建築基準法(平成4年法律第82号による改正前のもの)59条の2第1項に基づくいわゆる総合設計許可に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し又はこれを所有する者は,同許可の取消訴訟の原告適格を有する。
建築基準法(平成4年法律第82号による改正前のもの)59条の2第1項に基づくいわゆる総合設計許可の取消訴訟と同許可に係る建築物の周辺地域に存する建築物に居住し又はこれを所有する者の原告適格
行政事件訴訟法9条,建築基準法(平成4年法律第82号による改正前のもの)59条の2第1項
判旨
建築基準法59条の2第1項に基づく総合設計許可の取消訴訟において、当該建築物の倒壊や炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住し、又は建築物を所有する者は、原告適格を有する。
問題の所在(論点)
建築基準法59条の2第1項に基づく総合設計許可及び都市計画法に基づく高度地区制限の適用除外許可の取消しを求めるにつき、建築物の倒壊等による直接被害が想定される周辺住民は、行政事件訴訟法9条1項の「法律上の利益を有する者」に当たるか。
規範
行政事件訴訟法9条1項にいう「法律上の利益を有する者」とは、処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。当該利益が、不特定多数者の具体的利益を一般的公益の中に解消させず、個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むか否かは、関係法令の趣旨・目的、被侵害利益の内容・性質等を考慮して判断する。建築基準法59条の2第1項(総合設計許可)及び高度地区の制限は、市街地環境の整備改善のみならず、倒壊・炎上等による被害が直接及ぶことが想定される周辺住民の生命・身体の安全や財産を、個別的利益としても保護する趣旨を含む。
重要事実
事件番号: 平成9(行ツ)159 / 裁判年月日: 平成14年3月28日 / 結論: その他
1 建築基準法(平成4年法律第82号による改正前のもの)59条の2第1項に基づくいわゆる総合設計許可に係る建築物により日照を阻害される周辺の他の建築物に居住する者は,同許可の取消訴訟の原告適格を有する。 2 建築基準法施行令(平成5年政令第170号による改正前のもの)131条の2第2項に基づく認定処分がされた建築物につ…
D生命保険は、東京都内の敷地に地上22階建てのビル等を建設する計画を立て、建築基準法上の容積率制限や隣地斜線制限等を緩和する「総合設計許可」及び「都市計画法上の高度地区制限の適用除外許可」を東京都知事から受け、建築主事から建築確認を受けた。周辺住民である原告らは、これらの処分が違法であるとして取消しを求めた。原告らのうち一部は、当該ビルの南側に位置し、日影の影響は受けないものの、ビルから13.5mないし127.5mの至近距離に居住・所有していた。
あてはめ
建築基準法52条等の容積率・高さ制限は、日照等の確保に加え、火災等による延焼防止も目的とする。同法59条の2第1項が特定行政庁の許可によりこれらを緩和するのは、安全・防火等の審査を経ることで周辺住民の安全を確保しつつ大規模建築を可能にするためである。同法1条の目的も併せれば、同項は、建築物の倒壊・炎上等により直接的被害を受けることが想定される周辺住民の生命・身体・財産を個別的利益として保護している。本件原告らは、本件建築物が倒壊すれば直接損傷を受ける蓋然性がある範囲内に居住・所有しているため、日影の影響の有無にかかわらず原告適格を有する。
結論
総合設計許可等の取消しを求める原告適格を認める。ただし、建築確認については、工事が完了した以上、取消しを求める訴えの利益は失われる。
実務上の射程
処分が根拠とする要件(安全・防火等)と、それによって保護される個別の法益(生命・身体・財産)をリンクさせて原告適格を広く認めた重要判例。日照被害等の環境的利益が生じない住民であっても、物理的な危険(倒壊・延焼等)が及ぶ範囲にいれば原告適格が認められる点に実務上の意義がある。答案では行訴法9条2項の考慮要素に沿って、根拠規定の趣旨を「生命・身体の安全」に引き寄せて論述する際に用いる。
事件番号: 昭和58(行ツ)12 / 裁判年月日: 昭和60年11月14日 / 結論: 棄却
(省略)
事件番号: 昭和58(行ツ)35 / 裁判年月日: 昭和59年10月26日 / 結論: 棄却
建築基準法六条一項による確認を受けた建築物の建築等の工事が完了したときは、右確認の取消を求める訴えの利益は失われる。
事件番号: 平成24(行ヒ)267 / 裁判年月日: 平成26年7月29日 / 結論: その他
1 産業廃棄物の最終処分場の周辺に居住する住民のうち,当該最終処分場から有害な物質が排出された場合にこれに起因する大気や土壌の汚染,水質の汚濁,悪臭等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,当該最終処分場を事業の用に供する施設としてされた産業廃棄物処分業及び特別管理産業廃棄物処分業の許可…