1 建築基準法(平成4年法律第82号による改正前のもの)59条の2第1項に基づくいわゆる総合設計許可に係る建築物により日照を阻害される周辺の他の建築物に居住する者は,同許可の取消訴訟の原告適格を有する。 2 建築基準法施行令(平成5年政令第170号による改正前のもの)131条の2第2項に基づく認定処分がされた建築物につき同項によりその前面道路とみなされる都市計画道路が完成して供用が開始された場合には,上記処分の取消しを求める訴えの利益は失われる。
1 建築基準法(平成4年法律第82号による改正前のもの)59条の2第1項に基づくいわゆる総合設計許可の取消訴訟と同許可に係る建築物の周辺地域に存する建築物に居住する者の原告適格 2 都市計画道路が完成し供用が開始された場合における建築基準法施行令(平成5年政令第170号による改正前のもの)131条の2第2項に基づく認定処分の取消しを求める訴えの利益の消長
行政事件訴訟法9条,建築基準法(平成4年法律第82号による改正前のもの)59条の2第1項,建築基準法施行令(平成5年政令第170号による改正前のもの)131条の2第2項,建築基準法施行令(平成5年政令第170号による改正前のもの)135条の3第1項3号
判旨
建築基準法59条の2第1項に基づく総合設計許可により日照を阻害される周辺建築物の居住者は、当該許可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する。また、将来の道路を前面道路とみなす認定処分は、当該道路が完成し供用開始されれば、その取消しを求める訴えの利益を失う。
問題の所在(論点)
1. 建築基準法59条の2第1項に基づく総合設計許可により日照を阻害される周辺住民に、当該許可の取消訴訟の原告適格が認められるか。 2. 前面道路とみなす認定処分の取消訴訟において、当該道路の供用が開始された場合、訴えの利益は失われるか。
規範
行政事件訴訟法9条1項の「法律上の利益を有する者」とは、処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。当該行政法規が、不特定多数者の具体的利益を一般的公益の中に解消させず、個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むか否かは、法規の趣旨・目的、保護しようとしている利益の内容・性質を考慮して判断すべきである。建築基準法59条の2第1項(総合設計許可)は、周辺環境の整備改善のみならず、建築物により日照を阻害される周辺の他の建築物に居住する者の健康を個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含む。一方、訴えの利益については、処分の効力が消滅したり、原状回復が不可能になった場合には失われる。
事件番号: 平成9(行ツ)7 / 裁判年月日: 平成14年1月22日 / 結論: その他
建築基準法(平成4年法律第82号による改正前のもの)59条の2第1項に基づくいわゆる総合設計許可に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し又はこれを所有する者は,同許可の取消訴訟の原告適格を有する。
重要事実
公団が商業地域内の土地に地上25階建ての共同住宅を建築する際、容積率制限を緩和する「総合設計許可」と、未完成の都市計画道路を前面道路とみなして隣地斜線制限を緩和する「認定処分」を受けた。近隣住居に住む原告らは、本件建築物により冬至の日に1〜2時間程度の日影が生じる状況にあった。なお、訴訟の係属中に当該都市計画道路は完成し、供用が開始された。
あてはめ
1. 総合設計許可制度の趣旨は、空間確保により周辺建築物の日照、通風、採光等を良好に保ち、居住者の健康等の被害を防止することにある。したがって、本件建築物により現に冬至の日に日影を生じさせられている上告人A1外4名は、同条が保護する個別的利益を侵害されるおそれがある者として原告適格を有する。 2. 認定処分は、道路完成までの間、暫定的に隣地斜線制限を解除するものである。本件都市計画道路が完成し供用が開始された以上、当該認定処分の効力を争う必要性は消滅しており、訴えの利益は失われている。
結論
1. 日照を阻害される周辺住民には、総合設計許可の取消しを求める原告適格が認められる。 2. 認定処分の対象となった道路の供用開始により、当該処分の取消しを求める訴えの利益は失われる。
実務上の射程
総合設計許可の原告適格を広めに認めた重要判例である。答案では、行訴法9条2項の考慮要素に基づき、基準法1条の目的や59条の2の構造から「個別的利益」を導き出す際の論拠として用いる。また、事情判決や訴えの利益の消滅(時の経過・状況の変化)に関する議論の具体例としても有用である。
事件番号: 昭和58(行ツ)12 / 裁判年月日: 昭和60年11月14日 / 結論: 棄却
(省略)
事件番号: 昭和29(オ)542 / 裁判年月日: 昭和33年4月9日 / 結論: 棄却
駅前広場に指定された土地の上に都市計画法施行令(昭和三〇年三月政令第四七号による改正前)第一一条の二によつてした建築許可に、知事が移転を命じた場合には三ケ月以内に建物を撤去すること、損失については補償を要求しないこと、建築物は一切担保に供しないこと等の条件を附しても、右条件が都市計画事業の実施上やむを得ないものと認めら…
事件番号: 平成2(行ツ)147 / 裁判年月日: 平成4年10月29日 / 結論: 棄却
原子炉設置の許可の段階の安全審査においては、当該原子炉施設の基本設計の安全生にかかわる事項のみをその対象とするものと解すべきである。