建設大臣が,林業試験場の跡地を利用して設置される公園に関する都市計画を決定するに当たって,上記試験場には貴重な樹木が多くその保全のためには上記試験場の南門の位置に上記公園の南門を設けるのが望ましいという前提の下に,南門と区道との接続部分として利用するため,上記試験場と区道とに挟まれた土地のうち,国家公務員宿舎の敷地として利用されている国有地ではなく,これに隣接する民有地を上記公園の区域に定めたことについて,南門の位置を変更し上記民有地ではなく上記国有地を上記公園の用地として利用することにより上記試験場の樹木に悪影響が生ずるか,悪影響が生ずるとしてこれを樹木の植え替えなどによって回避するのは困難であるかなど,建設大臣の判断が合理性を欠くものであるかどうかを判断するに足りる具体的な事実を確定することなく,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものということはできないとした原審の判断には,違法がある。 (補足意見がある。)
建設大臣が林業試験場の跡地を利用して設置される公園に関する都市計画を決定するに当たって上記試験場の樹木の保全のためには上記試験場の南門の位置に上記公園の南門を設けるのが望ましいという前提の下に南門と区道との接続部分として利用するため国有地ではなくこれに隣接する民有地を上記公園の区域に定めたことについて裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものということはできないとした原審の判断に違法があるとされた事例
旧都市計画法(昭和43年法律第100号による廃止前のもの)3条,都市計画法18条1項
判旨
都市計画における都市施設の区域決定は、土地利用の現状や将来の見通しを勘案した合理的なものでなければならず、民有地に代えて公有地を利用できるか否かもその合理性を判断する一つの考慮要素となる。代替可能な公有地があるにもかかわらず民有地を選択した判断が合理性を欠く場合には、社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものとして、裁量権の範囲の逸脱または濫用となる。
問題の所在(論点)
都市計画法に基づく都市施設の区域決定(都市計画決定)において、民有地の代わりに利用可能な公有地が存在することが、行政庁の裁量権の逸脱・濫用の判断にどのような影響を及ぼすか。
規範
都市施設の区域は、当該施設が適切な規模で必要な位置に配置されるよう合理性をもって定められるべきである。民有地を利用することができるのは公有地を利用することによって行政目的を達成することができない場合に限られるわけではないが、民有地に代えて公有地を利用できるか否かは、上記合理性を判断する上での一つの考慮要素となる。よって、都市計画決定が、重要事実の基礎を欠くか、または社会通念に照らし著しく妥当性を欠く場合には、裁量権の範囲を逸脱・濫用したものとして違法となる。
事件番号: 平成16(行ヒ)114 / 裁判年月日: 平成18年11月2日 / 結論: 棄却
都知事が都市高速鉄道に係る都市計画の変更を行うに際し鉄道の構造として高架式を採用した場合において,(1)都知事が,建設省の定めた連続立体交差事業調査要綱に基づく調査の結果を踏まえ,上記鉄道の構造について,高架式,高架式と地下式の併用,地下式の三つの方式を想定して事業費等の比較検討をした結果,高架式が優れていると評価し,…
重要事実
建設大臣は昭和32年、林業試験場跡地を公園とする都市計画決定を行い、公園南門と区道との接続のため上告人所有の民有地を区域に含めた。当時、当該民有地には建物が存在したが、隣接する国有地(宿舎として利用)も同様に区道に挟まれた位置にあった。建設大臣は、貴重な樹木の保全のために既存の南門位置を維持し、かつ最短距離で接道させる必要があるとして民有地を選定したが、国有地を代替利用した場合の樹木への具体的影響については十分に明らかにされていなかった。その後、本件都市計画決定を前提とする事業認可がなされたため、上告人がその取消しを求めて提訴した。
あてはめ
原審は、樹木の保全のために南門位置を固定すべきとの前提で民有地利用に合理性があるとした。しかし、南門の位置を変更して隣接する国有地(公有地)を代替利用した場合に、樹木へどの程度の悪影響が生じるのか、あるいは植え替え等で回避可能かといった具体的・客観的事実が確定されていない。これらの事実関係を精査せずに、公有地ではなく民有地を区域に含めた判断が合理的であると断定することはできない。仮に樹木保全のための南門維持という判断に合理性が認められないのであれば、公有地の存在を考慮しなかった判断は社会通念上著しく妥当性を欠く可能性がある。
結論
民有地ではなく公有地を利用することによる行政目的達成の可否等、合理性を判断するに足りる具体的事実を審理せずに裁量権の逸脱・濫用を否定した原審には法令違反がある。本件を差し戻す。
実務上の射程
都市計画決定の広範な裁量を認めつつも、「代替可能な公有地の存否」を考慮要素として明示した点に実務上の意義がある。答案では、行政庁の判断過程において、私権制限を最小限に抑えるべきという観点から、近隣の公有地利用という代替案が検討されたか(考慮不尽の有無)を論じる際の有力な根拠となる。ただし、補足意見にある通り、公有地があるからといって直ちに民有地利用が否定されるわけではなく、あくまで「合理性の一要素」として扱う点に注意を要する。
事件番号: 平成8(行ツ)76 / 裁判年月日: 平成11年11月25日 / 結論: 棄却
都市計画事業の事業地の周辺地域に居住し又は通勤、通学しているが事業地内の不動産につき権利を有しない者は、都市計画法五九条二項に基づく同事業の認可処分又は同条三項に基づく同事業の承認処分の取消しを求める原告適格を有しない。
事件番号: 昭和59(行ツ)318 / 裁判年月日: 昭和61年2月13日 / 結論: その他
市町村営土地改良事業の施行の認可は、取消訴訟の対象となる行政処分に当たる。
事件番号: 昭和32(オ)920 / 裁判年月日: 昭和35年2月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地区画整理事業において、仮換地の指定変更を行うことは、使用収益関係の特定や事業の円滑な進行という公益上の必要性に基づくものであれば、私益の制限が受忍限度を超えない限り行政権の濫用には当たらない。同一人に対する仮換地を必ずしも一箇所にまとめる必要はなく、変更前後で実質的な不利益に差がない場合は適法…
事件番号: 昭和46(行ツ)63 / 裁判年月日: 昭和50年11月28日 / 結論: 棄却
住宅地区改良事業の事業計画の認可は、抗告訴訟の対象となる行政庁の処分にあたらない。