風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律四条二項二号及び風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令六条二号を受けて制定された風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(昭和五九年神奈川県条例第四四号)三条一項三号所定の診療所等の施設を設置する者が、同号所定の風俗営業制限地域内において風俗営業が許可されたとしてその取消しを求める訴訟において、当該風俗営業の営業所が右地域内に所在しているか否かは実体審理をしなければ判明しない程度に右施設の至近距離にあるときは、審理の結果、右営業所が制限地域内に所在していないことが明らかになったとしても、本案につき判決をすべきである。 (補足意見がある。)
風俗営業の地域的制限の根拠となる診療所等の施設を設置する者が風俗営業の許可の取消しを求める訴訟において原告適格が認められた事例
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律4条2項2号,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令6条2号,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(昭和59年神奈川県条例第44号)3条1項3号,行政事件訴訟法9条
判旨
風俗営業制限地域内にある施設の設置者は、当該地域内での営業許可処分の取消しを求める原告適格を有し、距離制限の存否が実体審理を要する程度に微妙な場合には、審理の便宜上、原告適格を認めた上で本案判決(棄却)をすべきである。
問題の所在(論点)
1. 風俗営業制限地域内に所在する施設の設置者に、許可処分の取消しを求める原告適格(行訴法9条1項)が認められるか。 2. 制限地域内に所在するか否かが実体審理をしなければ判明しない至近距離にある場合、裁判所はどのように裁判すべきか。
規範
行政事件訴訟法9条1項の「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。風営法等の距離制限規定は、対象施設が善良で静穏な環境の下で円滑に業務を運営するという個別的利益をも保護していると解されるため、制限地域内に所在する施設の設置者は、同利益を害されたことを理由として許可処分の取消しを求める原告適格を有する。
事件番号: 平成8(行ツ)271 / 裁判年月日: 平成10年12月17日 / 結論: 棄却
風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律施行令六条一号イの定める基準に従って規定された都道府県の条例所定の風俗営業制限地域に居住する者は、同地域内における風俗営業許可処分の取消しを求める原告適格を有しない。
重要事実
上告人は、風俗営業の制限区域(周囲30メートル以内)付近で診療所を経営していた。被上告人(行政)が、当該診療所の至近距離に風俗営業許可処分を行った。実際の距離を計測したところ、30.39ないし32.20メートルであり、わずかに30メートルを超えていたため、実質的には制限地域外であったが、その判明には実体審理(詳細な計測等)を要する状況であった。
あてはめ
風営法等の規定は、診療所等の施設が静穏な環境で業務運営する利益を保護している。本件診療所は制限地域から0.39〜2.2メートル外側に位置しており、結果的には制限地域外であるが、その存否は実体審理を経なければ判明しない程度の至近距離にある。このような場合、原告適格の有無の判断が処分の適否(本案)の審理と密接不可分であり、直ちに訴えを却下することは訴訟の実際にそぐわない。したがって、審理が本案判断に熟している以上、訴訟判決ではなく本案判決を行うべきである。
結論
上告人の原告適格を認めた上で、実体として制限地域外であるため許可は適法であるとして、請求を棄却すべきである(本件では不利益変更禁止の原則により第1審の却下判決を維持した原判決が是認された)。
実務上の射程
行訴法9条1項の原告適格に関し、根拠法規が個人の個別的利益を保護しているかを判断する枠組み(保護法益説)を示す。また、本案要件と原告適格の要件が重なる場合の処理(本案審理の先行)に関する実務上の指針として機能する。
事件番号: 平成10(行ツ)5 / 裁判年月日: 平成12年3月21日 / 結論: 破棄自判
風俗営業の名義貸しは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(平成一〇年法律第五五号による改正前のもの)の立法目的を著しく害するおそれがあるとはいい難いような特段の事情のない限り、同法二六条一項にいう「著しく善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し、若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがある」場合に当たり…
事件番号: 昭和33(オ)710 / 裁判年月日: 昭和37年1月19日 / 結論: 破棄差戻
既存の公衆浴場営業者は、第三者に対する公衆浴場営業許可処分の無効確認を求める訴の利益を有しないとはいえない。
事件番号: 昭和60(行ツ)197 / 裁判年月日: 平成元年3月7日 / 結論: 棄却
公衆浴場法二条二項及び大阪府公衆浴場法施行条例二条は、憲法二二条一項に違反しない。
事件番号: 平成20(行ヒ)247 / 裁判年月日: 平成21年10月15日 / 結論: その他
1 自転車競技法(平成19年法律第82号による改正前のもの)4条2項に基づく設置許可がされた場外車券発売施設の周辺において居住し又は事業(文教施設又は医療施設に係る事業を除く。)を営む者や,周辺に所在する文教施設又は医療施設の利用者は,自転車競技法施行規則(平成18年経済産業省令第126号による改正前のもの)15条1項…