刑事確定訴訟記録の閲覧に関し憲法82条2項ただし書の解釈の誤りをいう主張が刑事確定訴訟記録法4条2項,刑訴法53条3項の解釈,適用の誤りをいう単なる法令違反の主張とされた事例
憲法82条,刑事確定訴訟記録法4条2項,刑訴法53条3項
判旨
憲法82条2項但書は、刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求できることまでを認めたものではない。したがって、閲覧の制限を定めた刑事確定訴訟記録法等の規定は同条に違反しない。
問題の所在(論点)
憲法82条(裁判の公開原則)が、刑事確定訴訟記録を閲覧する権利を国民に直接保障しているか、また、閲覧を制限する刑事確定訴訟記録法等の規定が同条に違反するか。
規範
憲法82条2項但書の規定は、裁判の対審を公開することを原則としつつ、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある場合に例外的に非公開にすることを認める趣旨にすぎない。同条は、刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求できることまでも認めたものではない。
重要事実
抗告人が、刑事確定訴訟記録法4条2項及び刑事訴訟法53条3項に基づき刑事確定訴訟記録の閲覧を求めたが、認められなかった。抗告人は、閲覧を制限するこれらの規定が憲法82条2項但書の解釈を誤るものであり、違憲であると主張して特別抗告を申し立てた。
あてはめ
最高裁判例の趣旨に照らせば、憲法82条は裁判手続の公開を保障するものであって、記録の事後的な閲覧を権利として保障するものではない。抗告人が主張する閲覧制限の不当性は、単なる法令(刑事確定訴訟記録法4条2項等)の解釈・適用の誤りをいうものにすぎず、憲法判断を要する適法な抗告理由に当たらない。
事件番号: 平成1(し)147 / 裁判年月日: 平成2年2月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法21条及び82条は、刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求できることまでを認めたものではない。したがって、閲覧請求を制限する刑事確定訴訟記録法4条2項は憲法に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人は、刑事確定訴訟記録法4条2項に基づき刑事確定訴訟記録の閲覧を制限されたことに対し、同条項が憲法2…
結論
本件抗告は棄却される。憲法82条は刑事確定訴訟記録の閲覧権を保障したものではなく、記録閲覧の制限が同条に違反するという主張は理由がない。
実務上の射程
刑事訴訟法53条や刑事確定訴訟記録法の規定に基づき閲覧が制限された際、憲法82条違反を理由として争うことは困難であることを示す。実務上、記録閲覧は法律に基づく要件充足性の問題として処理されるべきであり、憲法上の権利行使として構成する余地は限定的である。
事件番号: 平成13(し)299 / 裁判年月日: 平成14年6月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事確定訴訟記録法に基づき検察官が行う記録の閲覧等に関する処分は、同法8条1項にいう「閲覧に関する処分」に該当しないため、刑事訴訟法430条1項による準抗告の対象とならない。 第1 事案の概要:本件において、申立人は検察官に対し刑事確定訴訟記録の閲覧を求めたが、検察官はこれに対し何らかの拒否または…
事件番号: 平成8(し)50 / 裁判年月日: 平成8年9月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法82条の解釈の誤り、判例違反、および法令違反・事実誤認を理由とする抗告に関し、原決定に憲法解釈の誤りはなく、適法な抗告理由に当たらないと判断した。 第1 事案の概要:抗告人が、原決定に対して憲法82条(裁判の公開)の解釈の誤り、判例違反、ならびに法令違反および事実誤認を主張して特別抗告を申し立…
事件番号: 平成5(し)112 / 裁判年月日: 平成6年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事確定訴訟記録の閲覧不許可処分において、不許可の理由として刑事確定訴訟記録法等の根拠条文を引用することは、当該条文に不許可事由が個別的に規定されている以上、理由付記として適法である。 第1 事案の概要:申立人は、保管検察官に対し本件保管記録の閲覧を請求したが、検察官は刑事確定訴訟記録法4条1項但…
事件番号: 平成27(し)428 / 裁判年月日: 平成27年10月27日 / 結論: 棄却
刑事確定訴訟記録法4条1項ただし書,刑訴法53条1項ただし書にいう「検察庁の事務に支障のあるとき」には,保管記録を請求者に閲覧させることによって,その保管記録に係る事件と関連する他の事件の捜査や公判に不当な影響を及ぼすおそれがある場合が含まれる。