租税特別措置法(平成12年法律第97号による改正前のもの)66条の6第1項は,「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定」7条1項に違反しない。 (補足意見がある。)
租税特別措置法(平成12年法律第97号による改正前のもの)66条の6第1項は,「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定」7条1項に違反するか
租税特別措置法(平成12年法律第97号による改正前のもの)66条の6第1〜3項,租税特別措置法(平成13年法律第7号による改正前のもの)66条の7第1項,所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定7条1項
判旨
租税条約の「恒久的施設なくして課税なし」の原則は、相手国企業に対する法的二重課税を禁止するものであり、自国の内国法人に対するタックス・ヘイブン対策税制による合算課税を妨げない。
問題の所在(論点)
措置法66条の6第1項に基づくタックス・ヘイブン対策税制による合算課税が、日星租税条約7条1項(PEがなければ相手国企業の利得に課税できない旨の規定)に抵触し、憲法98条2項により無効とならないか。
規範
1. 租税条約によって国の課税権が制約されるのは、条約に明文規定があるか、十分な解釈上の根拠がある場合に限られる。 2. 日星租税条約7条1項は「恒久的施設(PE)なくして課税なし」という原則を確認したものであり、相手国企業に対する直接の課税権行使を制限する趣旨であって、自国の内国法人に対する課税を制限するものではない(法的二重課税の禁止)。 3. 条約の趣旨目的に反する合理性を欠く課税制度は実質的に条約違反となり得るが、タックス・ヘイブン対策税制が(1)租税回避への対処という正当な目的を有し、(2)経済合理性ある場合の適用除外を設け、(3)外国税額控除による調整を行っている限り、合理性を有し条約に違反しない。
事件番号: 平成20(行ヒ)43 / 裁判年月日: 平成21年12月3日 / 結論: その他
内国法人によりチャネル諸島ガーンジーに設立された子会社が,複数の課税方法のうちから一つを選択することを納税者に許していたガーンジーの法人所得税制の下で,0%超30%以下の範囲で税務当局に申請し承認された税率が適用税率になるとの制度に基づき26%の税率で所得税の賦課決定を受けてこれを納付した場合において,次の1〜5などの…
重要事実
日本法人である上告人は、シンガポール(星国)に子会社Aを設立した。Aは星国で株式譲渡益を計上したが、星国ではこれが非課税であったため、Aの税負担率は約4.32%と著しく低かった。税務当局は、Aが租税特別措置法(措置法)66条の6第1項にいう「特定外国子会社等」に該当するとして、その留保所得を親会社である上告人の所得に合算する更正処分を行った。上告人は、星国にPEを有しないAの利得に課税することは、日星租税条約7条1項(事業所得免税)に違反すると主張して処分の取消しを求めた。
あてはめ
1. 日星租税条約7条1項は、星国企業に対する日本政府の課税権行使を制限する規定であり、本件のように日本法人(上告人)を課税対象とする場合には直接適用されない。これはOECDモデル条約のコメンタリーにおける解釈とも合致し、国際的に承認された見解である。 2. 措置法の規定は、税負担の公平を図る目的があり、実体ある事業活動を行う場合の適用除外規定(3項)や、二重課税調整のための外国税額控除規定(66条の7)を備えている。したがって、本制度は星国の課税権や国際取引を不当に阻害するものではなく、条約の趣旨目的に反する不合理な制度とはいえない。
結論
措置法66条の6第1項は日星租税条約7条1項に違反しない。したがって、本件更正処分は適法である。
実務上の射程
タックス・ヘイブン対策税制(CFC税制)の合憲性・条約適合性が問われる場面で、本判例の「法的二重課税の禁止」という限定的解釈および「制度の合理性」という判断枠組みを用いる。条約解釈の補足的手段としてOECDコメンタリーを参照する手法も実務上重要である。
事件番号: 平成16(行ヒ)326 / 裁判年月日: 平成18年2月23日 / 結論: 破棄自判
我が国の銀行が,本来は外国法人が負担すべき外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税)について対価を得て引き受ける取引を行い,同取引に基づいて同銀行が負担した外国法人税が上記対価を上回るため,同取引自体によっては損失を生ずるが,上記外国法人税の負担を自己の外国税額控除の余裕枠を利用して国内で納付すべき法人税…
事件番号: 令和4(行ヒ)228 / 裁判年月日: 令和5年11月6日 / 結論: その他
1 内国法人に係る特定外国子会社等の事業年度の途中で当該特定外国子会社等の発行する優先出資証券が償還され、当該事業年度終了の時には、当該特定外国子会社等の発行済株式等が、当該内国法人が有し剰余金の配当等が予定されていない普通株式のみとなった場合において、当該特定外国子会社等の事業年度を当該優先出資証券の償還日の前日まで…
事件番号: 平成15(行ヒ)215 / 裁判年月日: 平成17年12月19日 / 結論: 破棄自判
我が国の銀行が,本来は外国法人が負担すべき外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税)について対価を得て引き受ける取引を行い,同取引に基づいて同銀行が負担した外国法人税が上記対価を上回るため,同取引自体によっては損失を生ずるが,上記外国法人税の負担を自己の外国税額控除の余裕枠を利用して国内で納付すべき法人税…
事件番号: 平成10(行ツ)77 / 裁判年月日: 平成16年9月7日 / 結論: 破棄自判
会社がその代表者に代わって同人の借入金の利息を支払ったことにより,その経済的利益に相当する同人に対する給与等(賞与)の支払があったことになって会社に源泉徴収による所得税の納税義務が客観的に成立したが,実際にされた納税の告知は,会社が同人に上記利息相当額を無利息で貸し付け,この貸付けに係る得べかりし利息相当額の経済的利益…