1 内国法人に係る特定外国子会社等が行っていた地域統括業務は,それが地域企画,調達,財務,材料技術,人事,情報システム及び物流改善という多岐にわたる業務から成り,集中生産・相互補完体制を強化し,各拠点の事業運営の効率化やコスト低減を図ることを目的とするものであるなど判示の事実関係の下においては,租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの)66条の6第3項にいう株式の保有に係る事業に含まれるとはいえない。 2 内国法人に係る特定外国子会社等につき,①対象地域内のグループ会社に対して行う地域企画,調達,財務,材料技術,人事,情報システム及び物流改善に係る地域統括業務の中の物流改善業務に関する売上高が収入金額の多くを占めていたこと,②所得金額(税引前当期利益)は保有株式の受取配当の占める割合が高かったものの,その配当収入の中には上記地域統括業務によって上記グループ会社全体に原価率が低減した結果生じた利益が相当程度反映されていたこと,③上記特定外国子会社等の現地事務所で勤務する従業員の多くが上記業務に従事し,その保有する有形固定資産の大半が上記業務に供されていたことなど判示の事情の下においては,上記地域統括業務が,租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの)66条の6第3項及び4項にいう上記特定外国子会社等の主たる事業である。
1 内国法人に係る特定外国子会社等の行う地域統括業務が租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの)66条の6第3項にいう株式の保有に係る事業に含まれるとはいえないとされた事例 2 内国法人に係る特定外国子会社等の行う地域統括業務が租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの)66条の6第3項及び4項にいう主たる事業であるとされた事例
(1,2につき)租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの)66条の6第1項,租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの)66条の6第3項,租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの)66条の6第4項
判旨
1. 地域統括業務は、株主権の行使や株式の運用に関連する業務とは異なる独自の目的・内容・機能を有するため、タックス・ヘイブン対策税制における「株式の保有」に係る事業には含まれない。 2. 法人の「主たる事業」の判定は、収入金額、所得金額、使用人の数、固定施設の状況等を総合的に勘案して行うべきである。
問題の所在(論点)
租税特別措置法66条の6第4項(タックス・ヘイブン対策税制)の適用除外要件における「事業基準」の判断において、地域統括業務が「株式の保有」に含まれるか。また、複数の事業を営む場合の「主たる事業」をいかなる基準で判定すべきか。
事件番号: 令和4(行ヒ)228 / 裁判年月日: 令和5年11月6日 / 結論: その他
1 内国法人に係る特定外国子会社等の事業年度の途中で当該特定外国子会社等の発行する優先出資証券が償還され、当該事業年度終了の時には、当該特定外国子会社等の発行済株式等が、当該内国法人が有し剰余金の配当等が予定されていない普通株式のみとなった場合において、当該特定外国子会社等の事業年度を当該優先出資証券の償還日の前日まで…
規範
1. 事業基準(措置法66条の6第4項・3項)の「株式の保有」に係る事業の範囲について: 他の会社を統括・管理するための事業方針策定、執行管理、調整等の業務(地域統括業務)は、当該会社の収益性向上を直接の目的とし、独自の目的・内容・機能を有する。したがって、結果として配当増加に資するとしても、「株式の保有」に包含されず、別個の事業と解される。 2. 「主たる事業」の判定基準: 特定外国子会社等の事業活動の具体的かつ客観的な内容から判定すべきであり、複数の事業を営む場合は、①収入金額、②所得金額、③使用人の数、④事務所・工場等の固定施設の状況等を総合的に勘案して判定する。
重要事実
1. 内国法人Xの子会社A(シンガポール所在)は、ASEAN地域の統括会社として地域統括業務(企画、調達、財務、人事等)及び持株業務を行っていた。 2. Aの収入の約85%は地域統括業務(物流改善等)による売上だが、所得(利益)の約9割は受取配当が占めていた。 3. Aの従業員(30数名)の多くは地域統括業務に従事し、有形固定資産の大半も同業務に供されていた。 4. シンガポール当局に支払った税負担が日本より著しく低かったため、課税当局はAの主たる事業を「株式の保有」と認定し、適用除外要件(事業基準)を満たさないとして合算課税処分を行った。
あてはめ
1. Aの地域統括業務は、多岐にわたる専門的業務から成り、域内グループ会社の効率化・コスト低減を目的として対価を得て行われている。これは株主権の行使とは異なる独自の機能を有し、現地で行う積極的な経済合理性も認められるため、「株式の保有」には含まれない。 2. Aの事業実体について、所得金額では配当の比率が高いものの、当該配当は地域統括業務による原価低減等の成果が反映されたものである。また、収入金額の大部分が地域統括業務から生じ、従業員や固定施設の状況も同業務が主体であった。これらを総合勘案すれば、Aの主たる事業は地域統括業務であるといえる。
結論
Aは事業基準を満たし、実体基準、管理支配基準、所在地国基準も充足するため、適用除外要件を全て満たす。したがって、本件各処分は違法であり、取り消されるべきである。
実務上の射程
地域統括会社の事業基準判定において、単なる所得金額の構成比のみならず、人員配置や設備、業務の経済的実態を重視すべきことを示した。
事件番号: 令和2(行ヒ)303 / 裁判年月日: 令和4年4月21日 / 結論: 棄却
1 法人税法132条1項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とは、同項各号に掲げる法人である同族会社等の行為又は計算のうち、経済的かつ実質的な見地において不自然、不合理なもの、すなわち経済的合理性を欠くものであって、法人税の負担を減少させる結果となるものをいう。 2 …
事件番号: 平成16(行ヒ)326 / 裁判年月日: 平成18年2月23日 / 結論: 破棄自判
我が国の銀行が,本来は外国法人が負担すべき外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税)について対価を得て引き受ける取引を行い,同取引に基づいて同銀行が負担した外国法人税が上記対価を上回るため,同取引自体によっては損失を生ずるが,上記外国法人税の負担を自己の外国税額控除の余裕枠を利用して国内で納付すべき法人税…
事件番号: 平成20(行ヒ)43 / 裁判年月日: 平成21年12月3日 / 結論: その他
内国法人によりチャネル諸島ガーンジーに設立された子会社が,複数の課税方法のうちから一つを選択することを納税者に許していたガーンジーの法人所得税制の下で,0%超30%以下の範囲で税務当局に申請し承認された税率が適用税率になるとの制度に基づき26%の税率で所得税の賦課決定を受けてこれを納付した場合において,次の1〜5などの…
事件番号: 平成14(行ヒ)147 / 裁判年月日: 平成16年12月24日 / 結論: 破棄自判
1 法人の各事業年度の所得の金額の計算において,金銭債権の貸倒損失を法人税法22条3項3号にいう「当該事業年度の損失の額」として当該事業年度の損金の額に算入するためには,当該金銭債権の全額が回収不能であることが客観的に明らかでなければならず,そのことは,債務者の資産状況,支払能力等の債務者側の事情のみならず,債権回収に…