消費税法(平成27年法律第9号による改正前のもの及び同改正後のもの)30条2項1号にいう「課税資産の譲渡等にのみ要する」課税仕入れとは、当該事業者の事業において課税資産の譲渡等にのみ対応する課税仕入れをいい、課税資産の譲渡等のみならずその他の資産の譲渡等にも対応する課税仕入れは、全て同号にいう「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する」課税仕入れに該当する。
消費税法(平成27年法律第9号による改正前のもの及び同改正後のもの)30条2項1号にいう「課税資産の譲渡等にのみ要する」課税仕入れと「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する」課税仕入れとの区別
消費税法30条2項1号、消費税法(平成27年法律第9号による改正前のもの)30条2項1号
判旨
転売目的で購入した建物であっても、購入時に住宅として賃貸されており賃料収入が発生する場合には、当該課税仕入れは課税資産の譲渡等(転売)のみならず、非課税資産の譲渡等(住宅貸付け)にも対応するため、消費税法30条2項1号の「共通対応課税仕入れ」に該当する。
問題の所在(論点)
転売目的(課税売上げ)で購入した建物から転売までの間に住宅賃料(非課税売上げ)が発生している場合、当該建物の購入に係る課税仕入れの用途区分(消費税法30条2項1号)はどう判断されるか。また、納税者の解釈に「正当な理由」(国税通則法65条4項)が認められるか。
規範
消費税法30条2項1号の個別対応方式における「課税資産の譲渡等にのみ要するもの(課税対応)」とは、事業者の事業において課税資産の譲渡等にのみ対応する課税仕入れをいい、課税資産の譲渡等のみならずその他の資産の譲渡等にも対応する課税仕入れは、事業者の意図や事業上の位置付けを問わず、全て「共通して要するもの(共通対応)」に該当すると解するのが、同号の文理および課税の明確性確保という法の趣旨に合致する。
重要事実
事件番号: 令和3(行ヒ)260 / 裁判年月日: 令和5年3月6日 / 結論: 破棄自判
事業者が、平成25年~同27年の各課税期間に係る消費税及び地方消費税の確定申告において、上記各課税期間中に転売目的で行った全部又は一部が住宅として賃貸されている建物の購入を、消費税法(平成27年法律第9号による改正前のもの及び同改正後のもの)30条2項1号にいう「課税資産の譲渡等にのみ要する」課税仕入れに区分して、上記…
不動産売買業を営む上告人は、転売目的で、一部または全部が住宅として賃貸されているマンション合計84棟を購入した(本件各課税仕入れ)。上告人は当該建物を棚卸資産として計上し、転売までの間に発生した家賃を非課税売上げとして収受していた。上告人は、主たる目的が転売であることを理由に、仕入税額の全額を控除できる「課税対応課税仕入れ」として申告したが、税務署長は、家賃収入という非課税売上げにも対応するとして「共通対応課税仕入れ」への更正および過少申告加算税の賦課決定を行った。
あてはめ
本件各課税仕入れは転売目的であるが、購入時に住宅として賃貸されており、現に賃料(非課税売上げ)を収受している。したがって、上告人の事業において当該仕入れは、建物の転売(課税譲渡等)のみならず住宅としての貸付け(その他の資産の譲渡等)にも対応する。事業者の最終的な目的が転売であっても、客観的に双方の売上げに対応している以上、文理上「のみ」に該当せず共通対応となる。また、過去に有利な回答があったとしても、申告当時には実務書や裁判例で共通対応とする見解が周知されており、納税者に過少申告を免れさせるべき客観的事情としての「正当な理由」も認められない。
結論
本件各課税仕入れは「共通対応課税仕入れ」に該当し、仕入税額の全額を控除することはできない。また、過少申告加算税を免除すべき正当な理由も認められない。
実務上の射程
仕入税額控除の用途区分は、事業者の主観的な目的や意図ではなく、客観的な対応関係により決定される。実務上、課税・非課税双方が発生する棚卸資産の仕入れは原則として共通対応となるため、全額控除を維持するには「課税売上割合に準ずる割合」の承認を受けるなど、別の手続を検討すべきことを示唆している。
事件番号: 平成12(行ヒ)126 / 裁判年月日: 平成17年2月1日 / 結論: 棄却
事業者が,消費税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)9条1項に該当するとして,課税期間に係る基準期間において課税資産の譲渡等につき消費税を納める義務を免除された場合に,消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの)9条2項,28条1項を適用して当該基準期間における課税売上高を算定するに当たっては,免除され…
事件番号: 平成16(行ヒ)278 / 裁判年月日: 平成17年3月10日 / 結論: 棄却
青色申告の承認を受けた法人が,法人税法(平成12年法律第97号による改正前のもの)126条1項に規定する帳簿書類を税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかった場合は,法人税法(平成11年法律第160号による改正前のもの)127条1項1号所定の青色申告の承認の取消事由に該当す…
事件番号: 平成13(行ヒ)116 / 裁判年月日: 平成16年12月16日 / 結論: その他
事業者が,消費税法施行令(平成7年政令第341号による改正前のもの)50条1項の定めるとおり,消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの)30条7項に規定する帳簿又は請求書等を整理し,これらを税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように所定の期間及び場所において態勢を整えて保存していなかった場合…
事件番号: 昭和60(行ツ)125 / 裁判年月日: 昭和62年10月30日 / 結論: 破棄差戻
租税法規に適合する課税処分について信義則の法理の適用による違法を考え得るのは、納税者間の平等公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合でなければならず、右特別の事情が存するかどうかの判断に当たつては、少なくとも、税務官庁…