内国法人によりチャネル諸島ガーンジーに設立された子会社が,複数の課税方法のうちから一つを選択することを納税者に許していたガーンジーの法人所得税制の下で,0%超30%以下の範囲で税務当局に申請し承認された税率が適用税率になるとの制度に基づき26%の税率で所得税の賦課決定を受けてこれを納付した場合において,次の1〜5などの判示の事情の下では,上記所得税は,法人税法(平成13年法律第6号による改正前のもの,平成14年法律第79号による改正前のもの及び平成21年法律第13号による改正前のもの)69条1項,法人税法施行令141条1項にいう外国法人税に該当しないとはいえない。 1 上記所得税は,ガーンジーがその課税権に基づき法令の定める一定の要件に該当するすべての者に課した金銭給付という性格を有する。 2 上記所得税は,上記子会社の所得を課税標準として課された税である。 3 上記所得税については,納税者が,納付後任意に還付請求をすること又は納付が猶予される期間を任意に定めることができるとはされていない。 4 上記所得税は,税率が納税者と税務当局との合意により決定されるなど納税者の裁量が広いものではあるが,その税率の決定については税務当局の承認が必要とされている。 5 上記子会社は,任意の選択により税負担を免れることができたのにあえて上記所得税の課税を選択したということはできない。
内国法人によりチャネル諸島ガーンジーに設立された子会社において,0%超30%以下の範囲で税務当局に申請し承認された税率が適用税率になるとの制度に基づき26%の税率でガーンジーに納付した所得税が,法人税法(平成13年法律第6号による改正前のもの,平成14年法律第79号による改正前のもの及び平成21年法律第13号による改正前のもの)69条1項,法人税法施行令141条1項にいう外国法人税に該当しないとはいえないとされた事例
法人税法(平成13年法律第6号による改正前のもの)69条1項,法人税法(平成14年法律第79号による改正前のもの)69条1項,法人税法(平成21年法律第13号による改正前のもの)69条1項,法人税法施行令141条1項,法人税法施行令(平成16年政令第101号による改正前のもの)141条3項,租税特別措置法(平成14年法律第79号による改正前のもの)66条の6第1項,租税特別措置法(平成17年法律第21号による改正前のもの)66条の6第1項,租税特別措置法施行令(平成21年政令第108号による改正前のもの)39条の14第1項,租税特別措置法施行令(平成13年政令第141号による改正前のもの)39条の14第2項,租税特別措置法施行令(平成14年政令第271号による改正前のもの)39条の14第2項,租税特別措置法施行令(平成17年政令第103号による改正前のもの)39条の14第2項
判旨
ガーンジーの国際課税資格制度に基づき納付された外国税は、納税者に税率等の選択の余地があるとしても、実質的にみて納税者がその税負担を任意に免れることができるものとはいえず、法人税法69条1項及び同施行令141条に規定する「外国法人税」に該当する。
問題の所在(論点)
ガーンジーの税制に基づき、納税者による税率の選択や当局との合意を経て納付された税が、法人税法上の「外国法人税」に該当するか。特に、納税者に広範な選択権が認められる場合に、租税としての実質(強行性・公平性)を欠くと判断すべきかが問題となった。
事件番号: 平成16(行ヒ)326 / 裁判年月日: 平成18年2月23日 / 結論: 破棄自判
我が国の銀行が,本来は外国法人が負担すべき外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税)について対価を得て引き受ける取引を行い,同取引に基づいて同銀行が負担した外国法人税が上記対価を上回るため,同取引自体によっては損失を生ずるが,上記外国法人税の負担を自己の外国税額控除の余裕枠を利用して国内で納付すべき法人税…
規範
「外国法人税」(法人税法69条1項)とは、外国の法令に基づき法人の所得を課税標準として課される税(同施行令141条1項)を指す。名目上の税であっても、実質的に租税といえないものは除外される。また、実質的に法人税に相当するか否かは、同施行令141条3項1号・2号の例示に照らし、納税者がその税負担を任意に免れることができる制度か否かによって判断すべきであり、我が国の一般的な租税概念に照らした一般的抽象的な検討により否定することは許されない。
重要事実
損害保険業を営む内国法人(上告人)がガーンジーに設立した子会社(A)が、同国の国際課税資格制度を利用し、税率26%を選択して所得税を納付した。ガーンジーの税制では、免税、段階税率、標準税率、または国際課税資格(0〜30%の範囲で交渉)の選択が可能であった。税務当局は、この選択の余地の広さから、本件外国税はタックス・ヘイブン対策税制回避のためのサービス対価であり「租税」に当たらず、特定外国子会社等の判定基準となる「外国法人税」に該当しないとして更正処分等を行った。
あてはめ
まず、本件外国税はガーンジーの課税権に基づき法令の定める要件に該当する者に課された金銭給付であり、特別の給付に対する反対給付でもないため「租税」に該当する。次に、法人税法施行令141条3項各号に照らすと、本件外国税は納付後に還付請求や猶予期間の任意設定ができるものではない。また、税率決定には当局の承認が必要であり、納税者の選択がそのまま適用されるわけではない。さらに、一度国際課税資格を選択し納付すれば、事後的に免税を受けるなどの方法で税負担を免れるすべはなく、現に税を負担している。したがって、本件外国税は納税者が任意に税負担を免れることができる税には当たらず、外国法人税に該当する。
結論
本件外国税は「外国法人税」に該当し、本件子会社は特定外国子会社等に当たらない。したがって、これと異なる前提で行われた更正処分等は違法であり、取り消されるべきである。
実務上の射程
タックス・ヘイブン対策税制における「外国法人税」の解釈指針を示した重要判例である。裁判所が租税法律主義を重視し、政令(施行令141条3項)の限定列挙やその趣旨を超えた「一般的抽象的な租税概念」による課税拡大を否定した点に実務上の大きな意義がある。
事件番号: 令和2(行ヒ)303 / 裁判年月日: 令和4年4月21日 / 結論: 棄却
1 法人税法132条1項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とは、同項各号に掲げる法人である同族会社等の行為又は計算のうち、経済的かつ実質的な見地において不自然、不合理なもの、すなわち経済的合理性を欠くものであって、法人税の負担を減少させる結果となるものをいう。 2 …
事件番号: 平成15(行ヒ)215 / 裁判年月日: 平成17年12月19日 / 結論: 破棄自判
我が国の銀行が,本来は外国法人が負担すべき外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税)について対価を得て引き受ける取引を行い,同取引に基づいて同銀行が負担した外国法人税が上記対価を上回るため,同取引自体によっては損失を生ずるが,上記外国法人税の負担を自己の外国税額控除の余裕枠を利用して国内で納付すべき法人税…
事件番号: 平成20(行ヒ)91 / 裁判年月日: 平成21年10月29日 / 結論: 棄却
租税特別措置法(平成12年法律第97号による改正前のもの)66条の6第1項は,「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定」7条1項に違反しない。 (補足意見がある。)
事件番号: 令和4(行ヒ)228 / 裁判年月日: 令和5年11月6日 / 結論: その他
1 内国法人に係る特定外国子会社等の事業年度の途中で当該特定外国子会社等の発行する優先出資証券が償還され、当該事業年度終了の時には、当該特定外国子会社等の発行済株式等が、当該内国法人が有し剰余金の配当等が予定されていない普通株式のみとなった場合において、当該特定外国子会社等の事業年度を当該優先出資証券の償還日の前日まで…