知事が墓地、埋葬等に関する法律一〇条一項に基づき大阪府墓地等の経営の許可等に関する条例(昭和六〇年大阪府条例第三号)七条一号の基準に従ってした墓地の経営許可の取消訴訟につき、墓地から三〇〇メートルに満たない地域に敷地がある住宅等に居住する者は、原告適格を有しない。
墓地の経営許可の取消訴訟と墓地から三〇〇メートルに満たない地域に敷地がある住宅等に居住する者の原告適格
行政事件訴訟法9条,墓地、埋葬等に関する法律10条1項,大阪府墓地等の経営の許可等に関する条例(昭和60年大阪府条例第3号)7条1号
判旨
墓地経営許可(法10条1項)の取消訴訟において、墓地から300メートル以内に居住する者は、法及び関連条例が周辺住民の個別的利益を保護する趣旨を含まないため、原告適格を有しない。
問題の所在(論点)
墓地経営許可の根拠となる法10条1項及び関連条例の規定が、周辺住民の個別的利益を保護する趣旨を含むか(周辺住民に原告適格が認められるか)。
規範
原告適格(行政事件訴訟法9条1項)の有無は、処分の根拠法規が、公益のみならず個人の個別的利益を保護する趣旨を含むか否かにより判断する。墓地経営許可については、法が公衆衛生等の広範な公益上の判断を権限者に委ねていること、条例の距離制限も特定の施設利用者の利益を保護する趣旨ではないことから、周辺住民の利益は法の保護する個別的利益には当たらない。
重要事実
大阪府知事が、墓地、埋葬等に関する法律(法)10条1項に基づき墓地の経営許可を行った。これに対し、当該墓地から300メートル以内に居住する住民らが、経営許可の取消しを求めて提訴した。大阪府の条例では、住宅等から300メートル以上の離隔距離を求めていたが、但書で知事の裁量による例外を認めていた。
事件番号: 令和4(行ヒ)150 / 裁判年月日: 令和5年5月9日 / 結論: 棄却
墓地、埋葬等に関する法律10条の規定により大阪市長がした納骨堂の経営又はその施設の変更に係る許可について、当該納骨堂の所在地からおおむね300m以内の場所に敷地がある人家に居住する者は、その取消しを求める原告適格を有する。(補足意見及び意見がある。)
あてはめ
法10条1項は許可要件を規定せず、知事の広範な裁量に委ねている。これは、墓地経営の公益性や宗教的感情、公衆衛生等の見地から総合判断を求めるものであり、周辺住民の個別的利益の保護を目的とするものではない。また、条例の距離制限も住宅や店舗等を広く含んでおり、特定の施設設置者の個別的利益を保護するものではなく、専ら公益的見地から設けられた制限であると解される。
結論
周辺住民は、法10条1項に基づく墓地経営許可の取消しを求める原告適格を有しない。上告棄却。
実務上の射程
「法律の保護する利益」の解釈において、根拠法規が行政庁に広範な裁量を付与し、かつ目的が公衆衛生等の抽象的な公益にある場合、周辺住民の原告適格が否定される典型例として機能する。ただし、近年の小田急高架訴訟判決等に照らせば、被害の重大性や法文の改正等により判断が異なり得る点に注意が必要である。
事件番号: 平成17(行ヒ)163 / 裁判年月日: 平成19年12月7日 / 結論: 棄却
1 海岸法37条の4の規定に基づく一般公共海岸区域の占用の許可の申請があった場合において,当該占用が当該一般公共海岸区域の用途又は目的を妨げないときであっても,海岸管理者は,同法の目的等を勘案した裁量判断として占用の許可をしないことが相当であれば,占用の許可をしないことができる。 2 採石業等を目的とする会社が,岩石の…
事件番号: 平成20(行ヒ)247 / 裁判年月日: 平成21年10月15日 / 結論: その他
1 自転車競技法(平成19年法律第82号による改正前のもの)4条2項に基づく設置許可がされた場外車券発売施設の周辺において居住し又は事業(文教施設又は医療施設に係る事業を除く。)を営む者や,周辺に所在する文教施設又は医療施設の利用者は,自転車競技法施行規則(平成18年経済産業省令第126号による改正前のもの)15条1項…
事件番号: 平成8(行ツ)180 / 裁判年月日: 平成13年3月13日 / 結論: その他
土砂の流出又は崩壊,水害等の災害により生命,身体等に直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住する者は,森林法(平成11年法律第87号による改正前のもの)10条の2による開発許可の取消訴訟の原告適格を有する。
事件番号: 平成8(行ツ)271 / 裁判年月日: 平成10年12月17日 / 結論: 棄却
風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律施行令六条一号イの定める基準に従って規定された都道府県の条例所定の風俗営業制限地域に居住する者は、同地域内における風俗営業許可処分の取消しを求める原告適格を有しない。