…
あてはめ
1. 憲法82条1項は対審および判決の公開を定めるが、訴訟記録の閲覧を権利として保障するものではない(判例)。したがって、閲覧を制限する規定自体が憲法に違反するものではない。 2. 保管記録の内容が、共犯者や別件の重要参考人に関する情報を含む場合、これを公開することで証拠隠滅や口裏合わせを誘発し、将来の捜査や公判の適正を害する可能性がある。 3. したがって、「検察庁の事務」には当該記録自体の管理のみならず、検察官が担う適正な捜査・公判の遂行も含まれると解され、関連事件への不当な影響のおそれがある場合は「支障があるとき」に該当すると評価される。
結論
本件閲覧制限は憲法に違反せず、また「検察庁の事務に支障のあるとき」に該当するとした原決定の判断は正当であるため、特別抗告を棄却する。
実務上の射程
刑事確定訴訟記録の閲覧請求権の性質(憲法上の権利性の否定)と、閲覧制限事由である「検察庁の事務」の範囲について、関連事件の捜査・公判への影響を含める広範な解釈を認めた。
事件番号: 平成24(し)25 / 裁判年月日: 平成24年6月28日 / 結論: その他
刑事確定訴訟記録法に基づく判決書の閲覧請求について,「プライバシー部分を除く」とする限定の趣旨を申立人に確認することなく,閲覧の範囲を検討しないまま,民事裁判においてその内容が明らかにされるおそれがあるというだけの理由で同法4条2項4号及び5号の閲覧制限事由に該当するとして判決書全部の閲覧を不許可とした保管検察官の処分…
事件番号: 平成4(し)114 / 裁判年月日: 平成4年12月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法82条2項但書は、刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求できることまでを認めたものではない。したがって、閲覧の制限を定めた刑事確定訴訟記録法等の規定は同条に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人が、刑事確定訴訟記録法4条2項及び刑事訴訟法53条3項に基づき刑事確定訴訟記録の閲覧を求めたが、認め…
事件番号: 平成1(し)147 / 裁判年月日: 平成2年2月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法21条及び82条は、刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求できることまでを認めたものではない。したがって、閲覧請求を制限する刑事確定訴訟記録法4条2項は憲法に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人は、刑事確定訴訟記録法4条2項に基づき刑事確定訴訟記録の閲覧を制限されたことに対し、同条項が憲法2…
事件番号: 平成13(し)299 / 裁判年月日: 平成14年6月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事確定訴訟記録法に基づき検察官が行う記録の閲覧等に関する処分は、同法8条1項にいう「閲覧に関する処分」に該当しないため、刑事訴訟法430条1項による準抗告の対象とならない。 第1 事案の概要:本件において、申立人は検察官に対し刑事確定訴訟記録の閲覧を求めたが、検察官はこれに対し何らかの拒否または…