都市計画事業の事業地の周辺地域に居住し又は通勤、通学しているが事業地内の不動産につき権利を有しない者は、都市計画法五九条二項に基づく同事業の認可処分又は同条三項に基づく同事業の承認処分の取消しを求める原告適格を有しない。
都市計画事業認可処分等の取消訴訟と事業地周辺地域の居住者等の原告適格
行政事件訴訟法9条,都市計画法59条2項,都市計画法59条3項,都市計画法61条
判旨
都市計画事業の認可・承認の取消訴訟において、事業地内の不動産権利者は原告適格を有するが、周辺住民等は、都市計画法が個別的利益を保護する趣旨を含まないため原告適格を有しない。
問題の所在(論点)
都市計画事業の認可・承認処分の取消訴訟において、①事業地内の不動産権利者、および②周辺住民等(居住者・通勤通学者)に、行政事件訴訟法9条の原告適格が認められるか。
規範
行政事件訴訟法9条にいう「法律上の利益を有する者」とは、処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。当該利益が「法律上保護された利益」に当たるかは、行政法規が不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むか否かにより判断する。
重要事実
東京都知事が環状六号線の道路拡幅事業の認可処分(都市計画法59条2項)および中央環状新宿線建設事業の承認処分(同条3項)を行った。これに対し、事業地内の不動産につき権利を有する者、および事業地の周辺地域に居住し若しくは通勤・通学する者が、本件各処分の取消しを求めて提訴した。
事件番号: 平成15(行ヒ)321 / 裁判年月日: 平成18年9月4日 / 結論: 破棄差戻
建設大臣が,林業試験場の跡地を利用して設置される公園に関する都市計画を決定するに当たって,上記試験場には貴重な樹木が多くその保全のためには上記試験場の南門の位置に上記公園の南門を設けるのが望ましいという前提の下に,南門と区道との接続部分として利用するため,上記試験場と区道とに挟まれた土地のうち,国家公務員宿舎の敷地とし…
あてはめ
1.事業地内の権利者について:法62条、65条、67条、69条等により、認可等の告示後は土地の形質変更等の制限、施行者による優先買取権、収用手続への移行が認められる。これらの規定は権利者の個別的利益を保護する趣旨と解され、原告適格が認められる。 2.周辺住民等について:法1条、2条、13条、61条等は、都市の健全な発展等の公益的見地から規制を定めるものであり、周辺住民の個別的利益を保護する趣旨は含まない。法13条1項の公害防止計画への適合義務や、法16条・17条の住民意見反映手続も、専ら公益的観点や実効性確保の目的によるものであり、個別的利益の保護を目的とするものではない。
結論
事業地内の不動産につき権利を有する上告人らは原告適格を有するが、事業地周辺に居住し又は通勤・通学するにとどまる上告人らは原告適格を有しない。
実務上の射程
本判決は「法律上保護された利益」の解釈につき、いわゆる「新原告適格論(個別的利益保護説)」の枠組みを維持しつつ、都市計画法の各規定の趣旨から周辺住民を否定した。現在は、行訴法9条2項の制定(平成16年改正)により、考慮要素が明文化されているため、本判決の規範をベースにしつつも、改正後の考慮要素(処分等の趣旨・目的、利害の態様等)に即した個別具体的な検討が必要となる。
事件番号: 平成16(行ヒ)114 / 裁判年月日: 平成17年12月7日 / 結論: その他
1 都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち同事業が実施されることにより騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,都市計画法(平成11年法律第160号による改正前のもの)59条2項に基づいてされた同事業の認可の取消訴訟の原告適格を有する。 2 鉄道の連続立体交差化を内容と…
事件番号: 昭和55(行ツ)99 / 裁判年月日: 昭和59年2月16日 / 結論: 棄却
土地収用法三四条の三の規定に基づく手続開始の告示は、抗告訴訟の対象とならない。
事件番号: 平成16(行ヒ)114 / 裁判年月日: 平成18年11月2日 / 結論: 棄却
都知事が都市高速鉄道に係る都市計画の変更を行うに際し鉄道の構造として高架式を採用した場合において,(1)都知事が,建設省の定めた連続立体交差事業調査要綱に基づく調査の結果を踏まえ,上記鉄道の構造について,高架式,高架式と地下式の併用,地下式の三つの方式を想定して事業費等の比較検討をした結果,高架式が優れていると評価し,…
事件番号: 平成8(行ツ)180 / 裁判年月日: 平成13年3月13日 / 結論: その他
土砂の流出又は崩壊,水害等の災害により生命,身体等に直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住する者は,森林法(平成11年法律第87号による改正前のもの)10条の2による開発許可の取消訴訟の原告適格を有する。