浄化槽の清掃により引き出される汚泥等の収集運搬に必要な一般廃棄物収集運搬業の許可を有しない者からされた浄化槽清掃業の許可申請につき,浄化槽法(平成16年法律第147号による改正前のもの)36条2号ホ所定の欠格事由に該当することを理由として不許可処分がされた場合において,上記許可申請に係る区域内では浄化槽の清掃と上記汚泥等の収集運搬を一体として併せて行わせる趣旨の下に他の事業者に対する一般廃棄物収集運搬業等の許可がされていたなど判示の事情の下で,上記申請者から上記汚泥等の収集運搬の要請があった場合には上記事業者はこれに応ずる義務があるとし,両者の間で上記汚泥等の収集運搬につき業務委託契約が締結される見込みがあったのかどうかなどの事実について審理を尽くすことなく,上記申請者は上記汚泥等の収集運搬を上記事業者に業務委託することができる体制にあったとして,上記不許可処分を違法とした原審の判断には,違法がある。
浄化槽の清掃により引き出される汚泥等の収集運搬に必要な一般廃棄物収集運搬業の許可を有しない者に対してされた浄化槽清掃業不許可処分を違法とした原審の判断に違法があるとされた事例
浄化槽法(平成16年法律第147号による改正前のもの)36条2号ホ,浄化槽法35条1項
判旨
廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく一般廃棄物収集運搬業の許可について、特定の区域において既に許可を受けている業者が適正に収集運搬を継続できる体制にあり、新規許可により過当競争や業務の安定性阻害が生じるおそれがある場合には、法7条5項4号(現行)の欠格事由としての不適当な者にあたるとして、許可を拒否することができる。
問題の所在(論点)
一般廃棄物収集運搬業の許可申請に対し、既存業者による処理体制が確立されていることを理由として、新規許可を拒否することが廃棄物処理法の規定に照らし許容されるか。具体的には、市町村による需給調整の裁量の有無が問題となる。
規範
廃棄物処理法に基づく一般廃棄物収集運搬業の許可に際し、当該事業の適正な遂行を確保するため、市町村長は受給のバランスを考慮する合理的な裁量を有する。具体的には、既存の業者による収集運搬体制が整備され、適正な業務遂行がなされている状況下で、新規許可を与えることにより業者間の過当競争を招き、結果として収集運搬業務の継続性・安定性が損なわれ、公衆衛生上の支障が生じるおそれがある場合には、同法に定める「事業を遂行するに足りる能力を有しない」あるいは「適正な遂行を期待できない」等の不適当な事由があるものとして、許可を拒否することが許される。
事件番号: 平成14(行ヒ)312 / 裁判年月日: 平成16年1月15日 / 結論: 破棄自判
1 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成15年法律第93号による改正前のもの)7条3項1号にいう「当該市町村による一般廃棄物の収集又は運搬」とは,当該市町村が自ら又は委託の方法により行う一般廃棄物の収集又は運搬をいい,一般廃棄物収集運搬業の許可を受けた業者が行う一般廃棄物の収集又は運搬はこれに当たらない。 2 既存の…
重要事実
上告人は、一般廃棄物収集運搬業の許可を申請したが、処分庁(市町村長)はこれを拒否した。その理由は、当該区域(八ヶ岳西麓の別荘地等)においては、既に既存の業者が合理化計画に基づき収集運搬体制を確立しており、当該既存業者らによって適正な業務遂行が可能であったこと、また、既存業者の経営基盤を維持し業務の安定性を確保する必要があったことによる。原審は、申請者が能力を有しない等の事情がない限り許可すべきとして処分を取り消したが、これに対し上告がなされた。
あてはめ
本件区域においては、既存の許可業者らが合理化計画に基づき、別荘地の住民等から排出される廃棄物を適正かつ安定的に収集運搬できる体制を既に整えていたといえる。このような状況において、新規に許可を与えることは、限定された市場内での過当競争を誘発し、既存業者の経営の安定を損なうことで、かえって地域全体の廃棄物処理体制を弱体化させる「公衆衛生上の支障を来すおそれ」を生じさせるものと評価できる。したがって、処分庁が既存の処理体制の維持を優先し、新規許可を拒否したことには「相当の理由」があるというべきである。
結論
一般廃棄物収集運搬業の許可における需給調整を理由とした拒否処分は、公衆衛生の維持という法の趣旨に照らし適法であり、原判決の判断には法令の解釈を誤った違法がある。本件を原審に差し戻す。
実務上の射程
行政法における「許可」の性質を検討する際、特に公衆衛生や生活環境の保全が強く求められる分野(廃棄物処理、タクシー等)において、行政庁に広範な需給調整裁量が認められることを示す重要判例である。答案では、法の目的(1条)や許可要件の解釈において、単なる個人的能力だけでなく「事業の継続的・安定的遂行」という公益的観点からの考慮が可能である旨を論述する際に用いる。
事件番号: 平成4(行ツ)122 / 裁判年月日: 平成5年9月21日 / 結論: 棄却
浄化槽清掃業の許可申請者が、浄化槽の清掃により生ずる汚泥等の収集、運搬につき、これに必要な一般廃棄物処理業の許可を有せず、また、他の一般廃棄物処理業者に業務委託すること等により適切に処理する方法も有していない場合には、右許可申請者は、浄化槽法(平成三年法律第九五号による改正前のもの)三六条二号ホの浄化槽清掃業の業務に関…
事件番号: 平成23(行ヒ)332 / 裁判年月日: 平成26年1月28日 / 結論: その他
市町村長から一定の区域につき既に一般廃棄物収集運搬業又は一般廃棄物処分業の許可又はその更新を受けている者は,当該区域を対象として他の者に対してされた一般廃棄物収集運搬業又は一般廃棄物処分業の許可処分又は許可更新処分について,その取消訴訟の原告適格を有する。
事件番号: 昭和43(行ツ)17 / 裁判年月日: 昭和47年10月12日 / 結論: 破棄差戻
清掃法一五条一項によるし尿浄化槽内汚物取扱業についての不許可処分が、その申請者において申請地域外の汚物をも取り扱つているため、他地域の汚物が申請地域の汚物処理場に持ち込まれるおそれがあり、また、申請地域の汚物の処理にはすでに許可を得ている業者だけで十分であるなど判示のような事情を考慮してされたものであるときは、それによ…
事件番号: 昭和56(あ)1320 / 裁判年月日: 昭和57年9月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】廃棄物の処理及び清掃に関する法律における業の許可制等の規定は、憲法22条の職業選択の自由や憲法14条の法の下の平等に反するものではない。 第1 事案の概要:被告人が、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」)に基づき、許可を受けずに廃棄物処理業を行った等として、同法25条1号、26条2号等…