刑事確定訴訟記録法4条2項の規定と憲法21条・82条
憲法21条,憲法82条,刑事確定訴訟記録法4条2項
判旨
憲法21条及び82条は、刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求できることまでを認めたものではない。したがって、閲覧請求を制限する刑事確定訴訟記録法4条2項は憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
刑事確定訴訟記録法4条2項が、刑事確定訴訟記録の閲覧を制限していることは、憲法21条(知る権利・報道の自由)または憲法82条(裁判の公開原則)に違反するか。
規範
憲法21条(表現の自由・知る権利)及び82条(裁判の公開)は、何人に対しても、刑事確定訴訟記録の閲覧を具体的・直接的な権利として保障したものではない。
重要事実
抗告人は、刑事確定訴訟記録法4条2項に基づき刑事確定訴訟記録の閲覧を制限されたことに対し、同条項が憲法21条および82条に違反すると主張して抗告を提起した。
あてはめ
最高裁大法廷の先例によれば、憲法21条の保障は情報の受領を妨げられないという趣旨に留まり、公的情報の開示請求権までを当然に含むものではない。また、憲法82条が定める裁判の公開は、公判手続の傍聴を保障するものであって、終了した訴訟記録の閲覧を無制限に認めることを憲法上の権利として要請しているとは解されない。本件における刑事確定訴訟記録法4条2項の制限も、これらの憲法規定が認めた権利を侵害するものとはいえない。
事件番号: 平成4(し)114 / 裁判年月日: 平成4年12月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法82条2項但書は、刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求できることまでを認めたものではない。したがって、閲覧の制限を定めた刑事確定訴訟記録法等の規定は同条に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人が、刑事確定訴訟記録法4条2項及び刑事訴訟法53条3項に基づき刑事確定訴訟記録の閲覧を求めたが、認め…
結論
刑事確定訴訟記録法4条2項は憲法21条及び82条に違反しない。
実務上の射程
裁判の公開原則(82条)の射程が、対審・判決という手続上の公開に限定され、記録の閲覧という結果の公開にまでは及ばないことを示す際に活用する。また、21条から導かれる「知る権利」が抽象的なものに留まり、具体的な請求権を認めるには法律の定めが必要であることを論証する際の根拠となる。
事件番号: 平成27(し)428 / 裁判年月日: 平成27年10月27日 / 結論: 棄却
刑事確定訴訟記録法4条1項ただし書,刑訴法53条1項ただし書にいう「検察庁の事務に支障のあるとき」には,保管記録を請求者に閲覧させることによって,その保管記録に係る事件と関連する他の事件の捜査や公判に不当な影響を及ぼすおそれがある場合が含まれる。
事件番号: 平成5(し)112 / 裁判年月日: 平成6年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事確定訴訟記録の閲覧不許可処分において、不許可の理由として刑事確定訴訟記録法等の根拠条文を引用することは、当該条文に不許可事由が個別的に規定されている以上、理由付記として適法である。 第1 事案の概要:申立人は、保管検察官に対し本件保管記録の閲覧を請求したが、検察官は刑事確定訴訟記録法4条1項但…
事件番号: 平成8(し)50 / 裁判年月日: 平成8年9月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法82条の解釈の誤り、判例違反、および法令違反・事実誤認を理由とする抗告に関し、原決定に憲法解釈の誤りはなく、適法な抗告理由に当たらないと判断した。 第1 事案の概要:抗告人が、原決定に対して憲法82条(裁判の公開)の解釈の誤り、判例違反、ならびに法令違反および事実誤認を主張して特別抗告を申し立…
事件番号: 平成13(し)299 / 裁判年月日: 平成14年6月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事確定訴訟記録法に基づき検察官が行う記録の閲覧等に関する処分は、同法8条1項にいう「閲覧に関する処分」に該当しないため、刑事訴訟法430条1項による準抗告の対象とならない。 第1 事案の概要:本件において、申立人は検察官に対し刑事確定訴訟記録の閲覧を求めたが、検察官はこれに対し何らかの拒否または…