1 内国法人に係る特定外国子会社等の事業年度の途中で当該特定外国子会社等の発行する優先出資証券が償還され、当該事業年度終了の時には、当該特定外国子会社等の発行済株式等が、当該内国法人が有し剰余金の配当等が予定されていない普通株式のみとなった場合において、当該特定外国子会社等の事業年度を当該優先出資証券の償還日の前日までとするなどの方法を採る余地もあったなど判示の事情の下では、租税特別措置法施行令(平成29年政令第114号による改正前のもの)39条の16第1項を適用することができないとした原審の判断には、租税特別措置法(平成29年法律第4号による改正前のもの)66条の6第1項の解釈適用を誤った違法がある。 2 増額更正処分後に国税通則法23条1項の規定による更正の請求をし、更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けた者は、当該通知処分の取消しを求める訴えの利益を有する。 (1につき補足意見がある。)
1 租税特別措置法施行令(平成29年政令第114号による改正前のもの)39条の16第1項を適用することができないとした原審の判断に違法があるとされた事例 2 増額更正処分後に国税通則法23条1項の規定による更正の請求をし、更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けた者は、当該通知処分の取消しを求める訴えの利益を有するか
(1につき)租税特別措置法(平成29年法律第4号による改正前のもの)66条の6第1項、租税特別措置法施行令(平成29年政令第114号による改正前のもの)39条の16第1項 (2につき)行政事件訴訟法9条1項、国税通則法23条1項、国税通則法23条4項
判旨
タックス・ヘイブン対策税制における課税対象金額の計算基準時を「外国子会社の事業年度終了の時」と定める政令(本件規定)は、母法(本件委任規定)の趣旨に適合し、委任の範囲を逸脱するものではない。事業年度途中の株主構成変動や配当状況を個別具体的に考慮せず本件規定を適用しても、課税要件の明確性や執行の安定性の観点から合理性があり、適法である。
問題の所在(論点)
租税特別措置法施行令39条16第1項(本件規定)が、課税対象金額の計算基準を「事業年度終了の時」の発行済株式等の保有割合と定めていることが、母法である同法66条の6第1項(本件委任規定)の委任の範囲を逸脱し無効とならないか。
規範
本件委任規定は、租税回避の防止、課税要件の明確性、課税執行の安定性、税負担の実質的公平を目的とする。課税対象金額の計算方法を政令に委任したのは、基準時の設定等が技術的・細目的事項であり、内閣の専門技術的な裁量に委ねる趣旨である。したがって、政令が事業年度終了時という一義的に明確な基準時を設けることは、個別具体的な事情にかかわらず合理性があり、母法の目的を害さない限り委任の範囲内として有効である。
事件番号: 平成28(行ヒ)224 / 裁判年月日: 平成29年10月24日 / 結論: 破棄自判
1 内国法人に係る特定外国子会社等が行っていた地域統括業務は,それが地域企画,調達,財務,材料技術,人事,情報システム及び物流改善という多岐にわたる業務から成り,集中生産・相互補完体制を強化し,各拠点の事業運営の効率化やコスト低減を図ることを目的とするものであるなど判示の事実関係の下においては,租税特別措置法(平成21…
重要事実
内国法人である被上告人は、ケイマン諸島の特定外国子会社等(本件各子会社)を通じ、外部投資家から優先出資証券により資金を調達し、これを原資に被上告人へ劣後ローンを貸し付けていた。本件各子会社は、事業年度の途中で優先出資証券を全額償還し、その際の配当原資として当該年度の利益のほぼ全てを支払った。その結果、事業年度終了時には被上告人が発行済株式の100%を保有する状態となった。処分行政庁は、本件規定に基づき年度末の持株割合100%を適用し、既に外部へ配当済みの利益相当分も含めて被上告人の所得に合算課税する更正処分等を行った。
あてはめ
第一に、本件委任規定は課税要件の明確性を重視しており、年度末という基準は一義的で明確である。第二に、事業年度途中の株主変動に伴い配当時と年度末で持株割合に乖離が生じる事態は当然想定内であり、外国子会社受取配当益金不算入制度との関係からも、個別事情を考慮しない適用が直ちに母法の予定外の事態を招くとはいえない。第三に、納税者は事業年度を変更する等の方法により合算課税を回避する余地もあり、回避し得ない不利益があるとはいえない。以上より、本件各子会社の利益が実質的に外部へ流出していたという個別事情があっても、年度末の割合で課税することは委任の範囲内である。
結論
本件規定は有効であり、これに基づき年度末の持株割合100%を適用した本件各更正処分等は適法である。また、増額更正後の更正の請求に対する拒絶通知についても、別個の処分として訴えの利益が認められる(結論として上告認容、附帯上告棄却)。
実務上の射程
行政立法への委任の限界に関し、技術的・細目的事項における広範な裁量を認める判例である。タックス・ヘイブン対策税制の適用において、形式的な基準(年度末の現況)による課税の合憲性・適法性を強く肯定しており、納税者側の個別的な反証(租税回避意図の欠如や経済的実態との乖離)による規範の読み替えを厳格に制限する射程を持つ。
事件番号: 平成16(行ヒ)326 / 裁判年月日: 平成18年2月23日 / 結論: 破棄自判
我が国の銀行が,本来は外国法人が負担すべき外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税)について対価を得て引き受ける取引を行い,同取引に基づいて同銀行が負担した外国法人税が上記対価を上回るため,同取引自体によっては損失を生ずるが,上記外国法人税の負担を自己の外国税額控除の余裕枠を利用して国内で納付すべき法人税…
事件番号: 令和2(行ヒ)303 / 裁判年月日: 令和4年4月21日 / 結論: 棄却
1 法人税法132条1項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とは、同項各号に掲げる法人である同族会社等の行為又は計算のうち、経済的かつ実質的な見地において不自然、不合理なもの、すなわち経済的合理性を欠くものであって、法人税の負担を減少させる結果となるものをいう。 2 …
事件番号: 令和4(行ヒ)373 / 裁判年月日: 令和6年7月18日 / 結論: 破棄自判
租税特別措置法施行令(平成28年政令第159号による改正前のもの)39条の117第8項5号括弧書きにいう「関連者以外の者が有する資産又は関連者以外の者が負う損害賠償責任を保険の目的とする保険」とは、関連者以外の者の資産又は損害賠償責任に係る経済的不利益を担保する保険をいう。
事件番号: 平成20(行ヒ)43 / 裁判年月日: 平成21年12月3日 / 結論: その他
内国法人によりチャネル諸島ガーンジーに設立された子会社が,複数の課税方法のうちから一つを選択することを納税者に許していたガーンジーの法人所得税制の下で,0%超30%以下の範囲で税務当局に申請し承認された税率が適用税率になるとの制度に基づき26%の税率で所得税の賦課決定を受けてこれを納付した場合において,次の1〜5などの…