墓地、埋葬等に関する法律10条の規定により大阪市長がした納骨堂の経営又はその施設の変更に係る許可について、当該納骨堂の所在地からおおむね300m以内の場所に敷地がある人家に居住する者は、その取消しを求める原告適格を有する。(補足意見及び意見がある。)
墓地、埋葬等に関する法律10条の規定により大阪市長がした納骨堂の経営等に係る許可の取消訴訟と納骨堂の周辺住民の原告適格
行政事件訴訟法9条、墓地、埋葬等に関する法律10条、大阪市墓地、埋葬等に関する法律施行細則(昭和31年大阪市規則第79号)8条
判旨
墓地埋葬法10条に基づく納骨堂経営許可等の取消訴訟において、施行細則に距離制限規定がある場合、当該距離(本件では300m)以内に居住する住民は、平穏に日常生活を送る個別的利益を保護されるべき者として、原告適格を有する。
問題の所在(論点)
墓地埋葬法10条に基づく許可につき、根拠法令の一部を構成する施行細則の距離制限規定を根拠として、周辺住民に取消訴訟の原告適格(行政事件訴訟法9条1項)が認められるか。
規範
行政事件訴訟法9条1項の「法律上の利益を有する者」とは、処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。処分の相手方以外の者の原告適格を判断するに当たっては、同条2項に従い、根拠法令の文言のみならず、その趣旨・目的、考慮されるべき利益の内容・性質を考慮する。墓地埋葬法10条は許可要件を明示せず自治体の裁量に委ねているため、同条は条例や規則による補完を前提としている。したがって、当該自治体の施行細則等の規定も「根拠となる法令」として、その趣旨・目的を考慮すべきである。
重要事実
宗教法人Aは、大阪市内の土地に地上6階建ての納骨堂を建設するため、市長から経営許可および変更許可(本件各許可)を受けた。大阪市規則である本件細則8条は、墓地等の所在地が学校、病院、人家から「おおむね300m以内」にあるときは原則として許可しない旨を定めていた。本件納骨堂から100m以内に居住する住民らが、本件各許可の取消しを求めて提訴した。
事件番号: 平成10(行ツ)10 / 裁判年月日: 平成12年3月17日 / 結論: 棄却
知事が墓地、埋葬等に関する法律一〇条一項に基づき大阪府墓地等の経営の許可等に関する条例(昭和六〇年大阪府条例第三号)七条一号の基準に従ってした墓地の経営許可の取消訴訟につき、墓地から三〇〇メートルに満たない地域に敷地がある住宅等に居住する者は、原告適格を有しない。
あてはめ
本件細則8条は、墓地等が死を想起させ良好な生活環境を損なう恐れがあることに鑑み、特定の施設(学校、病院、人家)の周囲300m以内での経営を原則禁止している。これは、墓地等の経営が必要な場合であっても、個別具体的な事情の下で生活環境を著しく損なう恐れがない場合に限り例外的に許可する趣旨である。そうすると、同条は単なる一般的公益だけでなく、300m以内の人家に居住する者が「平穏に日常生活を送る利益」を個々の居住者の個別的利益として保護する趣旨を含む。原告らは本件納骨堂から100m以内に居住しており、この個別的利益を侵害される恐れがある。なお、構造設備基準(細則10条)は利用者保護の趣旨であり根拠とならないが、細則8条により原告適格は認められる。
結論
本件納骨堂の所在地からおおむね300m以内の場所に敷地がある人家に居住する住民は、本件各許可の取消しを求める原告適格を有する。
実務上の射程
墓地埋葬法自体に許可基準がない場合でも、条例・規則の距離制限規定を「根拠法令」として取り込み、保護範囲内の住民の原告適格を肯定する枠組みを示した。先行判例(最判平12・3・17)とは対象規定の差異により区別しており、自治体ごとの規定内容の精査が重要となる。また、行訴法9条2項導入後の柔軟な判断を強調する補足意見も実務上注目される。
事件番号: 平成4(行ツ)109 / 裁判年月日: 平成6年9月27日 / 結論: 棄却
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律四条二項二号及び風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令六条二号を受けて制定された風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(昭和五九年神奈川県条例第四四号)三条一項三号所定の診療所等の施設を設置する者が、同号所定の風俗営業制限地域内において風俗営業…
事件番号: 平成24(行ヒ)267 / 裁判年月日: 平成26年7月29日 / 結論: その他
1 産業廃棄物の最終処分場の周辺に居住する住民のうち,当該最終処分場から有害な物質が排出された場合にこれに起因する大気や土壌の汚染,水質の汚濁,悪臭等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,当該最終処分場を事業の用に供する施設としてされた産業廃棄物処分業及び特別管理産業廃棄物処分業の許可…
事件番号: 平成17(行ヒ)163 / 裁判年月日: 平成19年12月7日 / 結論: 棄却
1 海岸法37条の4の規定に基づく一般公共海岸区域の占用の許可の申請があった場合において,当該占用が当該一般公共海岸区域の用途又は目的を妨げないときであっても,海岸管理者は,同法の目的等を勘案した裁量判断として占用の許可をしないことが相当であれば,占用の許可をしないことができる。 2 採石業等を目的とする会社が,岩石の…
事件番号: 平成9(行ツ)7 / 裁判年月日: 平成14年1月22日 / 結論: その他
建築基準法(平成4年法律第82号による改正前のもの)59条の2第1項に基づくいわゆる総合設計許可に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し又はこれを所有する者は,同許可の取消訴訟の原告適格を有する。