事業者が,消費税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)9条1項に該当するとして,課税期間に係る基準期間において課税資産の譲渡等につき消費税を納める義務を免除された場合に,消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの)9条2項,28条1項を適用して当該基準期間における課税売上高を算定するに当たっては,免除される消費税相当額を控除することなく,課税資産の譲渡等の対価の額を算定すべきである。
事業者が消費税の課税期間に係る基準期間中の課税資産の譲渡等につき消費税を納める義務を免除された場合における当該基準期間中の消費税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)9条1項所定の課税売上高の算定
消費税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)9条1項,消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの)9条2項,消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの)28条1項
判旨
消費税法9条2項にいう「基準期間における課税売上高」の算定において、対価の額から控除すべき「消費税に相当する額」とは、現実に課される消費税額を指す。したがって、基準期間において免税事業者であった場合には、納税義務を免除される消費税相当額を売上高から控除することはできない。
問題の所在(論点)
消費税法9条1項の免税事業者の判定基準となる「基準期間における課税売上高」(同条2項)を算定する際、基準期間において免税事業者であった者が、売上総額から「納税義務を免除される消費税に相当する額」を控除できるか。同条2項1号および28条1項の「消費税に相当する額」の意義が問題となる。
規範
「基準期間における課税売上高」とは、事業者の取引規模を測定し、免税の是非を判定するための基準である。法28条1項が「対価の額」から消費税相当額を控除すると規定する趣旨は、相手方に転嫁された消費税分を課税標準から除く点にある。したがって、自ら消費税を課されず転嫁すべき立場にない免税事業者については、消費税相当額を控除することは法の予定しないところである。以上より、算定の基礎となる「課されるべき消費税に相当する額」とは、基準期間において事業者に現実に課される消費税額をいい、免除される消費税額は含まない。
事件番号: 平成13(行ヒ)116 / 裁判年月日: 平成16年12月16日 / 結論: その他
事業者が,消費税法施行令(平成7年政令第341号による改正前のもの)50条1項の定めるとおり,消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの)30条7項に規定する帳簿又は請求書等を整理し,これらを税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように所定の期間及び場所において態勢を整えて保存していなかった場合…
重要事実
上告人(事業者)は、本件基準期間(前々年度)の売上総額が3052万9410円であったが、当時は免税事業者であった。上告人は、基準期間の課税売上高を算定する際、自らが免除されている消費税相当額をこの総額から控除すれば3000万円以下(当時の免税点)になると考え、本件課税期間についても免税事業者に該当するとして無申告であった。これに対し課税庁が、免税事業者の場合は控除が認められないとして、免税点の超過を理由に更正処分等を行ったため、その取消しを求めて提訴した。
あてはめ
本件基準期間において、上告人の売上総額は3052万9410円であり、かつ上告人は免税事業者であった。規範に照らせば、免税事業者である上告人は、現実に消費税を課される立場にない。そのため、売上総額に含まれる消費税相当額を法28条1項に基づき控除することは認められない。したがって、上告人の基準期間における課税売上高は売上総額そのものである3052万9410円となり、免税点の3000万円を超過しているといえる。
結論
上告人は本件課税期間において免税事業者に該当しない。したがって、課税庁による更正処分等は適法であり、上告人の請求は棄却されるべきである。
実務上の射程
免税事業者判定の基礎となる売上高の計算方法を明確化した。答案上では、条文の文言解釈において、消費税が「転嫁」を予定した税制であるという制度趣旨(実質)から「課されるべき」の意義を限定する論法として有用である。基準期間が免税か課税かによって計算式が異なる点に注意を要する。
事件番号: 平成16(行ヒ)278 / 裁判年月日: 平成17年3月10日 / 結論: 棄却
青色申告の承認を受けた法人が,法人税法(平成12年法律第97号による改正前のもの)126条1項に規定する帳簿書類を税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかった場合は,法人税法(平成11年法律第160号による改正前のもの)127条1項1号所定の青色申告の承認の取消事由に該当す…
事件番号: 令和4(行ヒ)10 / 裁判年月日: 令和5年3月6日 / 結論: 棄却
消費税法(平成27年法律第9号による改正前のもの及び同改正後のもの)30条2項1号にいう「課税資産の譲渡等にのみ要する」課税仕入れとは、当該事業者の事業において課税資産の譲渡等にのみ対応する課税仕入れをいい、課税資産の譲渡等のみならずその他の資産の譲渡等にも対応する課税仕入れは、全て同号にいう「課税資産の譲渡等とその他…
事件番号: 令和3(行ヒ)260 / 裁判年月日: 令和5年3月6日 / 結論: 破棄自判
事業者が、平成25年~同27年の各課税期間に係る消費税及び地方消費税の確定申告において、上記各課税期間中に転売目的で行った全部又は一部が住宅として賃貸されている建物の購入を、消費税法(平成27年法律第9号による改正前のもの及び同改正後のもの)30条2項1号にいう「課税資産の譲渡等にのみ要する」課税仕入れに区分して、上記…
事件番号: 平成16(行ヒ)37 / 裁判年月日: 平成16年12月20日 / 結論: 棄却
事業者が,消費税法施行令(平成12年政令第307号による改正前のもの)50条1項の定めるとおり,消費税法30条7項に規定する帳簿及び請求書等を整理し,これらを税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように所定の期間及び場所において態勢を整えて保存していなかった場合は,同項にいう「事業者が当該課税期間の課税…