保管記録を閲覧させない理由として法に規定する事由を記載すれば足りるとした原決定は判例違反である旨の主張が事案異として不適法処理された事例
刑訴法53条1項ただし書,刑事確定訴訟記録法4条2項,刑事確定訴訟記録法施行規則8条3項
判旨
刑事確定訴訟記録の閲覧不許可処分において、不許可の理由として刑事確定訴訟記録法等の根拠条文を引用することは、当該条文に不許可事由が個別的に規定されている以上、理由付記として適法である。
問題の所在(論点)
刑事確定訴訟記録の閲覧不許可処分における理由付記として、根拠となる法条を引用する手法が、相手方に処分の理由を了知させるものとして十分といえるか。
規範
行政処分における理由付記の程度は、処分の根拠法規の規定内容や、相手方が処分の理由をどの程度了知し得るかによって判断される。根拠規定が抽象的な非開示事由を網羅的に規定している場合には、単なる条文引用では不十分であるが、不許可事由が個別的に規定されている法令であれば、当該条文を挙示することで理由付記の要件を満たす。
重要事実
申立人は、保管検察官に対し本件保管記録の閲覧を請求したが、検察官は刑事確定訴訟記録法4条1項但書、刑訴法53条1項但書、同記録法4条2項の各事由があるとして、記録の一部の閲覧を不許可とした。申立人は、単なる条文の引用による理由付記は、行政処分の理由付記の在り方に関する判例(最判平4・12・10)に照らし不十分であると主張して抗告した。
あてはめ
申立人が引用する先行判例(東京都公文書開示条例事件)の対象となった条例は、抽象的な非開示事由を網羅的に規定していたため、単なる条文引用では処分の理由を了知することが困難であった。これに対し、本件で引用された刑事確定訴訟記録法等は、概括的な表現を含む部分はあるものの、閲覧不許可事由が個別的に規定されている。そのため、当該条文を挙示すれば、いかなる事由に該当して不許可とされたのかを相手方が了知することが可能であり、理由付記として欠けるところはないと解される。
事件番号: 平成4(し)114 / 裁判年月日: 平成4年12月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法82条2項但書は、刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求できることまでを認めたものではない。したがって、閲覧の制限を定めた刑事確定訴訟記録法等の規定は同条に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人が、刑事確定訴訟記録法4条2項及び刑事訴訟法53条3項に基づき刑事確定訴訟記録の閲覧を求めたが、認め…
結論
本件閲覧不許可処分において、根拠法条を引用した理由付記は適法であり、原決定に判例違反はない。したがって、本件抗告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、刑事確定訴訟記録法に基づく処分の理由付記の程度を示したものである。公文書公開等に関する一般的な行政処分の判理(理由付記の必要性)を前提としつつも、法令の規定形式が具体的・個別的であれば、条文引用のみによる理由提示も許容され得るという判断の枠組みを示している。答案作成上は、行政手続法等の理由付記の程度を論じる際の比較対象として有用である。
事件番号: 平成13(し)299 / 裁判年月日: 平成14年6月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事確定訴訟記録法に基づき検察官が行う記録の閲覧等に関する処分は、同法8条1項にいう「閲覧に関する処分」に該当しないため、刑事訴訟法430条1項による準抗告の対象とならない。 第1 事案の概要:本件において、申立人は検察官に対し刑事確定訴訟記録の閲覧を求めたが、検察官はこれに対し何らかの拒否または…
事件番号: 平成8(し)50 / 裁判年月日: 平成8年9月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法82条の解釈の誤り、判例違反、および法令違反・事実誤認を理由とする抗告に関し、原決定に憲法解釈の誤りはなく、適法な抗告理由に当たらないと判断した。 第1 事案の概要:抗告人が、原決定に対して憲法82条(裁判の公開)の解釈の誤り、判例違反、ならびに法令違反および事実誤認を主張して特別抗告を申し立…
事件番号: 平成24(し)25 / 裁判年月日: 平成24年6月28日 / 結論: その他
刑事確定訴訟記録法に基づく判決書の閲覧請求について,「プライバシー部分を除く」とする限定の趣旨を申立人に確認することなく,閲覧の範囲を検討しないまま,民事裁判においてその内容が明らかにされるおそれがあるというだけの理由で同法4条2項4号及び5号の閲覧制限事由に該当するとして判決書全部の閲覧を不許可とした保管検察官の処分…
事件番号: 平成1(し)147 / 裁判年月日: 平成2年2月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法21条及び82条は、刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求できることまでを認めたものではない。したがって、閲覧請求を制限する刑事確定訴訟記録法4条2項は憲法に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人は、刑事確定訴訟記録法4条2項に基づき刑事確定訴訟記録の閲覧を制限されたことに対し、同条項が憲法2…