1 産業廃棄物の最終処分場の周辺に居住する住民のうち,当該最終処分場から有害な物質が排出された場合にこれに起因する大気や土壌の汚染,水質の汚濁,悪臭等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,当該最終処分場を事業の用に供する施設としてされた産業廃棄物処分業及び特別管理産業廃棄物処分業の許可処分及び許可更新処分の取消訴訟及び無効確認訴訟につき,これらの取消し及び無効確認を求める法律上の利益を有する者として原告適格を有する。 2 産業廃棄物の最終処分場の周辺に居住する住民は,約3万㎡の埋立地を有する管理型最終処分場である当該最終処分場の中心地点から約1.8kmの範囲内の地域に居住する者であって,当該最終処分場の設置の許可に際して生活環境に及ぼす影響についての調査の対象とされた地域にその居住地が含まれているなどの判示の事情の下では,当該最終処分場を事業の用に供する施設としてされた産業廃棄物処分業及び特別管理産業廃棄物処分業の許可処分の無効確認訴訟並びに上記各処分業の許可更新処分の取消訴訟につき,これらの無効確認及び取消しを求める法律上の利益を有する者として原告適格を有する。
1 産業廃棄物処分業及び特別管理産業廃棄物処分業の許可処分及び許可更新処分の取消訴訟及び無効確認訴訟と産業廃棄物の最終処分場の周辺住民の原告適格 2 産業廃棄物の最終処分場の周辺住民が産業廃棄物処分業及び特別管理産業廃棄物処分業の許可処分の無効確認訴訟並びに上記各処分業の許可更新処分の取消訴訟の原告適格を有するとされた事例
(1,2につき)行政事件訴訟法9条,行政事件訴訟法36条,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)14条6項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)14条7項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)14条の4第6項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)14条の4第7項 (1につき)廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)14条10項1号,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)14条11項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)14条の4第10項1号,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)14条の4第11項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)15条3項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)15条4項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)15条5項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)15条6項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)15条の2第1項1号,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)15条の2第1項2号,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成22年法律第34号による改正前のもの)15条の2第3項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(平成23年環境省令第1号による改正前のもの)10条の5第2号イ(1),廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(平成23年環境省令第1号による改正前のもの)10条の17第2号イ(1),廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(平成23年環境省令第1号による改正前のもの)11条の2
判旨
産業廃棄物処分業の許可処分等について、処分場の周辺住民は、有害物質の排出による健康や生活環境への著しい被害を直接受けるおそれがある範囲に居住していれば、原告適格を有する。その判断にあたっては、処分場の種類・規模や距離関係を主とし、環境影響調査報告書の調査対象地域に含まれているか等を考慮すべきである。
事件番号: 平成1(行ツ)131 / 裁判年月日: 平成4年9月22日 / 結論: 棄却
一 行政事件訴訟法三六条にいう「その効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない」とは、当該処分に基づいて生ずる法律関係に関し、処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟によっては、その処分のため被っている不利益を排除することができない場合はもとより、当該処分に起因する紛争を解決…
問題の所在(論点)
産業廃棄物処分業の許可・更新処分において、処分場の周辺住民は、行政事件訴訟法9条1項(及び36条、37条の2第3項)にいう「法律上の利益を有する者」として原告適格を有するか。また、その具体的判断基準はいかなるものか。
規範
行政事件訴訟法9条1項・2項に基づき、法律上の利益の有無は関係法令の趣旨・目的、利益の性質・内容を勘案して判断する。廃棄物処理法は、公衆衛生の向上という公益のみならず、処分場周辺住民が有害物質の排出により健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けないという具体的利益を個別的利益としても保護する趣旨を含む。したがって、当該被害を直接受けるおそれのある者は原告適格を有する。その範囲は、施設の規模、種類、距離関係を社会通念に照らし合理的に判断すべきであり、環境影響調査報告書の調査対象地域に含まれるか等が重要な判断要素となる。
重要事実
参加人は、宮崎県知事から管理型最終処分場の設置許可を受け、産業廃棄物等処分業の許可(本件各許可処分)及び更新許可(本件各更新処分)を受けた。上告人らのうち、処分場から約1.8km圏内に居住し、環境影響調査報告書の調査対象地域内に居住地がある住民ら(X1を除く上告人ら)と、約20km離れた地域に居住するX1が、本件各処分の無効確認、取消義務付け、取消しを求めて提訴した。
あてはめ
廃棄物処理法および関係省令は、最終処分場について技術上の基準適合性や周辺環境への配慮を求めており、これらは周辺住民の健康・生活環境の保護を目的としている。本件処分場は面積約25万㎡の管理型処分場であり、埋立対象には廃石綿等も含まれる。約1.8km圏内に居住する住民らは、環境影響調査報告書において生活環境に影響が及ぶおそれがあるとして調査対象に選定された地域内に居住しており、有害物質排出時に著しい被害を直接受けるおそれがある者に当たる。他方、20km以上離れたX1については、距離関係からみてそのような被害を受けるおそれがあるとは認められない。
結論
約1.8km圏内の住民らについては原告適格が認められるため、これらを却下した原審の判断は違法であり、差し戻しを免れない。一方、約20km離れたX1については原告適格が認められず、上告棄却となる。
実務上の射程
処分業許可(業許可)であっても、施設設置許可と同様の枠組みで周辺住民の原告適格を広く認めた点に意義がある。答案では、行訴法9条2項の考慮要素を記述した上で、本判例を引用し「被害を受けるおそれのある地域」の判定基準として、距離、施設の態様、環境影響調査の対象範囲等を具体的にあてはめるべきである。
事件番号: 平成23(行ヒ)332 / 裁判年月日: 平成26年1月28日 / 結論: その他
市町村長から一定の区域につき既に一般廃棄物収集運搬業又は一般廃棄物処分業の許可又はその更新を受けている者は,当該区域を対象として他の者に対してされた一般廃棄物収集運搬業又は一般廃棄物処分業の許可処分又は許可更新処分について,その取消訴訟の原告適格を有する。
事件番号: 平成1(行ツ)130 / 裁判年月日: 平成4年9月22日 / 結論: 破棄自判
一 設置許可申請に係る原子炉の周辺に居住し、原子炉事故等がもたらす災害により生命、身体等に直接的かつ重大な被害を受けることが想定される範囲の住民は、原子炉設置許可処分の無効確認を求めるにつき、行政事件訴訟法三六条にいう「法律上の利益を有する者」に該当する。 二 設置許可申請に係る電気出力二八万キロワットの原子炉(高速増…
事件番号: 平成9(行ツ)7 / 裁判年月日: 平成14年1月22日 / 結論: その他
建築基準法(平成4年法律第82号による改正前のもの)59条の2第1項に基づくいわゆる総合設計許可に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し又はこれを所有する者は,同許可の取消訴訟の原告適格を有する。
事件番号: 令和4(行ヒ)150 / 裁判年月日: 令和5年5月9日 / 結論: 棄却
墓地、埋葬等に関する法律10条の規定により大阪市長がした納骨堂の経営又はその施設の変更に係る許可について、当該納骨堂の所在地からおおむね300m以内の場所に敷地がある人家に居住する者は、その取消しを求める原告適格を有する。(補足意見及び意見がある。)