1 自転車競技法(平成19年法律第82号による改正前のもの)4条2項に基づく設置許可がされた場外車券発売施設の周辺において居住し又は事業(文教施設又は医療施設に係る事業を除く。)を営む者や,周辺に所在する文教施設又は医療施設の利用者は,自転車競技法施行規則(平成18年経済産業省令第126号による改正前のもの)15条1項1号所定のいわゆる位置基準を根拠として上記許可の取消訴訟の原告適格を有するということはできない。 2 自転車競技法(平成19年法律第82号による改正前のもの)4条2項に基づく設置許可がされた場外車券発売施設の設置,運営に伴い著しい業務上の支障が生ずるおそれがあると位置的に認められる区域に文教施設又は医療施設を開設する者は,自転車競技法施行規則(平成18年経済産業省令第126号による改正前のもの)15条1項1号所定のいわゆる位置基準を根拠として上記許可の取消訴訟の原告適格を有する。 3 自転車競技法(平成19年法律第82号による改正前のもの)4条2項に基づく設置許可がされた場外車券発売施設の周辺において文教施設又は医療施設を開設する者が,自転車競技法施行規則(平成18年経済産業省令第126号による改正前のもの)15条1項1号所定のいわゆる位置基準を根拠として上記許可の取消訴訟の原告適格を有するか否かについては,当該場外車券発売施設が設置,運営された場合にその規模,周辺の交通等の地理的状況等から合理的に予測される来場者の流れや滞留の状況等を考慮して,著しい業務上の支障が生ずるおそれがあると位置的に認められる区域に当該文教施設又は医療施設が所在しているか否かを,当該場外車券発売施設と当該医療施設等との距離や位置関係を中心として社会通念に照らし合理的に判断すべきである。 4 自転車競技法(平成19年法律第82号による改正前のもの)4条2項に基づく設置許可がされた場外車券発売施設の周辺において居住し又は事業を営む者は,自転車競技法施行規則(平成18年経済産業省令第126号による改正前のもの)15条1項4号所定のいわゆる周辺環境調和基準を根拠として上記許可の取消訴訟の原告適格を有するということはできない。
1 自転車競技法(平成19年法律第82号による改正前のもの)4条2項に基づく設置許可がされた場外車券発売施設の周辺に居住する者等は,いわゆる位置基準を根拠として上記許可の取消訴訟の原告適格を有するか 2 自転車競技法(平成19年法律第82号による改正前のもの)4条2項に基づく設置許可がされた場外車券発売施設の周辺において文教施設又は医療施設を開設する者は,いわゆる位置基準を根拠として上記許可の取消訴訟の原告適格を有するか 3 自転車競技法(平成19年法律第82号による改正前のもの)4条2項に基づく設置許可がされた場外車券発売施設の周辺において文教施設又は医療施設を開設する者が,いわゆる位置基準を根拠として上記許可の取消訴訟の原告適格を有するか否かの判断基準 4 自転車競技法(平成19年法律第82号による改正前のもの)4条2項に基づく設置許可がされた場外車券発売施設の周辺に居住する者等は,いわゆる周辺環境調和基準を根拠として上記許可の取消訴訟の原告適格を有するか
(1〜4につき)行政事件訴訟法9条,自転車競技法(平成19年法律第82号による改正前のもの)4条1項・2項,自転車競技法施行規則(平成18年経済産業省令第126号による改正前のもの)14条1項・2項 (1〜3につき)自転車競技法施行規則(平成18年経済産業省令第126号による改正前のもの)15条1項1号 (4につき)自転車競技法施行規則(平成18年経済産業省令第126号による改正前のもの)15条1項4号
判旨
場外車券発売施設の設置許可取消訴訟において、周辺住民等は原則として原告適格を有しないが、施設周辺で医療施設等を開設する者は、設置運営により保健衛生上の著しい支障が生じるおそれのある区域内に所在する場合に限り、原告適格を有する。
事件番号: 平成10(行ツ)10 / 裁判年月日: 平成12年3月17日 / 結論: 棄却
