参議院議員通常選挙のうち比例代表選出議員の選挙について特定枠制度を定める公職選挙法の規定は憲法43条1項等に違反しない
判旨
参議院比例代表選挙における特定枠制度は憲法43条1項等に違反せず、また、比例代表選挙の無効を求める訴訟において選挙区選挙の仕組みの違憲性を争うことはできない。
問題の所在(論点)
1. 参議院比例代表選挙における「特定枠制度」が憲法43条1項等に違反するか。2. 比例代表選挙の無効を求める訴訟において、選挙区選挙の定数配分規定の違憲性を争うことができるか。
規範
参議院議員通常選挙の比例代表選出議員の選挙に関する制度設計は、憲法上の制約に反しない限り国会の裁量に委ねられる。また、公職選挙法上の比例代表選挙と選挙区選挙は別個の選挙であり、一方の選挙の無効訴訟において他方の選挙制度の違憲性を主張することは許されない。
重要事実
上告人らは、令和4年7月10日施行の参議院議員通常選挙(比例代表)について、特定枠制度を定める公職選挙法の規定が憲法43条1項(全国民の代表)に違反すると主張した。さらに、同日に行われた選挙区選出議員の選挙における定数配分規定が違憲であり無効であるから、これと併せて行われた本件比例代表選挙も無効であると主張して、選挙の無効を求めた。
あてはめ
1. 特定枠制度の合憲性については、過去の大法廷判決(平成11年、平成16年)の判示に照らし、憲法43条1項に違反しない。国会に認められた合理的な裁量の範囲内であると解される。2. 選挙無効の訴えにおける主張制限については、比例代表選挙と選挙区選挙は公職選挙法上、選出方法や単位を異にする別個の選挙である。したがって、比例代表選挙の効力を争う訴訟において、直接の無効原因とならない選挙区選挙の仕組み(定数配分規定)を問題とすることは、訴訟の性質上認められない。
結論
本件特定枠制度は合憲であり、また比例代表選挙の無効訴訟において選挙区選挙の違憲性を主張することはできないため、上告を棄却する。
実務上の射程
選挙制度に関する国会の立法裁量を広く認める判例の流れを再確認するものである。答案上は、憲法43条の「全国民の代表」の意義が特定の選挙制度(拘束名簿式等)を固定するものではないことの根拠や、行政事件訴訟法上の「法律上の利益」や訴訟対象の特定の議論において、選挙の種類ごとの峻別を論じる際に参照すべきである。
事件番号: 令和7(行ツ)156 / 裁判年月日: 令和7年9月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】衆議院比例代表選出議員の選挙に関する公職選挙法の各規定は、憲法14条1項、15条、43条、44条、47条等に違反せず、当該規定に基づき行われた選挙は有効である。 第1 事案の概要:令和6年10月27日施行の衆議院議員総選挙のうち、東京都選挙区における比例代表選出議員の選挙に関し、上告人らが公職選挙…