検察官のした死刑事件の確定訴訟記録等の閲覧不許可処分を取り消して閲覧させることを命じた準抗告の決定に対する特別抗告が棄却された事例
刑訴法53条1項,刑事確定訴訟記録法4条1項,刑事確定訴訟記録法4条2項
判旨
憲法82条の解釈の誤り、判例違反、および法令違反・事実誤認を理由とする抗告に関し、原決定に憲法解釈の誤りはなく、適法な抗告理由に当たらないと判断した。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法433条に基づく特別抗告において、主張された事由が憲法違反、判例違反、または職権調査による破棄事由(同法411条準用)に該当するか。
規範
刑事訴訟法433条の特別抗告において、憲法違反については原決定が直接憲法の解釈を示していることを要し、判例違反については事案の性質が類似する適切かつ具体的な判例との抵触が必要である。また、単なる法令違反や事実誤認は、同条の適法な抗告理由を構成しない。
重要事実
抗告人が、原決定に対して憲法82条(裁判の公開)の解釈の誤り、判例違反、ならびに法令違反および事実誤認を主張して特別抗告を申し立てた事案。なお、具体的な事件の内容や下級審の判断については、本判決文からは不明である。
あてはめ
まず、憲法82条違反の主張については、原決定がそもそも憲法の解釈を示した事実は認められない。次に、判例違反の主張については、指摘された各判例は本件と事案を異にするため、適切ではない。その他の主張は単なる法令違反や事実誤認にすぎず、特別抗告の法定理由に当たらない。また、職権で調査しても、刑訴法411条を準用して原決定を破棄すべき著しい不当性は認められない。
事件番号: 平成4(し)114 / 裁判年月日: 平成4年12月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法82条2項但書は、刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求できることまでを認めたものではない。したがって、閲覧の制限を定めた刑事確定訴訟記録法等の規定は同条に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人が、刑事確定訴訟記録法4条2項及び刑事訴訟法53条3項に基づき刑事確定訴訟記録の閲覧を求めたが、認め…
結論
本件抗告には適法な抗告理由がなく、また職権破棄すべき事由も認められないため、棄却を免れない。
実務上の射程
特別抗告の理由が極めて厳格に制限されていることを再確認する事例である。実務上、憲法違反を主張する際は、原決定が具体的にどの憲法条項について誤った解釈を示したかを特定する必要があり、単なる不服申し立ての手段として憲法違反を抽象的に主張しても排斥されることを示している。
事件番号: 平成5(し)112 / 裁判年月日: 平成6年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事確定訴訟記録の閲覧不許可処分において、不許可の理由として刑事確定訴訟記録法等の根拠条文を引用することは、当該条文に不許可事由が個別的に規定されている以上、理由付記として適法である。 第1 事案の概要:申立人は、保管検察官に対し本件保管記録の閲覧を請求したが、検察官は刑事確定訴訟記録法4条1項但…
事件番号: 平成1(し)147 / 裁判年月日: 平成2年2月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法21条及び82条は、刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求できることまでを認めたものではない。したがって、閲覧請求を制限する刑事確定訴訟記録法4条2項は憲法に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人は、刑事確定訴訟記録法4条2項に基づき刑事確定訴訟記録の閲覧を制限されたことに対し、同条項が憲法2…
事件番号: 平成13(し)299 / 裁判年月日: 平成14年6月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事確定訴訟記録法に基づき検察官が行う記録の閲覧等に関する処分は、同法8条1項にいう「閲覧に関する処分」に該当しないため、刑事訴訟法430条1項による準抗告の対象とならない。 第1 事案の概要:本件において、申立人は検察官に対し刑事確定訴訟記録の閲覧を求めたが、検察官はこれに対し何らかの拒否または…
事件番号: 平成27(し)428 / 裁判年月日: 平成27年10月27日 / 結論: 棄却
刑事確定訴訟記録法4条1項ただし書,刑訴法53条1項ただし書にいう「検察庁の事務に支障のあるとき」には,保管記録を請求者に閲覧させることによって,その保管記録に係る事件と関連する他の事件の捜査や公判に不当な影響を及ぼすおそれがある場合が含まれる。