風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律施行令六条一号イの定める基準に従って規定された都道府県の条例所定の風俗営業制限地域に居住する者は、同地域内における風俗営業許可処分の取消しを求める原告適格を有しない。
風俗営業許可処分の取消訴訟と風俗営業制限地域居住者の原告適格
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律3条1項,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律4条2項2号,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令6条,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(昭和59年東京都条例128号)3条
判旨
風営法に基づく営業許可の取消訴訟において、住居集合地域内に居住する住民は、同法が当該地域の良好な風俗環境を専ら一般的公益として保護するにとどまるため、原告適格を有しない。
問題の所在(論点)
風営法3条1項に基づく営業許可の取消訴訟において、許可制限地域(住居集合地域)内に居住する住民は、行政事件訴訟法9条にいう「法律上の利益を有する者」として原告適格を有するか。
規範
行政事件訴訟法9条の「法律上の利益を有する者」とは、処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。当該行政法規が、不特定多数者の具体的利益を一般的公益に解消させず、個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むか否かは、法規の趣旨・目的、保護しようとする利益の内容・性質等を考慮して判断すべきである。
重要事実
上告人らは、東京都内の住居集合地域(風営法施行条例3条1項1号所定の地域)に居住する住民である。被上告人(行政庁)が、当該地域の近隣において「ぱちんこ屋」の営業許可処分を行ったため、上告人らは良好な風俗環境を享受する利益を侵害されたとして、処分の取消しを求めて提訴した。
あてはめ
風営法1条の目的及び4条2項2号の規定は、良好な風俗環境の保全という一般的公益を目的としており、個人の個別的利益を保護する趣旨は読み取れない。施行令6条1号ロ(特定の施設周辺)とは異なり、同号イ(住居集合地域)は一定の広がりのある地域の風俗環境を一般的に保護する基準にすぎない。また、良好な風俗環境で生活する利益は性質上、専ら公益の面から保護することに適する。したがって、住居集合地域に係る制限規定は周辺住民の個別的利益を保護するものではないといえる。
結論
住居集合地域内に居住する住民は、本件営業許可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者にあたらず、原告適格を有しない。
実務上の射程
処分根拠法規が「特定の施設」を保護対象としているか、「一定の地域」を一般的・網羅的に保護しているかを区別する際の指標となる。住宅地の環境維持を求める住民の原告適格を否定する方向の有力な例証として機能する。
事件番号: 平成10(行ツ)5 / 裁判年月日: 平成12年3月21日 / 結論: 破棄自判
風俗営業の名義貸しは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(平成一〇年法律第五五号による改正前のもの)の立法目的を著しく害するおそれがあるとはいい難いような特段の事情のない限り、同法二六条一項にいう「著しく善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し、若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがある」場合に当たり…
事件番号: 平成10(行ツ)10 / 裁判年月日: 平成12年3月17日 / 結論: 棄却
知事が墓地、埋葬等に関する法律一〇条一項に基づき大阪府墓地等の経営の許可等に関する条例(昭和六〇年大阪府条例第三号)七条一号の基準に従ってした墓地の経営許可の取消訴訟につき、墓地から三〇〇メートルに満たない地域に敷地がある住宅等に居住する者は、原告適格を有しない。
事件番号: 昭和26(オ)853 / 裁判年月日: 昭和28年10月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第三者に対する公衆浴場営業許可処分は、上告人の居住の自由を侵害するものではなく、憲法違反の主張は適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、第三者に対してなされた公衆浴場営業許可処分の取消しを求めた。上告人は、当該許可処分が自己の居住の自由を侵害し、憲法に違反するものであると主張して…
事件番号: 昭和60(行ツ)197 / 裁判年月日: 平成元年3月7日 / 結論: 棄却
公衆浴場法二条二項及び大阪府公衆浴場法施行条例二条は、憲法二二条一項に違反しない。