令和4年7月10日に行われた参議院議員通常選挙当時、平成30年法律第75号による改正後の公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は、違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえず、上記規定が憲法14条1項等に違反するに至っていたということはできない。 (意見及び反対意見がある。)
公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の合憲性
憲法14条1項、憲法15条1項、3項、憲法43条1項、憲法44条、公職選挙法14条、公職選挙法別表第3
判旨
令和4年参議院議員通常選挙における議員定数配分規定は、最大較差3.03倍に達していたが、憲法の投票価値の平等に反する程度の著しい不平等状態にあったとはいえず、合憲である。
問題の所在(論点)
都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の仕組み(本件定数配分規定)が、投票価値の不均衡を招いているとして、憲法14条1項等に違反し、選挙が無効となるか。
規範
投票価値の平等は選挙制度の決定において唯一絶対の基準ではなく、国会の裁量権の行使として合理性を有する限り、一定の譲歩は許容される。具体的には、人口変動により著しい不平等状態が生じ、かつ、それが相当期間継続しているにもかかわらず是正措置を講じない場合に、国会の裁量権の限界を超え違憲となる。
重要事実
令和4年7月の参議院選挙当時、選挙区間の最大較差は3.03倍であった。過去、参議院では5倍前後の較差が常態化していたが、平成27年改正で「合区」を導入し3倍程度まで縮小させた。その後、平成30年改正で定数を微増させたが、本件選挙までに抜本的な改革やさらなる較差是正の立法的措置は講じられていなかった。
あてはめ
最大較差は3.03倍であり、平成27年改正による3倍程度への縮小以降、有意な拡大傾向にない。また、合区対象県での投票率低下などの副作用も生じており、都道府県単位の仕組みを見直すには国民の理解や慎重な検討を要し、成案まで時間を要することも見込まれる。これらを総合すると、立法府が更なる是正策を講じなかったことを考慮しても、本件選挙当時の不均衡が著しい不平等状態にあったとはいえない。
結論
本件定数配分規定は憲法に違反するとはいえず、本件選挙を無効とする請求は棄却される。
実務上の射程
参議院選挙における「3倍程度」の較差について、抜本改革が停滞していても直ちに「違憲状態」とはしない判断を維持した。答案では、参議院の独自性(半数改選・長期間の任期)や都道府県の意義を考慮しつつ、較差が縮小・維持されている事実を重視して「合憲」と導く際の基準となる。
事件番号: 令和2(行ツ)28 / 裁判年月日: 令和2年11月18日 / 結論: 棄却
令和元年7月21日施行の参議院議員通常選挙当時,平成30年法律第75号による改正後の公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえず,上記規定が憲法に違反するに至っていたということはできない。…