法定受託事務に係る申請を棄却した都道府県知事の処分がその根拠となる法令の規定に違反するとして、これを取り消す裁決がされた場合において、都道府県知事が上記処分と同一の理由に基づいて上記申請を認容する処分をしないことは、地方自治法245条の7第1項所定の法令の規定に違反していると認められるものに該当する。
法定受託事務に係る申請を棄却した都道府県知事の処分がその根拠となる法令の規定に違反するとして、これを取り消す裁決がされた場合において、都道府県知事が上記処分と同一の理由に基づいて上記申請を認容する処分をしないことは、地方自治法245条の7第1項所定の法令の規定に違反していると認められるものに該当するか
行政不服審査法52条1項、2項、地方自治法245条の7第1項
判旨
法定受託事務に係る申請棄却処分を取り消す裁決がなされた場合、当該都道府県知事は裁決の趣旨に従い改めて処分すべき義務を負い、これに反して同一の理由により承認しないことは地方自治法245条の7第1項の「法令の規定に違反」に該当する。
問題の所在(論点)
法定受託事務に係る申請を不承認とした知事の処分が裁決により取り消されたにもかかわらず、知事が同一の理由に基づき改めての承認を行わない場合、地方自治法245条の7第1項にいう「法令の規定に違反していると認められるもの」に該当し、国による是正の指示は適法といえるか。
規範
行政不服審査法52条1項、2項は、裁決が関係行政庁を拘束し、申請を棄却した処分が裁決で取り消された場合には処分庁が裁決の趣旨に従い改めて処分しなければならない旨を規定している。この趣旨は、審査請求人の権利利益の迅速・実効的な救済と行政の適正運営を確保する点にあり、処分庁が審査庁の下級行政庁でない場合も同様である。したがって、法定受託事務に係る処分が裁決で取り消された場合、知事は裁決の趣旨に従い処分すべき義務を負い、同一の理由で処分を拒むことは地方自治法245条の7第1項所定の「法令の規定に違反していると認められるもの」に該当する。
事件番号: 令和3(行ヒ)76 / 裁判年月日: 令和3年7月6日 / 結論: 棄却
1 沖縄県漁業調整規則(昭和47年沖縄県規則第143号。令和2年沖縄県規則第53号による改正前のもの)41条1項に基づく水産動植物の採捕に係る許可に関する県知事の判断は,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たると認められる場合には,地方自治法245条の7第1項所定の法令の規定に違反していると認められるものに該当する。 2…
重要事実
沖縄防衛局は辺野古埋立事業の設計変更申請(本件変更申請)をしたが、沖縄県知事は本件各規定に適合しないとして不承認処分とした。被上告人(国土交通大臣)は審査請求を受け、知事の判断は裁量権を逸脱・濫用し違法であるとして不承認処分を取り消す裁決をした。しかし、知事は裁決後も承認をしなかったため、被上告人は地方自治法245条の7第1項に基づき、承認をするよう是正の指示を行った。知事は本件指示は違法であるとしてその取消しを求めた。
あてはめ
本件において、被上告人は、沖縄県知事による本件変更不承認処分が公有水面埋立法等の規定に違反して違法であるとして、これを取り消す本件裁決を行った。行政不服審査法52条に基づき、知事は本件裁決の趣旨に従って改めて処分を行う義務を負うが、本件変更不承認と同一の理由に基づき本件変更承認をしないままでいた。このような知事の不作為は、裁決の拘束力に従った行動義務に反するものであり、紛争の迅速な解決を困難にする。したがって、知事の対応は地方自治法245条の7第1項所定の「法令の規定に違反している」状態にあるといえる。
結論
知事が裁決の趣旨に従わず、同一の理由で承認を行わないことは法令違反に該当するため、本件是正の指示は適法である。知事の上告は棄却される。
実務上の射程
法定受託事務における裁決の拘束力(行審法52条)が、地方自治法245条の7第1項(是正の指示)の要件である「法令違反」を導く論理を示した。国と地方の係争において、知事側が「裁決自体が違法である」と主張して拘束力を否定することは許されないという、裁決の実効性を重視する判断である。
事件番号: 令和1(行ヒ)367 / 裁判年月日: 令和2年3月26日 / 結論: 棄却
公有水面埋立法42条1項に基づく埋立ての承認は,国の機関が行政不服審査法7条2項にいう「固有の資格」において相手方となるものということはできない。
事件番号: 平成28(行ヒ)394 / 裁判年月日: 平成28年12月20日 / 結論: 棄却
1 公有水面の埋立てが公有水面埋立法4条1項1号の要件に適合するとした県知事の判断には,当該埋立てがアメリカ合衆国軍隊の使用する飛行場の代替施設を設置するために実施されるものであって,県知事が,当該代替施設の面積や埋立面積が当該飛行場の施設面積と比較して相当程度縮小されることに加え,滑走路延長線上を海域とすることにより…
事件番号: 昭和27(オ)855 / 裁判年月日: 昭和28年12月25日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法第五条第五号により「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」として指定されていない農地であつても、右の場合に該当するときは、これを買収することは違法である。
事件番号: 平成5(行ツ)50 / 裁判年月日: 平成15年12月4日 / 結論: その他
1 土地収用法(昭和47年法律第52号による改正前のもの)第3章第1節の規定及びこれに基づいて建設大臣がした事業認定(昭和44年建設省告示第3865号)は,憲法31条の法意に反しない。 2 公共用地の取得に関する特別措置法(平成11年法律第160号による改正前のもの)が定める緊急裁決の制度は,憲法29条3項に違反しない…