参議院(比例代表選出)議員の選挙についていわゆる特定枠制度を定める平成30年法律第75号による改正後の公職選挙法の規定は,憲法43条1項等に違反するものではない。 (意見がある。)
参議院(比例代表選出)議員の選挙についていわゆる特定枠制度を定める公職選挙法の規定の合憲性
憲法43条1項,公職選挙法86条の3第1項柱書き後段,公職選挙法95条の3第4項
判旨
参議院比例代表選挙において、政党が優先的に当選人となるべき候補者を指定できる「特定枠制度」は、投票の結果(選挙人の総意)により当選人が決定される以上、憲法43条1項等に違反しない。
問題の所在(論点)
参議院比例代表選挙における特定枠制度の導入は、選挙人の意思に基づかない議員選出を認めるものとして、憲法43条1項等の憲法上の規定に違反するか。
規範
両議院の選挙制度の具体的仕組みの決定は、原則として国会の裁量に委ねられている。比例代表制において、政党が届け出た名簿上の順位や得票数に応じて当選人を決定する仕組みであっても、それが「投票の結果すなわち選挙人の総意により当選人が決定される」ものである限り、選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と性質において異ならず、憲法43条1項等に適合する。
重要事実
平成30年の公職選挙法改正により、参議院比例代表選挙において「特定枠制度」が導入された。これは、政党が名簿届出時に一部の候補者を「特定枠」として指定し、その者を特定枠以外の候補者(得票数順で決定)よりも優先的に上位で当選させる仕組みである。上告人は、同制度が選挙人の意思を介さず議員を選出するものであり、国民の代表(憲法43条1項)の原則に反すると主張して、本件選挙の無効を求めた。
あてはめ
本件改正後の制度は、各政党の得票数(名簿登載者への投票を含む)に基づき政党ごとの当選人数を決定し、その枠内で「あらかじめ届け出られた名簿上の順位(特定枠)」および「候補者の得票数」に応じて当選人を決定するものである。これは、あらかじめ示されたルールに基づき「投票の結果(選挙人の総意)」によって当選人が確定するプロセスを経ており、直接個人を選択する方式と本質的な差異はない。したがって、立法府の裁量の範囲内である。
結論
本件特定枠制度を定める公職選挙法の規定は、憲法43条1項等に違反しない。したがって、これに基づく本件選挙も有効である。
実務上の射程
比例代表制(拘束名簿式・非拘束名簿式の混成)の合憲性を肯定した重要な先例である。答案上は、選挙制度に関する立法裁量を論じる際、名簿式投票であっても「投票結果という選挙人の総意により当選が決まる」という基本構造が維持されていれば、憲法上の要請(43条1項、44条但書、15条1項等)を満たすという論理で使用する。
事件番号: 平成13(行ツ)233 / 裁判年月日: 平成13年12月18日 / 結論: 棄却
1 所定の要件を充足する政党その他の政治団体に所属する候補者に限り衆議院小選挙区選出議員の選挙と衆議院比例代表選出議員の選挙とに重複して立候補することを認め,重複立候補者が前者の選挙において当選人とされなかった場合でも後者の選挙においては候補者名簿の順位に従って当選人となることができるなどと定めている公職選挙法の規定は…