知事が墓地、埋葬等に関する法律一〇条一項に基づき大阪府墓地等の経営の許可等に関する条例(昭和六〇年大阪府条例第三号)七条一号の基準に従ってした墓地の経営許可の取消訴訟につき、墓地から三〇〇メートルに満たない地域に敷地がある住宅等に居住する者は、原告適格を有しない。
問題の所在(論点)
自転車競技法に基づく場外車券発売施設の設置許可に関し、周辺住民および周辺の医療施設開設者に、行政事件訴訟法9条1項の「法律上の利益」が認められるか。
規範
行政事件訴訟法9条1項の「法律上の利益を有する者」とは、処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。処分の相手方以外の者の原告適格は、根拠法令の文言のみならず、法令の趣旨・目的、処分において考慮されるべき利益の内容・性質を考慮し、関係法令の趣旨、利益が害される態様・程度をも勘案して判断する。生活環境上の利益は原則として一般的公益に属するが、法令が特定の個人の個別的利益としても保護する趣旨を含むと解される場合には、その個別的利益を侵害される者は原告適格を有する。
重要事実
経済産業大臣が場外車券発売施設「サテライト大阪」の設置許可(本件許可)を出した。周辺住民および周辺で病院・診療所を開設する医師らが、本件許可の取消しを求めて提訴した。根拠法令である自転車競技法施行規則15条1項1号(位置基準)は医療施設等から「相当の距離を有し、保健衛生上著しい支障を来すおそれがないこと」を、同項4号(周辺環境調和基準)は「周辺環境と調和したものであること」を定めていた。医師らは施設から約120m〜800mの距離に位置していた。
あてはめ
周辺環境調和基準(4号)は良好な風俗環境の保護等の公益的見地に立脚しており、周辺住民の個別的利益を保護する趣旨は読み取れない。一方、位置基準(1号)は、一般的公益に加え、医療施設の開設者が「健全で静穏な環境の下で円滑に業務を行うことのできる利益」を個別的利益として保護する趣旨を含む。したがって、施設の設置運営に伴い、著しい業務上の支障が生じるおそれがあると位置的に認められる区域(距離や来場者の流れ等から合理的に判断される範囲)に医療施設を開設する者は原告適格を有する。本件では、施設から約120m〜200mに位置する医師らはその可能性があるが、約800m離れた医師や、単なる周辺住民等は、当該区域内に所在するとは認められない。
結論
約120m〜200mの距離にある医療施設開設者は、著しい業務上の支障が生じる区域内か否かの更なる審理を要するため差し戻す。その他の住民および約800m離れた開設者の原告適格は否定される。
実務上の射程
小田急高架訴訟判決等の枠組みを場外車券場に適用した重要判例。居住者一般には否定的な一方、医療施設等の開設者には、施設の性質に応じた「業務上の支障」を媒介として個別的利益を認めた点が特徴である。答案上は、距離のみならず来場者の動線等の具体的事実に基づき、保護範囲の「区域」に含まれるかを論じる必要がある。
事件番号: 平成17(行ヒ)390 / 裁判年月日: 平成19年10月19日 / 結論: 棄却
医療法(平成18年法律第84号による改正前のもの)7条に基づく病院の開設許可の取消訴訟につき,同病院の開設地の市又はその付近において医療施設を開設し医療行為をする医療法人,社会福祉法人及び医師並びに同市内の医師等の構成する医師会は,原告適格を有しない。
事件番号: 平成8(行ツ)76 / 裁判年月日: 平成11年11月25日 / 結論: 棄却
都市計画事業の事業地の周辺地域に居住し又は通勤、通学しているが事業地内の不動産につき権利を有しない者は、都市計画法五九条二項に基づく同事業の認可処分又は同条三項に基づく同事業の承認処分の取消しを求める原告適格を有しない。
事件番号: 平成8(行ツ)271 / 裁判年月日: 平成10年12月17日 / 結論: 棄却
風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律施行令六条一号イの定める基準に従って規定された都道府県の条例所定の風俗営業制限地域に居住する者は、同地域内における風俗営業許可処分の取消しを求める原告適格を有しない。