駅前広場に指定された土地の上に都市計画法施行令(昭和三〇年三月政令第四七号による改正前)第一一条の二によつてした建築許可に、知事が移転を命じた場合には三ケ月以内に建物を撤去すること、損失については補償を要求しないこと、建築物は一切担保に供しないこと等の条件を附しても、右条件が都市計画事業の実施上やむを得ないものと認められ、かつ、申請者があらかじめ右条件を承諾していた場合は、右条件が憲法第二九条に反するとはいえない。
都市計画法施行令(昭和三〇年三月政令第四七号による改正前)第一一条ノ二による建築許可に附した無補償撤去等の条件の憲法第二九条適否
都市計画法11条ノ2(昭和29年5月法律120号による改正前),都市計画法施行令(昭和30年3月政令47号による改正前)11条ノ2,都市計画法施行令(昭和30年3月政令47号による改正前)12条
判旨
都市計画上の必要性に基づき、建築許可に「将来の事業施行時の無償撤去」等の条件を付すことは、公共の福祉による財産権の合理的な制限として、憲法29条に違反しない。特に出願者が自ら条件を承諾して許可を得たような事情がある場合、当該制限は必要かつやむを得ないものと認められる。
問題の所在(論点)
都市計画の実施を確実にするため、将来の建物無償撤去等を条件とした建築許可の附款を付すことが、憲法29条の財産権保障に違反するか。また、その条件が「都市計画上必要」な制限といえるか。
規範
都市計画法に基づく建築制限は、財産権に対する制限となるが、交通・衛生・経済等の永久的維持や公共の安寧・福利増進を目的とする重要施設の計画(都市計画法1条)の達成に資するものである。したがって、当該制限が都市計画上必要な範囲内である限り、憲法29条が許容する公共の福祉のための制限として合憲である。行政庁が建築許可に付す附款についても、都市計画上の必要性があれば、その履行を命ずる等の制限を課すことが認められる。
重要事実
上告人らは、国鉄荻窪駅前広場に指定されていた土地において、建築許可を申請した。東京都側は、広場設定事業の施行が一時延期されていたものの、予算が取れ次第実施される予定であったため、事業の支障とならないよう建築不許可の意向を示した。これに対し、上告人らは「事業施行時には異議なく建物を撤去する」「補償を一切要求しない」等の条件を承諾し、建築許可を懇請した。都知事は、これらの条項を許可条件(附款)として付して許可を与えたが、後に上告人らが当該条件は憲法29条に違反する財産権の不当な侵害であると主張して争った。
あてはめ
本件土地は、既に都市計画により駅前広場として指定され、予算成立とともに収用・使用されることが確実な状況にあった。このような土地に新たな建築を許容すれば事業実施に支障を来すことは明らかであり、原則として不許可にすべき性質のものである。しかし、行政庁は上告人らからの強い懇請を受け、将来の無償撤去等の条件を前提として例外的に建築を認めた。上告人らも自ら当該条件を承諾し、念書等を差し入れて許可を得ている。以上の事実関係に照らせば、本件の無償撤去条項は、都市計画事業の円滑な実施という公共の福祉を達成するために必要やむを得ない制限であるといえる。したがって、実質的に財産権を侵害するものとは認められない。
結論
本件建築許可に付された無償撤去・補償放棄等の条件は、都市計画上必要な範囲の制限であり、憲法29条に違反しない。上告棄却。
実務上の射程
本判決は、都市計画上の制約がある土地での暫定的な建築許可において、無償撤去等の附款が許容されるための要件を示している。答案上は、①事業の確実な施行予定があること、②本来は不許可にすべきところを例外的に許可していること、③出願者の同意・懇請があること、といった具体的状況を摘示し、「都市計画上の必要性」と「公共の福祉による制限の合理性」を論じる際の論拠として用いる。
事件番号: 昭和33(オ)243 / 裁判年月日: 昭和35年4月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民法130条に基づき、条件の成就を妨げた相手方に対して条件が成就したものとみなす主張をするためには、同条の規定に基づく権利行使としての明確な意思表示が必要である。 第1 事案の概要:店舗賃貸借契約の合意解約について、特定の事象が発生することを停止条件とする合意がなされた。賃借人である上告人は、賃貸…
事件番号: 昭和35(オ)699 / 裁判年月日: 昭和37年7月6日 / 結論: 棄却
戦災都市における建築物制限に関する法令の施行により普通建物の建築が許されていなかつた当時における借地法第二条の適用を受ける建物所有を目的とする借地契約成立の事実を認定することはさまたげない。
事件番号: 昭和28(オ)402 / 裁判年月日: 昭和29年11月2日 / 結論: 棄却
一 現況が農地であつて、国鉄駅より三〇〇米内外のところにあり、幹線道路に沿つてはいるが、附近の状況は、小規模の工場、住宅が散在しているにすぎず、四囲の環境上、近い将来非農地化が必至と認められる程度に至らないものは、自作農創設特別措置法第五条第五号に当らないとしてこれを買収することは違法ではない。 二 一時賃貸の原因が賃…
事件番号: 昭和42(オ)24 / 裁判年月日: 昭和43年2月27日 / 結論: 棄却
宗教団体法による宗教団体のした同法第一〇条第一項所定の地方長官の認可を得ない不動産長期賃貸借契約は、その後宗教団体法が廃止され、同法に代わつて施行された宗教法人令およびさらにこれに代わる宗教法人法によれば、不動産長期賃貸借契約について地方長官の認可を要しないこととなつても、そのことにより当然に有効となるものではない。