検察官のした保管記録謄写不許可処分に対する準抗告の可否
刑事確定訴訟記録法8条
判旨
刑事確定訴訟記録法に基づき検察官が行う記録の閲覧等に関する処分は、同法8条1項にいう「閲覧に関する処分」に該当しないため、刑事訴訟法430条1項による準抗告の対象とならない。
問題の所在(論点)
刑事確定訴訟記録法に基づく検察官の記録閲覧に関する処分が、刑事訴訟法430条1項にいう「検察官の処分」として準抗告の対象になるか、あるいは刑事確定訴訟記録法8条1項の「閲覧に関する処分」としてどのような法的性格を有するかが問題となる。
規範
刑事確定訴訟記録法8条1項に規定される「閲覧に関する処分」とは、同法の規定に基づき検察官が行う保管記録の閲覧等に関する処分を指すが、これは刑事訴訟法430条1項にいう「検察官の処分」には該当せず、準抗告の手続きによって不服を申し立てることはできない。
重要事実
本件において、申立人は検察官に対し刑事確定訴訟記録の閲覧を求めたが、検察官はこれに対し何らかの拒否または制限等の処分(本件処分)を行った。申立人はこの処分を不当として、刑事訴訟法430条1項に基づき準抗告を申し立てたが、原決定はこれを不適法として却下した。
あてはめ
刑事確定訴訟記録法は、確定した訴訟記録の保管および閲覧について特別の定めを置いている。本件処分は同法に基づくものであるが、同法8条1項が準用する刑事訴訟法430条の規定の解釈上、本件処分は「閲覧に関する処分」そのものではあるものの、準抗告の対象となる処分には当たらないと解される。したがって、検察官の判断を不服として準抗告を申し立てることは法的に許容されない。
事件番号: 平成4(し)114 / 裁判年月日: 平成4年12月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法82条2項但書は、刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求できることまでを認めたものではない。したがって、閲覧の制限を定めた刑事確定訴訟記録法等の規定は同条に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人が、刑事確定訴訟記録法4条2項及び刑事訴訟法53条3項に基づき刑事確定訴訟記録の閲覧を求めたが、認め…
結論
検察官の本件処分は刑事確定訴訟記録法8条1項の「閲覧に関する処分」に当たらない(準抗告の対象とならない)ため、本件準抗告は不適法であり、棄却されるべきである。
実務上の射程
検察官による確定記録の閲覧制限等に対し、刑事訴訟法上の準抗告で争うことはできないことを示した。実務上、閲覧拒否等への不服申立ては、刑事確定訴訟記録法に基づき、検察官が所属する検察庁の対応する裁判所に対して「執行に関する異議」(同法に準用規定がある場合)等を検討する必要があるが、本判決は準抗告の道を選択できないことを明確にしている。
事件番号: 平成5(し)112 / 裁判年月日: 平成6年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事確定訴訟記録の閲覧不許可処分において、不許可の理由として刑事確定訴訟記録法等の根拠条文を引用することは、当該条文に不許可事由が個別的に規定されている以上、理由付記として適法である。 第1 事案の概要:申立人は、保管検察官に対し本件保管記録の閲覧を請求したが、検察官は刑事確定訴訟記録法4条1項但…
事件番号: 平成24(し)25 / 裁判年月日: 平成24年6月28日 / 結論: その他
刑事確定訴訟記録法に基づく判決書の閲覧請求について,「プライバシー部分を除く」とする限定の趣旨を申立人に確認することなく,閲覧の範囲を検討しないまま,民事裁判においてその内容が明らかにされるおそれがあるというだけの理由で同法4条2項4号及び5号の閲覧制限事由に該当するとして判決書全部の閲覧を不許可とした保管検察官の処分…
事件番号: 平成8(し)50 / 裁判年月日: 平成8年9月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法82条の解釈の誤り、判例違反、および法令違反・事実誤認を理由とする抗告に関し、原決定に憲法解釈の誤りはなく、適法な抗告理由に当たらないと判断した。 第1 事案の概要:抗告人が、原決定に対して憲法82条(裁判の公開)の解釈の誤り、判例違反、ならびに法令違反および事実誤認を主張して特別抗告を申し立…
事件番号: 平成27(し)428 / 裁判年月日: 平成27年10月27日 / 結論: 棄却
刑事確定訴訟記録法4条1項ただし書,刑訴法53条1項ただし書にいう「検察庁の事務に支障のあるとき」には,保管記録を請求者に閲覧させることによって,その保管記録に係る事件と関連する他の事件の捜査や公判に不当な影響を及ぼすおそれがある場合が含まれる。