市町村長から一定の区域につき既に一般廃棄物収集運搬業又は一般廃棄物処分業の許可又はその更新を受けている者は,当該区域を対象として他の者に対してされた一般廃棄物収集運搬業又は一般廃棄物処分業の許可処分又は許可更新処分について,その取消訴訟の原告適格を有する。
一般廃棄物収集運搬業又は一般廃棄物処分業の許可処分又は許可更新処分の取消訴訟と当該処分の対象とされた区域につき既にその許可又は許可の更新を受けている者の原告適格
行政事件訴訟法9条,廃棄物の処理及び清掃に関する法律4条1項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律6条,廃棄物の処理及び清掃に関する法律6条の2第1項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律7条1項ないし13項,廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則2条の2,廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則2条の4
判旨
一般廃棄物処理業の許可・更新処分において、既存業者は、濫立による経営悪化で事業の適正な運営が害されることを防止し、地域の衛生環境を保持する基礎となる営業上の利益を個別的利益として保護されるため、他者への許可処分の取消しを求める原告適格を有する。
問題の所在(論点)
一般廃棄物処理業の既存業者は、同一区域内において他者になされた一般廃棄物処理業の許可更新処分の取消しを求めるにつき、行政事件訴訟法9条1項・2項にいう「法律上の利益を有する者」として原告適格を有するか。
規範
行政事件訴訟法9条1項の「法律上の利益を有する者」とは、処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。処分の相手方以外の者の原告適格を判断するに当たっては、根拠法令の文言のみならず、法令の趣旨・目的、処分において考慮されるべき利益の内容・性質を考慮すべきである。特に、当該法令が不特定多数者の具体的利益を一般的公益に解消させず、個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むと解される場合には、その利益は「法律上保護された利益」に当たる。
事件番号: 平成14(行ヒ)312 / 裁判年月日: 平成16年1月15日 / 結論: 破棄自判
1 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成15年法律第93号による改正前のもの)7条3項1号にいう「当該市町村による一般廃棄物の収集又は運搬」とは,当該市町村が自ら又は委託の方法により行う一般廃棄物の収集又は運搬をいい,一般廃棄物収集運搬業の許可を受けた業者が行う一般廃棄物の収集又は運搬はこれに当たらない。 2 既存の…
重要事実
上告人は、福井県小浜市から一般廃棄物収集運搬業の許可を受け、長年営業してきた既存業者である。小浜市長が、他の業者(B及び補助参加人)に対し、一般廃棄物収集運搬業及び処分業の許可更新処分(本件各更新処分)を行った。上告人は、これら他者への許可更新は違法であるとして、処分の取消しと国家賠償を求めて提訴した。一審・二審は、廃棄物処理法が既存業者の営業上の利益を個別的利益として保護する趣旨ではないとして、原告適格を否定し、損害賠償請求も棄却した。
あてはめ
廃棄物処理法によれば、一般廃棄物処理は市町村の責務であり、公共性が高く業務量に限界があるため、専ら自由競争に委ねられるべき事業ではない。同法は、一般廃棄物処理計画への適合性等の許可要件を通じ、需要供給の調整を図る仕組みを設けている。既存業者が存在する区域で他者に許可を与える際、需給の均衡や既存業者への影響を適切に考慮しないならば、業者の濫立により経営が悪化し、事業の継続的・安定的運営が阻害され、地域の衛生や生活環境に被害を及ぼすおそれがある。したがって、同法は、地域環境保持の基礎となる既存業者の営業上の利益を、個々の業者の個別的利益としても保護する趣旨を含むと解される。
結論
既存業者は、他者への一般廃棄物処理業(収集運搬業)の許可更新処分について、その取消しを求める原告適格を有する。ただし、本件では上告人が訴訟中に廃業したため訴えの利益が失われ、結論として取消請求は却下されるが、国家賠償請求については審理のため差し戻される。
実務上の射程
需給調整規制が存在する公物管理・事業法分野において、既存業者の原告適格を広く認めるリーディングケースである。答案では、原告適格の一般的枠組み(行訴法9条2項)を示した上で、本判例の「事業の公共性」「需給調整の仕組み」「営業利益が環境保持の基礎となること」という論理を援用して個別的利益を肯定する。
事件番号: 平成19(行ヒ)388 / 裁判年月日: 平成21年6月5日 / 結論: 破棄差戻
浄化槽の清掃により引き出される汚泥等の収集運搬に必要な一般廃棄物収集運搬業の許可を有しない者からされた浄化槽清掃業の許可申請につき,浄化槽法(平成16年法律第147号による改正前のもの)36条2号ホ所定の欠格事由に該当することを理由として不許可処分がされた場合において,上記許可申請に係る区域内では浄化槽の清掃と上記汚泥…
事件番号: 平成24(行ヒ)267 / 裁判年月日: 平成26年7月29日 / 結論: その他
1 産業廃棄物の最終処分場の周辺に居住する住民のうち,当該最終処分場から有害な物質が排出された場合にこれに起因する大気や土壌の汚染,水質の汚濁,悪臭等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,当該最終処分場を事業の用に供する施設としてされた産業廃棄物処分業及び特別管理産業廃棄物処分業の許可…
事件番号: 平成4(行ツ)122 / 裁判年月日: 平成5年9月21日 / 結論: 棄却
浄化槽清掃業の許可申請者が、浄化槽の清掃により生ずる汚泥等の収集、運搬につき、これに必要な一般廃棄物処理業の許可を有せず、また、他の一般廃棄物処理業者に業務委託すること等により適切に処理する方法も有していない場合には、右許可申請者は、浄化槽法(平成三年法律第九五号による改正前のもの)三六条二号ホの浄化槽清掃業の業務に関…
事件番号: 昭和33(オ)710 / 裁判年月日: 昭和37年1月19日 / 結論: 破棄差戻
既存の公衆浴場営業者は、第三者に対する公衆浴場営業許可処分の無効確認を求める訴の利益を有しないとはいえない。